「雪で争うな。春になれば恨みだけが残る」雪国の春はまだ遠い…驚きの「雪かきトラブルあるある」 | FRIDAYデジタル

「雪で争うな。春になれば恨みだけが残る」雪国の春はまだ遠い…驚きの「雪かきトラブルあるある」

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ネットで話題となった福井県池田町の移住者への提言「池田暮らしの七か条」

3月になり桜の開花予想のニュースも流れる中、雪と戦っている人たちがいる。三寒四温というが、雪国ではまだしばらく雪の悩みは尽きない。

そんな「雪」の話題というと、思い出されるのが、この冬、ネット上で話題となった福井県池田町の移住者への提言「池田暮らしの七か条」だ。

移住者に「都会風を吹かさないで」といった内容が盛り込まれたもので、「品定め? 怖すぎる」「こんな町に移住したくない」「ヤバすぎる」「背筋が凍る」などといった批判が続出。

その一方、都会暮らしをする地方出身者や、逆に元都会人の地方暮らしの人たちからは「正直、そうだよな」「正直すぎるけど、むしろ親切」といったつぶやきも多数挙がっている。実際、「田舎=温かい、素朴、優しい」といった幻想を抱く都会生まれ都会育ち都会暮らしの人にはわからないかもしれないが、地方ではこうした近隣との小さなトラブルは日常茶飯事だ。

なかでも、一部地域の人たちが「わかりすぎる」と沸いたのは、「雪で争うな。春になれば恨みだけが残る」という教えである。実際、都会や雪がほとんど降らない温かい地域に暮らす人たちには理解されない、雪をめぐるトラブルや悩みはたくさんある。

自分もまた、子どもの頃は庭でかまくらを作れたほど雪深かった長野県北部出身者であるだけに、こうした雪のトラブルや悩みの切実さは多数見聞きしてきた。昔に比べて降雪量がずいぶん減った今もなお、かわされるのは、雪の話題ばかりだ。

そこで、自身や家族・友人・知人の経験やSNSなどでのつぶやきから、「雪国あるある」をピックアップしてみたい。

都会や雪がほとんど降らない温かい地域に暮らす人たちには理解されない、雪をめぐるトラブルや悩みはたくさんある…
都会や雪がほとんど降らない温かい地域に暮らす人たちには理解されない、雪をめぐるトラブルや悩みはたくさんある…

1_そこに雪がある限り雪かきは続く…

雪が降っている最中は、いくら雪かきしてもキリがないことは十分理解しているのに、それでも雪かきせずにいられない人は中高年を中心に多数いる。「地面が見えるまで雪かきしないと気が済まないらしい」「降雪が一段落してから雪かきした方が良いよと家族などが声をかけても、聞く耳を持たない」「降り続いているときに雪かきしても二度手間になるだけなのに」と嘆く声は多数。

ただし、「雪がやんでから雪かきしよう」と思って放置しておくと、玄関先などにとんでもない量が積もってしまい、翌朝起きてからでは学校や仕事に行けないほどになってしまうこともある。また、雪を放置しているうちに凍ってしまい、余計に大変になることもあるので、「凍る前に雪かきが必須」ということも。

それでも雪かきせずにいられない人は中高年を中心に多数いる
それでも雪かきせずにいられない人は中高年を中心に多数いる

2_「雪かき」は苦しみであり、スポーツ・趣味・生き甲斐でもある

雪が積もると大変だ、こんなに雪深い地域に生まれなければ良かった、冬は雪かきしなければいけないから大嫌いだと嘆きつつ、その一方で「雪が積もらないとつまらない」という人も多数いる。

なぜなら、「雪かき」をすると、「雪かきハイ」で無心になれ、終わった後に気分がスッキリしたり、達成感を得られたりすることがあるため。体育の授業でマラソンをした後や、運動部の部活で長距離を走らされた後にも近い感覚か。

「大変だけど、良い汗をかけて楽しい時間」「雪かきに夢中になりすぎて、食事も忘れて、気づいたら何時間もやっていた」「雪かきはやっているときは楽しいが、後から筋肉痛になるのがつらい」「休日、雪かきをはりきりすぎて、その後はひたすら寝てしまった」「雪かきした後は握力が完全に死んで使いものにならなくなる」などの声も。

また、「困り事」の一方、趣味・スポーツでもあるため、道具へのこだわりや、各々のやり方・コツなども多数ある。

「雪かき用の大きなスコップを購入した」「職場の駐車場でも使えるよう、雪かき棒を車にいつでも積んでいる」「雪かき用マイ手袋やスノーブーツ(スノトレ)はすぐに使えるよう常備している」といった人は多く、「雪の質や積もり方、場所に合わせて使い分けられるように雪かき道具は3~4種持っている」など、ゴルフ道具のような話をする人も。それぞれこだわりの道具があるからこそ、「玄関前に置いておいた、一番使いやすい雪かきスコップが盗まれた」などという盗難事件も意外とある。

一方、今では小型の家庭用除雪機が浸透してきたことで、「楽になった一方、つまらない」「除雪機が使えない程度の中途半端な積もり方が一番だるい」などの声も。

また、「一度にたくさん雪をのせすぎず、少量ずつ何往復もするほうが結果的に楽」「なるべく小さな動きでリズムを刻みながら左右に揺らすようにやる」など、それぞれのマイルールも多数ある。

「困り事」の一方、趣味・スポーツでもあるため、道具へのこだわりや、各々のやり方・コツなども多数ある
「困り事」の一方、趣味・スポーツでもあるため、道具へのこだわりや、各々のやり方・コツなども多数ある

3_「雪かき」から見える人間関係、生まれる諍い

雪国の人にとって、「雪かきをするか否か」「いつ・誰が・どのくらい・どのようにするか」は個々の切実な問題であり、と同時に家庭内あるいは近隣を含めた大きな関心事だ。

そのため、「冬になるといつも雪かきしろと朝から親に怒鳴られてばかりでウンザリする」「毎年、雪かきのことで親子喧嘩になる」「せっかく雪かきしたのに、やり方についてダメ出しされて、親とケンカになった」といった家庭内不和の原因にもなりがち。

また、それぞれの家で、誰がいつ、どのように雪かきをやっているかは常にご近所から見られている。

そのため、「隣の息子は自分の家の前しか雪かきしない」「お向かいの家は、旦那が仕事に出ていくときの通路しか雪かきしない」「あの家のおっさんは、雪かきした雪を塀の前にただ山積みにしておくから邪魔で仕方ない」「あの家の息子は、雪かきした雪を放り投げるから、注意したらキレられた」なんて愚痴は日常茶飯事。「自分の通る場所しか雪かきしない奴は、靴の中に雪が入る呪いにかかると良い」といったつぶやきもSNSでは散見されるし、なかには雪かきのやり方をめぐって揉め事になり、極端な例では警察沙汰になるようなことすらある。

一方、親切そうな素振りで「誰も雪かきに出てこない家は心配になる」「あの家で雪かきをするのはなぜか女の人だけで、男が何をしているのか心配になる」「雪かきしているのは、いつも年寄りだけ。子どもや孫はなぜやらないのか」などとご近所の噂話のネタにされることも。

さらに、「家の前や庭先の雪かきがいつも丁寧にされている家は、家庭円満」「家族みんなが雪かきに出てくる家は家庭円満」などと、雪かき具合から家庭の事情を「値踏み」されていることもある。

雪国の人にとって、「雪かきをするか否か」「いつ・誰が・どのくらい・どのようにするか」は個々の切実な問題
雪国の人にとって、「雪かきをするか否か」「いつ・誰が・どのくらい・どのようにするか」は個々の切実な問題

「雪国マウント」…

ここまで「雪国あるある」をいろいろ綴ってみたが、最後にもう一つ。

自分も含めて雪国在住あるいは出身者が、ついやってしまいがちなのは、上記のような他地域の人にはわからない「雪国マウント」をとること。

「10センチ積もった程度で大雪って」「東京は雪が降ったくらいですぐに電車が止まる」「東京の人は雪が降ったときに水撒きしていて、危なくてしょうがない」などなど……。

「雪国マウント」はできるだけ避けたいところだが、やっぱり雪国の人にしかわからないことは実際問題、多数ある。だからこそ冒頭の池田町の「雪で争うな。春になれば恨みだけが残る」は、現実的で親切な教えに思えてならないのだ。

  • 田幸和歌子

    1973年生まれ。出版社、広告制作会社勤務を経てフリーランスのライターに。週刊誌・月刊誌等で俳優などのインタビューを手掛けるほか、ドラマに関するコラムを様々な媒体で執筆中。主な著書に、『大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた』(太田出版)、『KinKi Kids おわりなき道』『Hey! Say! JUMP 9つのトビラが開くとき』(ともにアールズ出版)など。

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