<figure id="attachment_298455" aria-describedby="caption-attachment-298455" style="width: 1142px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="d55087d8"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/03/8f61a26d2f3761b111473116318793d6.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-298455" class="wp-caption-text">静かな口調で穏やかに話をする高橋先生</figcaption></figure>
<p>大学の先生が、経済学やマーケティングの知識を駆使してマッチングアプリ攻略に挑戦した『大学教授がマッチングアプリに挑戦してみたら経営学から経済学、マーケティングまで学べた件について。』（クロスメディアパブリッシング）が話題だ。著者は都立大学の高橋勅徳（49）准教授。専門は経営学だが、婚活をテーマにした話題の『婚活戦略』という著書でも知られている。</p>
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<p>『婚活戦略』は学術書だが本書はビジネス書として「誰にでも読みやすいように私小説的な形にした」（高橋先生）という。</p>
<h3>マーケティング活動で婚活を攻略</h3>
<p>内容は、主人公で大学教員のyamaguchi氏（35）がふと婚活を思い立ち、マッチングアプリを始める。彼は専門であるマーケティング論や経済学、経営学の知識を応用して攻略していく。ベースになっているのは高橋先生の実体験である。</p>
<p><span class="strongInContent">「大前提として、僕は恋愛弱者ですし、女性とお付き合いしたことは数えるほどしかありません。普段は先生と生徒だったり、著者と編集者という関係性があるから会話ができますけど、プライベートでは正直、目を合わすこともできません。でも、結婚したいという思いはもちろんありました。12年前、大手の婚活アプリ『ペアーズ』が出て、僕は新しい物好きなのでとりあえず１ヵ月半ほどやってみたんです。当時の僕はまだ若く、結婚適齢期でもあったはずなんですけど最後まで誰ともマッチングしませんでした。『あれっ、俺って世間的にはハイスペックなのになぜ？』という心境でした」</span></p>
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<p>本の中のyamaguchi氏もまったく同じ経験をする。そこで婚活をマーケティング活動と見なして攻略することを思いつくのだ。初めに取り組んだのは次のようなことだった。</p>
<p>１、女性が会いたくなる自分のプロフィール作りに「４P/４C分析」を活用</p>
<p>４P/４C分析とは、企業側の視点（Product/Price/Place/Promotion）と顧客視点（Customer Value/Customer Cost/Customer Convenience/Communication）で自社の商品やサービスについて整理・分析する手法のこと。アプリで女性に出会うためには“顧客”である女性がコストをかけてまでも会いたくなるように、“企業側”である自分のプロフィールづくりをしなければならないと分析。最大公約数の女性にウケるプロフィールを作成する。</p>
<p>２、自分の好みのタイプの女性を絞り込むため「STP分析」を活用</p>
<p>１の結果、プロフィールのPVは増えたもののマッチングはせず。原因はプロフィールを見ている女性の年齢、職業などの属性がバラバラだからだと考えた。そこでSTP分析〈「顧客のニーズの細分化（Segmentation）」「ターゲット選定（Targeting）」「競争優位に立つためのポジショニング（Positioning）」をもとに経営戦略を決定するマーケティング手法〉をベースに、自分がターゲットにすべき女性の年齢、学歴、趣味、価値観などを絞り込み、むやみやたらにアプローチするのをやめて、ターゲットに当てはまる女性に限定した。</p>
<p>３、さらにマッチングの成功率を上げるために「リードユーザー論」を活用</p>
<p>ここからマッチングの成功率を上げるために、「リードユーザー論」を活用した。これは、〈新製品に人よりいち早く注目するリードユーザーに注目すれば通常とは異なるマネジメントの道を切り拓くことができるという考え〉で、マッチングアプリにおけるリードユーザーである“平均的ではない極端なニーズを持つ女性”は競争率が低いと予想。その結果、アプリ上で同じ趣味嗜好の人が集まる「サークル」でメンバーが少ないものに登録した。</p>
<div data-friday-nextpage-lead="「自分では案外自分の価値に気付かないものです」"></div>
<figure id="attachment_298457" aria-describedby="caption-attachment-298457" style="width: 1353px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="47c25823"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/03/ea417b9aaf30af36f865406e5988155c.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-298457" class="wp-caption-text">趣味はバイクと釣り。見た目も経歴も、かなり“イケおじ”の高橋先生</figcaption></figure>
<h3>女性にとって突出して見える自分の特徴は？それが“価値”になる</h3>
<p>その後も数々の理論を駆使してyamaguchi氏は着々とPV数とマッチング数を増やし、時にはパパ活女子に引っかかりながらもデートへと漕ぎ付けていくのだ。これは、あくまで本書の中でyamaguchi氏のエピソードとして書かれていることだが、高橋先生の実体験でもこんなことがあった。</p>
<p><span class="strongInContent">「マッチングした人が３～４人いたんです。でも、『こんにちは』『こんな仕事してます』『お休みは何をしています』このやりとりあたりで返信が来なくなる。おそらく女性の側には何十件という申し込みが殺到しているために、気に入った相手以外とは話さないということなのでしょう。</span></p>
<p><span class="strongInContent">アプリには人間関係がありません。その人に対する評価はむき出しのスペックだけです。そのスペックも、選ぶ人の好みでデータベースに合わせて並べて比較すれば、普通はハイスペックなはずの年収１千万円の人もアプリの中ではたくさんいる年収１千万円の人の１人でしかない。１千万円がアベレージなのでそこで価値はなくなって無力化されてしまうのです。イケメンを並べたら今度はイケメンであることが無価値になる。学歴で並べたら東大なんか普通で、ハーバードぐらいじゃないと価値がなくなってしまいます。本当に突出した価値がある人だけがアプリの中でモテるということなのです」</span></p>
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<p>ただ、そんなウリのある男性はほとんどいないのが現実。ここまでだと、最終的には攻略できないのではないか？そう思ってしまうが、</p>
<p><span class="strongInContent">「『婚活戦略』を出してマスコミの取材を受けて少し有名になったときに、半年間ぐらい女性や年頃の娘を持つ親御さんから『何月何日に会いませんか？』というメールがいくつも届いたんです。そのときにこれが私の突出した価値なのか！と気づき、yamaguchiくんのストーリーに加えました。自分の価値は自分では案外わからないものです。自分では価値だと思ってなくても、人とちょっとでも違うところがあったら、案外そこに価値があり、それが自分の強みなのかもしれません」</span></p>
<p>と高橋先生は分析する。</p>
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<p>これは経営学における正統化戦略を利用した手法だ。TVや雑誌で有名人が紹介した商品がヒットするように誰もが無条件に信用する社会的現実の力をレバレッジにして、知名度を上げたり購買行動につなげるというもの。大学准教授であるyamaguchi氏も自身の論文で取材を受けたことをプロフィールでアピールすることで好結果を得てマッチングアプリ婚活の最終局面に進んでいる。もちろん、この通りに進めば婚活が攻略できるかというと、それは千差万別。上手くいかない人もいるだろう。仮に、婚活が上手くいかなくても、使い方によってはマッチングアプリには利点もあるという。</p>
<p><span class="strongInContent">「マッチングアプリには、結婚相手を探している人から、今夜一緒にご飯を食べる相手が欲しい人までいろんな人がやってくる。それでいて過剰に踏み込まない、過剰に傷つけないという点でとくに若い人にとっては合理的なのかもしれません。ある種の寂しさを一瞬だけでも埋めてくれるマッチングアプリの使い方というのもあるかもしれないですね。そして、うまくやれば恋愛弱者だってデートができるし、結婚相手も見つかるんです」</span></p>
<p>「全然マッチングしないんだけど…」とぼやいているアナタも使いようによってはアプリを活用できるかもしれない。婚活にお悩みの方は、ぜひ一度、手に取っていただきたい。</p>
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谷寛彦

静かな口調で穏やかに話をする高橋先生 大学の先生が、経済学やマーケティングの知識を駆使してマッチングアプリ攻略に挑戦した『大学教授がマッチングアプリに挑戦してみたら経営学から経済学、マーケティングまで

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