<figure id="attachment_300513" aria-describedby="caption-attachment-300513" style="width: 1280px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="91a9e0b9"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/03/860033c7b6b0a220cd20d7d38c384440.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-300513" class="wp-caption-text">好評のうちに最終回を迎えたドラマ『星降る夜に』。吉高と北村の演技に涙を誘われる視聴者も…</figcaption></figure>
〝ラブストーリーの名手〟大石静が脚本を手掛ける連続ドラマ『星降る夜に』（テレビ朝日系）。最終回を終え、心震わせる視聴者が続出している。
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このドラマは、ある事件をきっかけにのどかな海の街の産婦人科医になった雪宮鈴（吉高由里子）と、音のない世界で自由に生きる10歳年下の遺品整理士・柊一星（北村匠海）の２人が、星降る夜に出会い恋を育んでいく大人のラブストーリー。話題をさらった昨秋のドラマ『silent』（フジテレビ系）の次のシーズンに、再び聴覚障害を持つ青年を描くことから、始まる前からドラマ好きのネット民の間では話題を呼んでいた。
「しかし今作は聴覚障害をネガティブに描かないばかりか、感情表現が豊かで明るい熱血漢として一星を描いていることから、聴覚障害は一星の〝一つの個性〟に見える。そういった意味でも『silent』とは違う、多様性の時代に相応しいラブストーリーに仕上がっています」（制作会社プロデューサー）
初回のオープニングシーンから、今作は我々視聴者のド肝を抜く。
「冒頭、越してきたばかりの鈴がソロキャンプに訪れ、酒を煽り、燦然と輝く星を見上げる。そんな彼女に向かってカメラのシャッターを切る一星が、いきなり鈴にキス。
オープニングから、わずか１分ほどで訪れるこのハプニング。単なる聴覚障害者のピュアなラブストーリーにはしないぞ、という制作サイドの覚悟のようなものを感じました」（制作会社ディレクター）
北村が、今作を演じるにあたって
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「ストレートなト書きだったり、読めば読むほど、自分に恥ずかしさがこみ上げてくるようなシーンがたくさんあった」
と言えば、吉高も
「今の現代的な恋愛ものではなくて、スピーディでエモーショナルな空気があって、すごく熱量の高い伝え方をする物語」
「変な駆け引きだったり、思わせぶりな感じもなくて、まっすぐに来られるから、こっちもまっすぐになる」
とコメント。健常者とろう者のラブストーリーであることを忘れさせるスリリングな展開には毎回、目を見張るばかりだ。
しかし、そんな２人に試練が訪れる。
<div data-friday-nextpage-lead="ムロツヨシの〝怪演〟も話題に…"></div>
第６話のラスト。産院勤務中の鈴の前に、５年前に勤めた大学病院で容態が急変して助けることのできなかった妊婦の夫・伴宗一郎（ムロツヨシ）が突然やって来て、鈴を〝人殺し呼ばわり〟し、産院内で大立ち回りを演じる。
「愛する人を突然失った哀しみ。慣れない子育てで会社を解雇された男のやり場のない怒り。その矛先を鈴に向けるしかなかった切なさがひしひしと伝わってくるムロの演技には、狂気すら宿っていました」（スポーツ紙記者）
しかし〝ラス前〟に当たる第８話で、伴の態度が一変。「ご迷惑をおかけしました」と鈴に謝罪。
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「あなたが良い人で困るんですよ。お願いです。嫌な人でいてください。じゃないとゴールがもうないんです」
と告げると、復讐の大義を失った伴は、制止を振り切って海に身投げしようとする。そんな伴を、一星がメシアのように抱きしめる。
「学生時代に両親を亡くし、同じ聴覚障害を持つ祖母に慈しみ育てられた一星。そんな一星に抱きしめられ、ただただ子供のように泣き続ける伴。心洗われるこの姿こそ、今作イチの名場面となりました」（前出・ディレクター）
今作で脚本家・大石静とタッグを組むのは、『おっさんずラブ』を手掛けた、売れっ子プロデューサーの貴島彩理である。
「貴島作品といえば、他にも『オトナ高校』『私のおじさん』『女子高生の無駄づかい』など、エッジの効いた作品ばかり。中でも一昨年、大石とタッグを組んだ深夜ドラマ『あのときキスしておけば』は、特にショッキングな実験作でした。
松坂桃李演じる主人公の愛する女性（麻生久美子）が、まったく知らない冴えないおじさん（井浦新）の魂と入れ替わる。シュールで斬新すぎる〝入れ替わりラブコメ〟には驚きを隠せませんでした」（前出・プロデューサー）
貴島Pは、今作について
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「大学時代に所属した手話サークルで出会ったろう者の〝リアルな姿〟を描いた」
と話しているが、果たしてそれが今作の本当の狙いなのだろうか。
「土曜ナイトドラマで連ドラ化された『おっさんずラブ』の初回視聴率は、なんと2.9%と爆死。しかしSNSなどで話題を呼び視聴率をあげると、シーズン２、さらに映画化され一大センセーションを巻き起こしました。
常に時代の先を読む貴島Pのこと。ダイバーシティの世の中で、新たな〝ラブストーリーの鉱脈〟を見つけたと、今頃ほくそ笑んでいるに違いありません」（前出・スポーツ紙記者）
思えば、豊川悦司が聴覚障害者を演じて大ヒットしたドラマ『愛していると言ってくれ』（TBS系）を手掛けたのは、貴島Pの父。数々のヒットドラマを手掛け、昨年TBSを勇退した貴島誠一郎氏は最終回が終わった今、今作を見て何を思うのか――。

バラエティ、報道、スポーツ番組など幅広いジャンルで番組制作に携わる。女子アナ、アイドル、テレビ業界系の書籍も企画出版、多数。ドキュメンタリー番組に携わるうちに歴史に興味を抱き、近年『家康は関ケ原で死んでいた』（竹書房新書）を上梓。電子書籍『異聞 徒然草』シリーズも出版中

島右近（放送作家・映像プロデューサー）

菅原健二

好評のうちに最終回を終えたドラマ『星降る夜に』。主演の吉高由里子と〝ろう者〟役の北村匠海とのラブストーリーに、涙を流す人が続出したが…

吉高由里子＆北村匠海『星降る夜に』ダイバーシティの世の中で見つけた「新たなラブストーリーの鉱脈」

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