<figure id="attachment_304335" aria-describedby="caption-attachment-304335" style="width: 3818px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="b8770973"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/04/3e77238d197ff04c2edd1bb57b170829.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-304335" class="wp-caption-text">本誌の独占インタビューに応える坂本龍一さん（&#8217;91年９月20日号）</figcaption></figure>
<p>“教授”坂本龍一さんが３月28日に亡くなった。71歳だった。</p>
<p>&#8217;78年に細野晴臣（75）、高橋幸宏さん（今年１月に他界・享年70）とともに『イエロー・マジック・オーケストラ（YMO）』を結成。シンセサイザーを使った斬新な音楽と、赤い「人民服衣装」などのファッションは世界に衝撃を与え、２度の世界ツアーは大成功を収めた。日本の若者はもみあげをバッサリと切ったテクノカットを真似、原宿で路上パフォーマンスをしていた竹の子族が「ライディーン」で踊るなど、社会現象にもなった。</p>
<div data-friday-ad-slot="AD_inArticle"></div>
<p><span class="strongInContent">「’83年の大島渚監督作品『戦場のメリークリスマス』のメインテーマ『Merry Christmas, Mr.Lawrence』は世界的ヒットとなり、&#8217;87年公開の映画『ラストエンペラー』では&#8217;88年の米アカデミー賞作曲賞を日本人として初めて受賞し、“世界のサカモト”と称されるようになりました。&#8217;90年にも映画『シェルタリング・スカイ』のサウンドトラックを担当し、ロサンゼルス映画批評家協会賞の音楽賞を受賞し、翌年のゴールデングローブ賞音楽賞を受賞しています。拠点も&#8217;90年からニューヨークに移し、以後、ニューヨークを中心に活動を続けていました」（音楽雑誌編集者）</span></p>
<p>&#8217;91年、久々に俳優として、大島監督作品『ハリウッド・ゼン』に日本人初のハリウッド俳優だった早川雪洲役で出演する予定の坂本さんがプロモーションのため帰国。その際に「FRIDAY」は独占インタビューを行なっている。坂本さんは当時の胸の内を本音で語ってくれた。以下、&#8217;91年９月20日号の記事を再録する。</p>
<div data-friday-ad-slot="AD_inArticle"></div>
<h3>僕は文化親善大使なんかじゃない</h3>
<p><span class="strongInContent">「日本を代表するミュージシャンといわれたり、世界で成功する秘訣は、とかよく聞かれたりする。みんな僕に、『ニッポン代表』を期待するわけだよね。でもはっきり言っておきたいけど、僕は個人的に音楽をやっているわけで、日本の文化親善大使なんかじゃないんだ。大体、日本人といっても同じ人間は二人といないわけで、僕の曲を100人が聞けば100通りのとらえ方、感じ方があるわけでしょ。だから、『日本人は皆こうだ』みたいな考え方はこの辺でやめてほしいね」</span></p>
<div data-friday-nextpage-lead="「戦メリ」の音楽は「我ながら最高」"></div>
<h3>アメリカ住まいはハッピーじゃない</h3>
<p><span class="strongInContent">「去年からNYに住み始めたわけだけど、確かにNYにはアーチストを刺激する環境はあると思う。ただ正直いって、僕にとってアメリカ住まいはそれほどハッピーじゃない。NYはパワフルだけど、それ以上にデンジャラスでね。街はどんどん暴力的になる一方だし、社会基盤もガタガタ。そんなに長くいる所じゃないと思ってる。今考えてるのは、パリに移住することなんだ。今一番エキサイティングな都市だし、NYよりはずっと日本的な『暖かみ』があるような気がする」</span></p>
<div data-friday-ad-slot="AD_inArticle"></div>
<h3>僕の音楽は「無国籍」ではなく、「多国籍」</h3>
<p><span class="strongInContent"> 「音楽をつくるには、インスピレーションを受けるものが必要なんだ。それがいくつか見つかるとあとはスムーズにいく。ふとひらめいて、そのままタクシーの中で楽譜を書き出したこともあるくらいでね。今度のアルバム『HEAT BEAT』も、現代人には、鼓動を聞いてた母親の胎内に戻りたいという願望があるのでは、ということから始まったものなんだ。僕の音楽は『無国籍』だとよく言われるけど、実は『多国籍』なんだ」</span></p>
<h3>早川雪洲には前から興味があった</h3>
<p><span class="strongInContent"> 「大島監督の映画『戦場のメリークリスマス』に出て以来、映画のオファーはずいぶんあったけど、ほとんど断ってきた。あの映画で、音楽は我ながら最高だと思ったけど、演技がヘタなのにはショックを受けてね。だから、５月に突然、大島監督から頼まれたときにも、『音楽はやらせていただきますけど主役のほうはちょっと考えさせて下さい』って、曖昧な返事をしたんだ。本当は、日本人初のハリウッドスターである早川雪洲にはすごく興味があったから、電話を受けた途端、ヤッターと喜んだけどね。今は映画のことで頭がいっぱい。まずは５kgはやせなきゃと、ジムに通う毎日ですよ」</span></p>
<div data-friday-ad-slot="AD_inArticle"></div>
<p>しかし、映画は70億円という巨額な制作費のメドが立たなくなり、&#8217;91年11月のクランクイン直前で延期に。その後、再延期を経て制作中止へと追い込まれてしまう。大島監督と坂本さんの「戦メリ」以来２度目となるタッグは幻と化してしまった。坂本さんは今、天国で大島監督にどんな言葉をかけているだろう。合掌。</p>
<figure id="attachment_304325" aria-describedby="caption-attachment-304325" style="width: 2100px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="fc0bedc3"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/04/51a06752fdc580d156fb6ad8944848e1.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-304325" class="wp-caption-text">幻の映画となった『ハリウッド・ゼン』制作発表記者会見の坂本龍一さんと大島渚監督（&#8217;91年９月20日号）</figcaption></figure>


益田周一

本誌の独占インタビューに応える坂本龍一さん（&#8217;91年９月20日号） “教授”坂本龍一さんが３月28日に亡くなった。71歳だった。 &#8217;78年に細野晴臣（75）、高橋幸宏さん（今年

「僕は文化親善大使じゃない」坂本龍一さん他界「ニッポン代表」を強烈に拒んだ孤高の天才の言葉

あなたへのオススメ