<p>２度のがん闘病も及ばず、音楽家の坂本龍一さん（享年71）が３月28日に亡くなった。本誌が収めてきた在(あ)りし日の姿と共に、天才の軌跡を振り返ろう。</p>
<h3>’88年1月</h3>
<figure id="attachment_305295" aria-describedby="caption-attachment-305295" style="width: 2500px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="cbbcc40f"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/04/03e25378155a15f82e13be484deb223b.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-305295" class="wp-caption-text">『ラストエンペラー』のパーティーで、ダイアン・レイン（中央）、ジョン・ローン（70）と肩を並べる坂本さん</figcaption></figure>
<p>中学２年の時に、自身を「ドビュッシーの生まれ変わり」と信じた坂本は、東京藝術大学大学院在学中に細野晴臣（75）に才能を見出される。そして、’78年に『ＹＭＯ』（イエロー・マジック・オーケストラ）が結成された。</p>
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<p><span class="strongInContent">「クラシックの素養にポップスを乗せた音楽は、坂本さんの&#8221;発明&#8221;です。学生時代、彼はフォークやジャズなどさまざまなジャンルのミュージシャンと親交を深め、影響を受けました。より自由な音楽を求めていたところに、細野さんが模索していたテクノミュージックが融合した」（音楽評論家の田家秀樹氏）</span></p>
<p>『テクノポリス』『東風(トンプウ)』に代表される電子音楽（テクノポップ）は海を渡り、世界ツアーに進出。逆輸入される形で日本でもブームになった。精悍(せいかん)で知的なイメージから&#8221;教授&#8221;と愛称をつけたのは、奇しくも今年１月に亡くなった、ドラムの高橋幸宏さん（享年70）である。</p>
<p>坂本さんの名声を一躍高めたのは’83年公開の映画『戦場のメリークリスマス』だろう。陸軍大尉ヨノイ役で出演する傍(かたわ)ら音楽を手掛けた。再び音楽と演技で才能を発揮した３ヵ国合作の大作『ラストエンペラー』（’87年公開）では、日本人初のアカデミー賞作曲賞を受賞。もっとも成功した日本人音楽家のひとりとなった。ダイアン・レイン（58）らハリウッドスターと肩を並べることも当たり前になった（1枚目写真）。</p>
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<p>坂本さんは’90年に、活動拠点をニューヨークに移す。’91年９月20日号の本誌インタビューで、一時帰国した坂本さんはこのように語った。</p>
<p><span class="strongInContent">〈はっきり言っておきたいけど、僕は個人的に音楽やってるわけで、日本の文化親善大使なんかじゃないんだ〉</span></p>
<p>「世界のサカモト」という看板を重荷に感じたのも、日本を離れた一因だったのだろう。近年の坂本さんは、環境や社会問題の活動家としても注目を集めた。とくに東日本大震災以降は「脱原発」を掲げ、デモに参加して若者と声を上げた。</p>
<p><span class="strongInContent">「最期まで権力や体制におもねることなく、理想を追い求めた人でした。自分が祭り上げられ、体制側になったら終わりだと思ったのかもしれません。拠点を米国に移したり、テクノポップから現代音楽へと音楽性を変えていったりしたのも、新しい刺激を開拓していった結果ではないでしょうか」（前出・田家氏）</span></p>
<p>稀代の天才が、この世を去った。</p>
<div data-friday-nextpage-lead="天才の軌跡…"></div>
<h3>’91年8月</h3>
<figure id="attachment_305296" aria-describedby="caption-attachment-305296" style="width: 2500px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="2fe388ae"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/04/5d8a22efc44395f7061aa32de84685d1.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-305296" class="wp-caption-text">大島渚監督（享年80）作品で主演を務める予定だった『ハリウッド・ゼン』は諸般の事情でお蔵入りになった</figcaption></figure>
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<h3>’12年7月</h3>
<figure id="attachment_305297" aria-describedby="caption-attachment-305297" style="width: 2500px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="8e168805"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/04/6b7f0e006e4c1df7abe227239d5e6f9b.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-305297" class="wp-caption-text">首相官邸前の脱原発デモに参加。「（原発が）再稼働されても、諦めずに頑張りましょう」とマイクを持って訴えた</figcaption></figure>
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<h3>’83年11月</h3>
<figure id="attachment_305298" aria-describedby="caption-attachment-305298" style="width: 2500px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="f9af700b"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/04/b71e3a609343d64dd79a532430a99357.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-305298" class="wp-caption-text">旧YMOとしては最後のライブツアー直前の一枚。解散ではなく&#8221;散開&#8221;と表現し、悲しむファンを煙に巻いた</figcaption></figure>
<h3>’13年12月</h3>
<figure id="attachment_305294" aria-describedby="caption-attachment-305294" style="width: 2500px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="2573895f"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/04/9cb4afa649c3541c443e65b11751a6db.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-305294" class="wp-caption-text">’13年12月、六本木の街頭を歩く姿をキャッチ。坂本さんは頻繁に六本木のクラブやレストランを訪れていた</figcaption></figure>
<p>『FRIDAY』2023年4月21・28日号より</p>


鬼怒川毅　結束武郎　本多治季　益田周一

２度のがん闘病も及ばず、音楽家の坂本龍一さん（享年71）が亡くなった。"YMO"で日本の音楽を世界に轟かせ、俳優としても成功。世界の"サカモト"のイケメンすぎる秘蔵写真で、天才の軌跡を振り返る――。

追悼企画「世界のサカモト」のイケメンすぎる秘蔵写真を公開本誌が撮ってきた「坂本龍一の軌跡」

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