「獲得は原監督の見込み違い」の声も…低迷の巨人「松田、梶谷らベテランが唯一の光明」の特殊事情
巨人に加入したベテラン選手たちが、二軍でもがいている。
昨オフにソフトバンクから移籍した松田宣浩(39)は、一軍で打率.111(記録は4月25日現在)と不調でファームへ。’20年12月にDeNAでFA宣言した梶谷隆幸(34)も、同.206と結果を残せず降格。’18年オフにオリックスから入団した中島宏之(40)は、今季まだ一軍出場がない……。
「不運な面もあります。中島は3月の紅白戦で死球を受け右手親指を骨折。梶谷も昨年5月に受けた左ヒザの手術の影響で本調子ではないんです。ただ、期待されたほどの活躍ができていないのは事実でしょう。特に松田には、通算301本の本塁打をはなち常勝ソフトバンクを牽引した全盛期のキレが感じられません。
獲得した原辰徳監督の決断を『見込み違い』と疑問視する声もあります。梶谷が本職とする外野陣は今季、ウォーカー、丸佳浩、オコエ瑠偉、ブリンソンらがいて飽和状態。松田が守る三塁は主砲・岡本和真がレギュラーで、一塁は中田翔が不動です。代打の切り札として起用するにしても、同じ右の中島とタイプがかぶります。彼らに、活躍の場がほとんどないことは加入前からわかっていたはずです」(球団関係者)
巨人は今季リーグ最速で10敗を喫した。坂本勇人や丸など昨季までチームを引っぱっていた主力が不振で、中日と最下位争いを演じる低迷ぶり。なかなか浮上のキッカケを掴めていない。
20歳近くも上のベテランが泥だらけに
ただ苦しむチームの中で、二軍でくすぶるベテラン勢が「唯一の光明」と期待する向きもあるという。どういうことなのだろうか。
「坂本や丸など多くの主力がピークを過ぎ、巨人は過渡期にあります。しかし、彼らに代わりレギュラーを完全に任せられる若手が出てきていない。本来は阿部慎之助やデーブ大久保などのコーチ陣が若手の能力を引き出すべきでしょうが、うまく機能していません。アーリーワーク(早朝練習)などの厳しい指導により、若手が委縮ぎみなんです。
一方、松田らベテラン勢の言動は二軍選手たちの良いお手本になっています。決して過去の実績を誇らず、一所懸命にトレーニングに取り組んでいますから。松田は、ずっと年下の打撃投手に対しても『タイミングどうだった?』『フォーム崩れてないかな』などと問いかけているそうです。彼らの愚直な姿勢は、『あれだけの選手が必死なのだからオレたちがこのままではダメだ』と若手を奮起させてくれるでしょう。自分たちより20歳近く年上のベテランが、泥だらけになって二軍でもがいているのですから」(スポーツ紙担当記者)
戦力としては機能していないベテラン勢だが、野球に取り組む姿勢で若手の刺激になっているというのだ。
「ただ裏を返せば、若手の育成までベテランに頼らざるをえないのが巨人の今の特殊事情です。プラス材料が、あまりに少ないんですよ」(同前)
意外な形でチームに貢献しているベテランの移籍組。二軍で苦闘する姿に刺激を受け、巨人の救世主となる若手は現れるのだろうか。
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