1980年、愛媛県生まれ。上智大学経済学部卒。 ニューヨーク市立大学中退後、中国に渡り医療や知的財産権関連の社会問題を中心に現地取材を行う。20帰国後は、週刊誌や月刊誌などに寄稿。著書に『中国「 猛毒食品」に殺される』（扶桑社）など。

奥窪 優木

<figure id="attachment_309216" aria-describedby="caption-attachment-309216" style="width: 1875px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="ef3d7f9e"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/05/1682490577317.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-309216" class="wp-caption-text">駐車場でグッズを車に積む転売ヤーグループ。20～40代と思しき男女５人組だった。動きやすいようにするためか、ラフな服装にスニーカーを履いていた</figcaption></figure>
<p>両肩にかけた大型のビニールバッグをパンパンに膨らませ、猛スピードで歩く５人組の集団。カップルや家族連れが行列を作っている人気アトラクションには目もくれない。まだ開場間もない午前中だというのに、彼らは人波を逆行し、猛然と出口へと向かった……。</p>
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<p>４月上旬、東京ディズニーリゾート（ＴＤＲ）開園40周年を数日後に控えたディズニーシーに、異様な集団の姿があった。パークを出た彼らは隣接する駐車場に向かうと、停めていたミニバンのトランクを開け、ビニールバッグの中身を次々と車内に積み込んだ。その中身とは、この日、パーク内で発売されたばかりの新作限定グッズの数々だった。</p>
<p>以前から「中国人ディズニー転売ヤー」の出没情報を入手していた筆者が彼らに駐車場で声をかけると、リーダー格らしき女性・リュウ氏（仮名）は、あっさりと取材を許諾。そして、あっけらかんとこう語った。</p>
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<p><span class="strongInContent">「これでだいたい100万円分使った。でも、まだまだこれからだよ」</span></p>
<p>ディズニーグッズをはじめとした組織的転売行為に対しては批判の声も多数あがっているが、当の彼らに後ろめたさは微塵もないようだ。筆者が密着取材を申し込むと、これもあっさり快諾された。</p>
<p>グッズを車に積み終えると、彼らは空になったビニールバッグを手にパークに再入場。またも人混みの中を突き進んでいった。目指すのは、パーク内のグッズ販売店だ。お目当ては、やはり新発売の限定グッズだという。</p>
<p>15分ほどすると、グッズを大量購入して店外へ出てきた。しかしその直後、再び店内へ。退店と入店を４回ほど繰り返すと、彼らのビニールバッグはまたもパンパンに膨らんだ。入退店を繰り返す理由をリュウ氏が明かす。</p>
<div data-friday-nextpage-lead="入退店を繰り返す理由"></div>
<p><span class="strongInContent">「新作限定グッズは、入園チケット一枚につき同一商品３点までしか買うことができないのよ。色違いとかは別商品扱いになるんだけど、チケット１枚だけじゃ十分な仕入れができないから、私たちのグループは全員がひとり４枚ずつ入園チケットを買ってるの。購入上限が来たら店から出て、別のチケットを使って入り直しているわけ。これなら、同一商品をひとり12点まで買える」</span></p>
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<p>一つのショップでグッズを買い込むたびに、彼らはゲートを出て駐車場へ。車に「商材」を積み終えると、再入場してまた別の販売店で「買い占め」を行うということを５回にわたって繰り返した。</p>
<p>ようやく彼らの業務が終了となったのは、午後７時過ぎ。ついに駐車場のミニバンが、商材でパンパンになったのだ。メンバーの一人によると、</p>
<p><span class="strongInContent">「今日の買い付けは総額450万円くらい」</span></p>
<p>とのことだった。</p>
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<p>筆者の歩数計アプリでは、彼らに密着して歩いた距離は14㎞を超えていた。ちなみに、彼らはほぼ毎月、限定グッズの発売日に合わせ、「買い付け」を行っているという。</p>
<p>仕入れたグッズを都内某所の倉庫に運び込んだ彼らは、『小紅書』という中国版のメルカリのようなサイトに出品。定価２６００円のぬいぐるみが送料別で約４０００円で出品され、飛ぶように売れていた。</p>
<p>前出のリュウ氏によると、同じような中国人グループは「いくつあるかわからない」と言うほど大量に存在しているという。彼らの転売行為は、法的に問題はないのだろうか。加藤・浅川法律事務所の加藤博太郎弁護士に聞いた。</p>
<p><span class="strongInContent">「ＴＤＲが定める利用約款では、転売目的でのグッズ購入が禁止されており、違反者には入園拒否や退園を求めることができます。しかし、刑事や民事でペナルティを科すことは現状難しい。ただ、今後も転売行為が常態化していけば、ＴＤＲ側がブランドイメージの毀損を理由に損害賠償請求を行うなどの動きに出ることは考えられます」</span></p>
<p>ディズニーを愛する人々の手に商品が届かなくなるような事態は避けるべきだ。</p>
<figure id="attachment_309213" aria-describedby="caption-attachment-309213" style="width: 2500px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="49973d4d"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/05/1681885688276.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-309213" class="wp-caption-text">都内某所の転売ヤーグループの倉庫には、グッズが入っていると思われる段ボールが山のように積まれていた</figcaption></figure>
<figure id="attachment_309215" aria-describedby="caption-attachment-309215" style="width: 1853px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="e53bbfbb"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/05/1681887142407.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-309215" class="wp-caption-text">『小紅書』という中国のＥＣサイトの画面。大量に仕入れた限定グッズはすぐさま出品され、次々と買い手がついた</figcaption></figure>
<p>『FRIDAY』2023年5月12・19日号より</p>


ライター・奥窪優木

ディズニーシーに、異様な集団の姿があった！グッズを車に積み終えると、彼らは空になったビニールバッグを手にパークに再入場…彼らは、あっさりと取材を許諾。密着してみると、恐るべき実態が…

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