芦田愛菜、鈴木福、『乃木坂』池田瑛紗に小倉優子も…芸能界で「大学合格」が〝大きく報じられる〟ワケ
芸能人の大学進学など今ではそれほど珍しいことではないのだが、毎年4月は一般的に入学シーズンということもあってか、芸能人の大学進学が話題になる。
今年は特に芦田愛菜がクローズアップされていたが、他にも子役時代に芦田とドラマで共演していた鈴木福は芦田と同じ慶應大学に。乃木坂46の池田瑛紗は芸術系大学の最高峰・東京芸術大学。本田望結は早稲田大学。谷花音は大学名は明らかにされていないが進学することが発表された。
そして、バラエティー番組のチャレンジ企画でいくつかの大学を受験していた小倉優子は白百合女子大に入学することが決まった。
それぞれ話題となり、ネットはもちろん各メディアで取り上げられているのだが、芸能人の大学進学がなぜこんなにニュースになるのだろうか。
「確かにエンターテインメントの世界で学歴は関係しないことから、日本の芸能界では芸能人に学歴は必要ないとずっと昔から言われています。また悪しき先入観ですが、芸能人は低学歴と決めつけていた節もあります。その割に”大卒”と聞いただけで、勝手にグレードが上がったように見てしまう風潮がありました。
学歴コンプレックスを持つ芸能人が少なからずいたことは事実です。そういう人たちは成功してから大学に入学し、学生と芸能人の二足の草鞋を履くことになり、ニュースになることも多々ありました。大卒が一種のステータスと見られていた時代ですね」(女性誌記者)
だから、芸能人が大学受験を試みることがことさら大きく取り上げられ、バラエティー番組のチャレンジ企画でも受験が選ばれることがあった。
「ひとりのタレントに何かのチャレンジをさせ、達成するまでを記録して放送する企画は、行程そのものがドラマチックであって下手に演出をしなくて済みますし、興味を持つ人も多く数字(視聴率)を取りやすいのです。
ただ『世界の果てまで イッテQ!』(日本テレビ系)でやっているような世界の名峰を制覇したり、お祭りに参加するなどタレントが体を張って挑戦するものは、予算と危険が伴うのでそう簡単には企画できません。ですが、大学受験なら本人が頑張りさえすれば何とかなりますからね。それでいて数字もそこそこ取れましたから…」(制作会社ディレクター)
だが時代は変化した。会社に就職するにあたって大卒に多少アドバンテージがあるが、以前ほどではない。また大学の数も格段に増え、選びさえしなければ入学はそれほど困難ではなくなっている。
〝大卒〟が持つステータスとしての意味合いは薄くなっているし、大学に価値を感じない世代も増えている。
にも拘わらず、変わらず芸能人の大学進学が話題になる。
「勉強と仕事を両立できなくて進学をあきらめたり、芸能界を去っていった人たちはいます。芦田さんや鈴木さんが称賛されるのは仕事をしながら勉強もちゃんとしているという、日本人が昔から愛してやまない“勤労学生”だからです。
しかも誰でも入れるという大学じゃないですからね。大卒や在学中のタレントは増えましたが、話題になるのは大学が一流校や名門校の場合が多い。ただ大学というだけでは注目されないですね」(前出‧女性誌記者)
しかし〝芸能人の大学進学が大きくニュースになるのは世界でも日本くらいだろう〟と言うのは海外での取材も手掛ける映画ライター。
「ハリウッドの俳優がどこの大学を卒業とか、どこに入学したとか日本ではニュースになることがありますが、現地ではとりたてて報じられることはないですね」
日本には『学歴ロンダリング』という言葉もある。『一流大学』に『名門大学』、時代が変わって新たな『学歴コンプレックス』の誕生か……。
- 文:佐々木博之(芸能ジャーナリスト)
- PHOTO:時事
芸能ジャーナリスト
宮城県仙台市出身。31歳の時にFRIDAYの取材記者になる。FRIDAY時代には数々のスクープを報じ、その後も週刊誌を中心に活躍。最近は、コメンテーターとしてもテレビやラジオに出演中