<figure id="attachment_310042" aria-describedby="caption-attachment-310042" style="width: 1024px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="c4307754"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/05/2023042215226.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-310042" class="wp-caption-text">４月22日、ポルトガル２部リーグのアカデミコ・デ・ビゼウ戦で、後半終了間際に公式戦初出場を果たしたオリベイレンセ・三浦知良（写真：共同通信）</figcaption></figure>
<p>今季プロサッカー選手として38年目、56歳を迎えたカズこと三浦知良はポルトガル２部リーグ・オリベイレンセで現役続行中だ。今年２月にレンタル移籍契約を結び、４月22日にアウェーのアカデミコ・デ・ビゼウ戦で移籍後初出場して同リーグの現役最年長記録を更新した。現役続行への並々ならぬ思いや、そのための鍛錬はさることながら、カズが明かす「還暦（60歳）まで現役」というモチベーションを現実にするために支えている人物がいる。J１横浜FC・小野寺裕司会長（57）だ。</p>
<p>もともと給食委託事業をしていた実業家の同氏は2005年から横浜FCの筆頭株主となり、サッカーのクラブを経営しながら、フードサービスの世界進出を図り、2013年に「鮨　銀座おのでら」を立ち上げた。この店がミシュランの星獲得の有名店となり世界にも店舗を出すまでに成長しているからこそ、キングカズの現役続行が実現しているという。</p>
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<h3>ポルトガル移籍の橋渡しとなった人物</h3>
<p>サッカーJリーグは今年の５月15日で節目の誕生30周年を迎える。1993年、東京・国立競技場で行われた熱狂の開幕試合（V川崎―横浜M）では５万9626人を動員、この試合にフル出場した選手で現役を続けているのはもちろん、カズだけだ。</p>
<p>56歳の現役選手でいられることも驚きだが、今季はポルトガルのリーグでプレー。海外でのプレーは’99年クロアチアリーグのザグレブに所属して以来だ。今年２月26日のカズの誕生日に行われた、オンライン会見でも「誕生日を迎えるたびに、ピッチに立ちたいという思いが強くなる」と、本人の現役続行に対する意気込みは全く色あせていない。</p>
<p>56歳ともなれば、セカンドキャリア、サードキャリアを考えるサラリーマンも多い。そんな時期にカズの海外移籍が実現した。肉体面でのケアは抜かりない。専属のトレーナーら「チームKAZU」の面々が食事面などを含めてバックアップしている。本人はポルトガルでも「トレーニングが終わるとクタクタになる。でもそのクタクタが充実感でもある」と話す。それでも現実は厳しい。50歳を過ぎたあたりから横浜FCでの起用法は『先発して60分間プレー』もしくはチームがリードした展開で終了間際の『交代要員』の２パターンに限られていた。</p>
<p>カズが現役を続けられるのは、強力な支援者抜きには語れない。そのうちのひとりが、横浜FC・小野寺会長で、今回カズのポルトガル移籍の橋渡しをした人物といっても過言ではない。</p>
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<p>2001年に父眞悟氏が’83年に創業した給食事業を展開していた「株式会社メディカルサポート」を引き継ぎ、33のグループ会社を束ねて２万人を超える社員を抱える「ONODERA GROUP」の総帥だ。今年３月期には1140億円（単体）という売り上げを記録した。</p>
<p><span class="strongInContent">「小野寺会長はカズさんが2005年に神戸から横浜FCに移籍してから（サッカー界に）資本参加を始めました。翌’06年にはカズさんに対して選手兼監督補佐のポジションを作るなど、常に〝カズ全面支援〟を打ち出す会長です。横浜FCの監督はカズさんよりも年下の監督が指揮をとっていますが、小野寺会長はカズさんと同い年ですから相性もよく、周囲が思うほど居心地の悪さは感じていなかったと思います」（スポーツ紙サッカー担当記者）</span></p>
<p>その小野寺会長が昨年11月、1922年（大正11年）に創立したオリベイレンセを買収した。ポルトガル２部リーグでそれも2020−21シーズンには３部リーグに降格するなど成績不振が続くクラブを電撃買収したのだ。サッカーではJリーグと欧州のクラブを共に保有するのは「ONODERA GROUP」が初めてになる。なぜその必要があったのか。</p>
<div data-friday-nextpage-lead="『ONODERA GROUP』が豊洲の一番鮪を競り落とした"></div>
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<figure id="attachment_310044" aria-describedby="caption-attachment-310044" style="width: 1024px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="26c32240"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/05/2020042504205.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-310044" class="wp-caption-text">’93年５月、Jリーグ開幕戦でプレーする三浦知良（右、写真：共同通信）</figcaption></figure>
<p>カズは51歳で迎えた’18年シーズンから横浜FCでの出場機会が激減したが、Jリーグ誕生の功労者であり、そのネームバリューも衰えないことから、毎年オフになると国内リーグを中心に「カズを獲得したい」というオファーが殺到していた。昨季はJ４にあたる、プロアマ混在の日本サッカーリーグ（JFL）に属する鈴鹿ポイントゲッターズにレンタル移籍した。</p>
<p><span class="strongInContent">「この時、小野寺会長は’06年の時のように横浜FCのチーム編成権を持ちながら現役続行する形を提案したと言います。しかし、カズさん本人は選手一筋で現役続行にこだわりました」（別のサッカー担当記者）</span></p>
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<p>その鈴鹿が昨シーズン途中に’20年11月のソニー仙台戦で八百長を疑われる事件が明るみになり、クラブが揺れた。今季も現役続行をのぞんでいたカズは最悪、所属先がなくなる可能性も秘めていた。小野寺氏がポルトガルのクラブを買収し、そのクラブに選手として移籍することは、カズにとっても嬉しいサプライズだった。プロのキャリアをポルトガル語圏のブラジルでスタートさせたカズにとって、言葉の問題もクリアできるからだ。</p>
<p>サッカーのレンタル移籍の場合、その選手の給与は保有権のあるクラブが支払う。カズを貸し出す横浜FCは所属先からレンタル料を得るわけだが、レンタルする所属先のトップは横浜FCの社長をつとめる人物。つまり小野寺氏が両クラブの事実上のオーナーにあたるため、おカネを支払えるか否かの心配は無用で、カズの現役続行をアシストするための買収、ともいえるレンタル移籍だったのだ。</p>
<h3>「一番鮪」を競り落とせるとカズの去就は安泰？</h3>
<p>「ONODERA GROUP」は’13年、創業30周年事業として寿司店をフードサービス部門として始めた。銀座の本店を拠点に「立喰」や「廻転」など新業態の店舗もはじめ、日本だけでなく上海、ハワイ、米国など５地域13店舗を構えるまでになった。今年も新年５日の東京豊洲市場の「鮪の初競り」で一番鮪（212キロ）を3604万円で落札している。</p>
<p><span class="strongInContent">「今年だけではありません。『ONODERA GROUP』が豊洲の一番鮪を競り落としたのは今回で３年連続４回目になります。『一番鮪を競り落とせたからカズの去就は安泰だ』なんて声もあるほどでした」（サッカー関係者）</span></p>
<p>一番鮪を競り落とすために、寿司店や仲卸業者は毎年１億円近い資金を準備してその年の最初の勝負をかける。鮪１本の平均価格は500万円前後なので、新春の初競りの時点では金銭的には赤字だ。ただ、正月における「ご祝儀相場」の意味合いが濃く、「一番鮪を競り落とした」という事実は、年明けのワイドショーなどでも報道されるため、国内外に向けた絶大な宣伝効果となる。</p>
<p>コロナ禍にあっても、海外での日本の「鮪人気」は健在で、３年連続で一番鮪を競り落とし続けたことで、「鮨　銀座おのでら」の信頼度も上がり、口コミでも「4.5」という高評価を続けた。’21年には表参道で廻転、銀座では立喰の業態で開店し、高級寿司を気軽に食べられるイメージを植え付け、さらに店舗が増えそうな勢いだ。『ONODERA GROUP』が一番鮪を競り落とせば今年のカズの去就も安泰』とは、決して冗談ではないのだ。</p>
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<p>カズとオリベイレンセのレンタル契約は今夏に満了を迎える。「夏には必ず日本に戻ってくる」と明かしていたカズは、５月15日にJリーグ開幕30周年を迎えるにあたり、こんなコメントを残した。</p>
<p><span class="strongInContent">「サッカーはずっと好きでプレーも続けたい。Jリーグでもブラジルでもいろんなところでやりたい。自分の今のレベルもありますから（苦笑）。今は（ポルトガル２部リーグで）来週の試合（日本時間16日・対トレエンセ）のメンバーに入るため、毎日、毎日必死です」</span></p>
<p>今夏以降も現役続行をのぞむカズは日本を中心に次の所属先を探すことになるが、その思いが実現するかどうかは、“伴走者”が展開する寿司店の売れ行きがカギを握っている。</p>
<figure id="attachment_310111" aria-describedby="caption-attachment-310111" style="width: 762px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="c511c9fa"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/05/IMG-7554.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-310111" class="wp-caption-text">カズの現役続行をアシストする『『ONODERA GROUP』の小野寺裕司会長（小野寺氏のFaceBookより）</figcaption></figure>
<figure id="attachment_310207" aria-describedby="caption-attachment-310207" style="width: 823px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="c27c30c8"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/05/IMG-0196.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-310207" class="wp-caption-text">表参道にある『廻転鮨　おのでら』。価格は一般的な回転寿司よりやや高めの印象だが、平日昼間でも店内はお客でいっぱいだった</figcaption></figure>


４月22日、ポルトガル２部リーグのアカデミコ・デ・ビゼウ戦で、後半終了間際に公式戦初出場を果たしたオリベイレンセ・三浦知良（写真：共同通信） 今季プロサッカー選手として38年目、56歳を迎えたカズこと

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