<h3><span class="strongInContent">映画『ハリー・ポッター』のロケ地には、日本人が「行きたい国」上位ランキングのイギリスの名所がてんこ盛り！</span></h3>
<p><span class="strongInContent">「『ハリー・ポッター』は通しで３回は見ました。作品によっては10回以上見たものもあります。私は子どものころから『指輪物語』や『ナルニア国物語』など、イギリスのファンタジー文学が大好きでした。そもそもイギリスは優れたファンタジー文学が数多く生まれていることでも知られています。『ハリー・ポッター』は、このイギリス・ファンタジーの魅力を最大限に表現していると思います。</span><span class="strongInContent"> </span><span class="strongInContent">古びた魔術本がたくさん並んでいる図書館や校長室のアンティークな雰囲気。とてもわくわくします」</span></p>
<p>こう語るのは、立正大学文学部哲学科教授の武内大先生。西洋の魔術を専門に研究している。<span class="strongInContent"> </span></p>
<figure id="attachment_310668" aria-describedby="caption-attachment-310668" style="width: 1701px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="f1c78bbe"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/05/1_main.png" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-310668" class="wp-caption-text">’23年夏にオープンする「ワーナー ブラザース スタジオツアー東京 &#8211; メイキング・オブ・ハリー・ポッター」のチケットも4月18日発売された（Klook Travel Technology合同会社のプレスリリースより）</figcaption></figure>
<p><span class="strongInContent">「この映画では、アニック城、ダラム城、グロスター大聖堂など、中世のイギリスで発達したノルマン様式の重厚かつ荘厳な建築物がロケ地として使われております。日本で人気なのも、こうしたイギリスの伝統文化への憧憬があるからだと思います」</span></p>
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<p>実際、旅行代理店等が日本人を対象に実施した「行きたい国ランキング」では、イギリスが常にベスト10以内にランキングされている。</p>
<figure id="attachment_310669" aria-describedby="caption-attachment-310669" style="width: 2004px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="47b1616c"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/05/2_aflo_21616566.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-310669" class="wp-caption-text">『ハリー・ポッター』に登場する図書館はオクスフォード大学のボドリアン図書館がロケ地になった（PHOTO:：アフロ）</figcaption></figure>
<h3><span class="strongInContent">実在した「魔法魔術学校」と「魔術師」たち</span><span class="strongInContent"> </span></h3>
<p>イギリスではファンタジーが多く生まれたとのことだが、ファンタジーと言えば魔法・魔術はつきものだ。<span class="strongInContent"> </span></p>
<p><span class="strongInContent">「イギリスには長い魔術の伝統があります。16世紀には、エリザベス朝最大の賢者と謳われたジョン・ディーという人物が、霊媒師エドワード・ケリーとともに水晶球を用いて天使や精霊たちと対話し、膨大な記録を残しております。ちなみにディーの風貌は、老賢者の典型的イメージそのもので、ホグワーツ魔法魔術学校のダンブルドア校長を彷彿させます」</span><span class="strongInContent"> </span></p>
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<p>19世紀になると、魔術文化は最盛期を迎え、1801年にはフランシス・バレットという人が『魔術師』という本を刊行し、そこで自分が開設した魔術学校の生徒を募集したのだとか。</p>
<p>つまり、ホグワーツ魔法魔術学校は実在した！？<span class="strongInContent"> </span></p>
<p><span class="strongInContent">「定員12名ですから、かなり小規模なものですけどね」</span></p>
<div data-friday-nextpage-lead="アイドルに熱狂するのも魔術のせい？"></div>
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<p>18世紀に端を発するゴシック文学も、19世紀になると徐々に広まり、メアリー・シェリーの『フランケンシュタイン』やブラム・ストーカーの『ドラキュラ』などの傑作が誕生した。</p>
<p>ゴシック小説のモチーフは、「古城」「秘密の部屋」「地下通路」「洞窟」……。なんだかまるで『ハリー・ポッター』の世界だ。<span class="strongInContent"> </span></p>
<p><span class="strongInContent">「1887年には『黄金の夜明け団』という秘密結社がマグレガー・マサースを含む３名の魔術師たちによって創設されました。その中心メンバーには、ノーベル賞作家W.B.イエイツもおります。彼はケルト妖精の研究に多大なる寄与を果たしたことでも知られております。</span><span class="strongInContent"> </span></p>
<p><span class="strongInContent">20</span><span class="strongInContent">世紀になると、“世界で最も邪悪な男”とも呼ばれた魔術師アレイスター・クロウリーが登場します。</span></p>
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<p><span class="strongInContent">彼は後の実践魔術やオカルト文化に大きな影響を与えました。</span></p>
<p><span class="strongInContent">さらに特筆すべきことに、1951年の魔女禁止法の廃止を機として、“ウイッカ”と呼ばれる魔女宗教の運動が興りました。</span><span class="strongInContent"> </span></p>
<p><span class="strongInContent">とにかく、イギリスのこうした実在の魔術文化の伝統がハリー・ポッター誕生の土壌になっていたことは間違いないと思います」</span><span class="strongInContent"> </span></p>
<p>実在していたという魔術師。まさか彼らは空を飛んだり、変身したりもしたのか？</p>
<p><span class="strongInContent">「もちろん、実際には無理です。しかしある意味では可能です。魔術師は儀式などを通じて特殊な意識状態になり、ある種のイメージ世界を出現させることができます。彼らはこのイメージ世界の中で空を飛んだり、変身したりします。現実ではありませんがかなりヴィヴィッドに体験することができます。</span></p>
<p><span class="strongInContent">現代であれば、こうしたイメージ世界をVR空間として技術的に構築することができるわけです」</span><span class="strongInContent"> </span></p>
<p>『ひみつのアッコちゃん』『魔法使いサリー』『魔女の宅急便』など、日本では昔からかわいい魔女が主人公のアニメーションが人気だ。魔法使いに憧れとともに、親近感を持っているのかもしれない。</p>
<figure id="attachment_310670" aria-describedby="caption-attachment-310670" style="width: 4500px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="92844362"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/05/3_N_main.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-310670" class="wp-caption-text">4月24日、ホグワーツ魔法魔術学校の象徴的な「大広間」が公開された（ワーナー ブラザース スタジオ ジャパン合同会社のプレスリリースより）</figcaption></figure>
<h3><span class="strongInContent">アイドルに熱狂するのも、広告を見て購入してしまうのも魔術のせい？</span></h3>
<p>武内先生によると、大衆のイメージ操作は、まさしく魔術的といえるのだとか。</p>
<p><span class="strongInContent">「たとえば熱狂的なファンをもつアイドルを次々と送り出すプロデューサーは、現代の魔術師といえますし、建物の配置やデザインで人流を誘導し、いたるところに楽しませる仕掛けを施したテーマパークも魔術的といえます。</span><span class="strongInContent"> </span></p>
<p><span class="strongInContent">政治的なプロパガンダ、商業的な広告戦略も、人を思い通りに誘導するという意味では、ある種の魔術といえます」</span></p>
<p>そう言われてみると、我々は知らず知らずのうちに現代の魔術師たちに踊らされているのかもしれない。</p>
<p>６月にオープンする『ワーナーブラザース　スタジオツアー東京-メイキング・オブ・ハリー・ポッター』。ここにも我々を夢中にさせる魔術的な仕掛けがいろいろ施されているのだろうか。</p>
<p><span class="strongInContent">武内大　</span>立正大学文学部哲学科教授。文学博士。専門は現象学、西洋オカルティズム。主な論文として、「魔術的現象のリアリティ：魔女容疑者の体験分析」』（『フィルカル』＜ミュー＞）、「エリファス・レヴィにおけるタロット占いの意義」（『ユリイカ』＜青土社＞）、「ジョン・ディーにおける創造の問い」（『実存思想論集』＜理想社＞）など。</p>
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<p>‘Wizarding World’ and all related names, characters and indicia are trademarks of and © Warner Bros. Entertainment Inc. – Wizarding World publishing rights © J.K. Rowling.</p>
<div data-friday-nextpage-lead="待ち遠しいい『ハリー・ポッター』の世界"></div>
<figure id="attachment_310671" aria-describedby="caption-attachment-310671" style="width: 1200px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="9ab9a941"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/05/4_sub1.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-310671" class="wp-caption-text">ロンドン、キングズ・クロス駅、9と4分の3番線およびホグズミード駅の間を走る汽車、ホグワーツ特急（Klook Travel Technology合同会社のプレスリリースより）</figcaption></figure>
<figure id="attachment_310672" aria-describedby="caption-attachment-310672" style="width: 1200px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="ffc3665e"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/05/5_sub2.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-310672" class="wp-caption-text">トロリー体験（Klook Travel Technology合同会社のプレスリリースより）</figcaption></figure>
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<figure id="attachment_310673" aria-describedby="caption-attachment-310673" style="width: 1200px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="cc1870d8"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/05/6_sub3.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-310673" class="wp-caption-text">グレート・ウィザーディング・エクスプレス（Klook Travel Technology合同会社のプレスリリースより）</figcaption></figure>
<figure id="attachment_310674" aria-describedby="caption-attachment-310674" style="width: 2362px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="baf51c0a"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/05/7_sub4.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-310674" class="wp-caption-text">動く階段（Klook Travel Technology合同会社のプレスリリースより）</figcaption></figure>
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中川いづみ

６月のオープンが待ち遠しい『ワーナーブラザース　スタジオツアー東京-メイキング・オブ・ハリー・ポッター』。なぜ日本人はこんなに「ハリー・ポッター」が好きなのか？　西洋の魔術の研究者に聞きました。

現代人をも惹きつける魔術的な「仕掛け」…なぜ日本人はこんなに「ハリー・ポッター」が好きなのか？

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