<figure id="attachment_310728" aria-describedby="caption-attachment-310728" style="width: 1632px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="5268ee1c"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/05/ce82fd5f3c07b8fe599d08054df8553e.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-310728" class="wp-caption-text">「テーブルオーダーバイキング」は密を回避し、食材を並べておく必要がないため、コロナ禍で注目を集めた</figcaption></figure>
<p><span class="strongInContent">〈待ち組数：26組〉</span></p>
<p>夕食にはやや早い土曜日の17時。本誌記者が焼き肉チェーン「焼肉きんぐ」の都内店舗を訪れると、入り口は順番待ちの客でごった返していた。店頭モニターに表示された待ち組数に驚くが、多い時には70組、５時間待ちになることもあるとか。いま「最も混雑する外食チェーン」と言って差し支えないだろう。</p>
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<p>″おひとり様″の男性や女子高生グループなど、さまざまな客層の大多数が選ぶのが、税込み3498円で100分食べ放題の「きんぐコース」。注文はすべてタッチパネルで、品物を運ぶのは全自動の配膳ロボットだ。店員は「焼肉ポリス」と書かれた腕章を巻き、焼き方を説明して卓を回る。注文した品物がなかなか届かないのが「食べ放題あるある」だが、焼肉きんぐでは″遅延″はほぼない。</p>
<p>しっかりタレが染み込んだカルビ、焼いても硬くならないホルモンに加え、「壺漬け一本ロース」など物珍しいメニューもあり、どれもジューシーだ。〆の冷麺やアイスも食べ放題。酒や単品を追加しても２人で８０００円に収まった。行列もネットで事前予約すれば解決。まさに「きんぐ」にふさわしい満足度だ――。</p>
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<p>「家族で味わう、ちょっと贅沢な外食」の代名詞だった焼き肉は、以前よりぐっと身近な外食に変化した。いきおい、年間１兆円規模とされる市場でパイの奪い合いが激化。戦国時代の様相を呈している。新規参入チェーンが次々現れ、生命線である牛肉の調達も容易でなくなった。</p>
<p><span class="strongInContent">「原油高やウクライナ情勢の不安定化など複数の要因で牛肉の卸値価格が上がる『ミートショック』が直撃しています。もともと原価率が高い、薄利多売のビジネスモデルですから、サイドメニューの充実やホスピタリティなどの面で、チェーン各社の工夫が問われる時代に突入しました」（フードジャーナリスト・長浜淳之介氏）</span></p>
<div data-friday-nextpage-lead="焼き肉のあり方が変わった"></div>
<h2>焼き肉のあり方が変わった</h2>
<p>焼肉きんぐに並ぶ時代の寵児が、’18年に登場した「焼肉ライク」だ。ファストフード感覚で焼き肉を食べられるようになり、「ひとり焼き肉」のマイナスイメージを払拭した。</p>
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<p>都心ターミナル駅近くの店舗に本誌記者が訪れると、12時ごろには７人の行列が。全員がひとり客で、15分ほどでカウンター席に案内された。目前には無煙ロースターとタッチパネル、両サイドに仕切りが立てられている。少し窮屈に感じるものの、周囲の目を気にせず焼き肉を楽しめる。カルビ２種、ハラミに牛タンを盛り合わせた人気の「ライククワトロセット」（税込み１７５０円）を注文すると、ものの２分で肉が出てきた。２種類の醤油ダレなど「味変」のバラエティが豊富で、飽きることなく楽しめる。</p>
<p>店員は替え網やアルコールスプレーが入ったバッグを小脇に抱え、一席一分とかからず片付けていく。キッチンを含めて４人。「店舗によっては最低２人で回せる」（店員）というから、人手不足の飲食業界で急拡大できたのだろう。</p>
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<p><span class="strongInContent">「ロースターの前にトレーがすっぽりはまる溝があり、隣客の邪魔にならず、目の前に集中できるコンセプトになっています。ひとりで定食屋に入ってサッと食べて帰るという、焼き肉のあり方を変えたのが大きなポイントだと思います」（『近代食堂』編集長の雨宮響氏）</span></p>
<p>ファミリー層に安くて「楽しい」焼き肉を提案する焼肉きんぐと、ソロ焼き肉の手軽さと営業効率を追求した焼肉ライク――。こうしたニューカマーの勢いに押され、店舗数日本一を誇る絶対王者「牛角」の人気に翳（かげ）りが見えている。「炭火焼き肉」に価格破壊を起こし、海苔（のり）やネギをトッピングした「カルビ専用ごはん」や「牛角アイス」など目新しいサイドメニューで集客してきた牛角だが、店舗数は３年連続で減少中だ。その理由を、フードアナリストの重盛高雄氏が分析する。</p>
<p><span class="strongInContent">「近年の牛角は、食べ放題や電子マネー決済を実施している店もあればそうでない店もあり、戦略にブレがあります。最も安い食べ放題（税込み３２７８円）は70品中『牛』とつくメニューが３品しかなく、注文してもなかなか届かないことがある。看板メニューを食べ放題にラインアップする焼肉きんぐのほうが、ストレスがありません」</span></p>
<p>有名焼き肉チェーンの関係者は、牛角の苦境をこう見ている。</p>
<p><span class="strongInContent">「牛角は、フランチャイズ店が大半で人材育成が追いつかないうえに、閉店が続き、経験豊富な従業員が他チェーンに流出している。品数が増えてオペレーションが複雑化していく一方で、人手は足りない。結果、ピーク時に客を待たせる店が増えている」</span></p>
<div data-friday-nextpage-lead="早くも「ネクスト焼肉きんぐ」が"></div>
<h2>早くも「ネクスト焼肉きんぐ」が</h2>
<p>牛角のように苦戦している老舗（しにせ）がある。’63年創業の「安楽亭」だ。以前から食べ放題を売りにリーズナブル路線を取ってきた。税込み３４９８円で80品以上が食べ放題の「パワー焼肉コース」が主力だが、’22年３月期決算は５億７１００万円の赤字見通し。集客力回復が課題だ。</p>
<p>安楽亭の現役店員が言う。</p>
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<p><span class="strongInContent">「安楽亭はコスパを求める客層がほとんどですが、ビールやスイーツなどサイドメニューが競合他社に比べて若干高い。『安い』イメージが定着しているために、単価の高い新作を出してもスルーされがち。いちばん高い『極ゴージャスコース』（税込み８７７８円）はほぼ注文が入らず、客層を絞れていないように見えます。売り上げ目標を達成できない日が月の半数以上ある店もあります。私の店も満卓になるのは土日の昼時だけです」</span></p>
<p>単に安いだけなら、「牛繁」や「安安」など、アラカルトでもリーズナブルなチェーンが駅近にある。反対に、高級路線の「叙々苑」は２０００円台、「焼肉トラジ」が１０００円台（いずれも税込み）でランチを提供している今、プチ贅沢の需要はそちらに流れる。</p>
<p><span class="strongInContent">「牛角や安楽亭など、大手の強みは企業の体力です。輸入肉の高騰が続けば、新規参入チェーンは淘汰される可能性があります。大手はそれでも坦々と営業を続けられるかが今後を左右します。不採算店舗の整理などを進めていますが、即効性のある打開策は見えないのが現状です」（飲食コンサルタントの三ツ井創太郎氏）</span></p>
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<p>新興チェーン２強の勢いはしばらく続きそうだが、その座を脅（おびや）かそうと目論むローカルチェーンがある。そのひとつが愛知県を中心に展開する「あみやき亭」だ。業界最安級の３０００円（税込み）でドリンクバー付きの食べ放題を提供するほか、一皿あたりの盛り付け量が多いのが特徴だ。ファミリー層の受けがよく、ＳＮＳを中心に口コミが広がっている。</p>
<p>関西を中心に″ひとつ上の食べ放題″のコンセプトを打ち出す「ワンカルビ」も、今後の注目株になりそうだ。</p>
<p>店舗で実食すると、肉の質感や厚さは焼肉きんぐなどよりも明らかにリッチだ。看板メニューの「ワンカルビ」は、ステーキのような一枚肉で、火の通りやタレの絡みを計算した細かい切れ込みが入っている。「全品焼肉食べ放題コース」は税込み４１５８円と他社より高いが、小学生以下と60歳以上は割引があり、３世代からの集客を狙う。</p>
<p><span class="strongInContent">「同店の経営元はもともと老舗の精肉店で、仕入れと肉の加工に強みがあります。今後、肉のノウハウがある企業が、ニッチなチェーン展開で成功するケースが続くかもしれません」（前出・雨宮氏）</span></p>
<p>早くも熾烈なネクスト焼肉きんぐ争い。ダークホースは、ワンカルビか。</p>
<figure id="attachment_310725" aria-describedby="caption-attachment-310725" style="width: 2500px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="fa758e34"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/05/S__18481164.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-310725" class="wp-caption-text">焼肉きんぐの店内を巡る「サービィ」は重量を感知し、客が注文の品を受け取ったか自動で判断して移動する</figcaption></figure>
<figure id="attachment_310724" aria-describedby="caption-attachment-310724" style="width: 2358px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="f7b1563a"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/05/D85D573C-B3FF-4329-A081-90DA264D1ED7.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-310724" class="wp-caption-text">1000円以下のランチメニューや「朝焼肉」も取り入れ、ニーズに対応する焼肉ライク。都心主要駅近に急増中</figcaption></figure>
<figure id="attachment_310729" aria-describedby="caption-attachment-310729" style="width: 2500px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="05642aae"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/05/4d865327bc82e9b7af6615eb08e3ece6.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-310729" class="wp-caption-text">チョレギサラダ（左奥）や生卵など、サイドメニューの種類が豊富なのも焼肉ライクの強み。提供も非常に速い</figcaption></figure>
<figure id="attachment_310723" aria-describedby="caption-attachment-310723" style="width: 2500px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="8ca68826"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/05/AB7DF19A-CF57-40F5-8975-9D95FD459A4A.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-310723" class="wp-caption-text">「炭火で焼肉が食べたい」をコピーに、統一された店内でいつもの味が食べられるのを売りに拡大した</figcaption></figure>
<figure id="attachment_310727" aria-describedby="caption-attachment-310727" style="width: 2500px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="b6a20deb"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/05/2b9222ec56936f54bb1d6a55565b602a.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-310727" class="wp-caption-text">ロードサイド戦略で店舗拡大するあみやき亭。写真の調布店は鶴川街道沿いで、中央道調布ＩＣ至近</figcaption></figure>
<figure id="attachment_310726" aria-describedby="caption-attachment-310726" style="width: 2378px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="94295786"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/05/WF0526_P063.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-310726" class="wp-caption-text">※上表店舗数は５月９日時点</figcaption></figure>
<p>『FRIDAY』2023年5月26日号より</p>


"ちょっと贅沢な外食"の代名詞だった焼き肉は、以前よりぐっと身近な外食に変化した。新興勢力２社のニューカマーの勢いに押され、絶対王者｢牛角｣に翳（かげ）りが…「焼き肉チェーン戦国時代」を制すのは！？

絶対王者｢牛角｣に新興勢力｢きんぐ｣&｢ライク｣…「焼き肉チェーン戦国時代」を制すのはこの店だ！

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