「保護者はどっちだ?」市川猿之助〝Xデー〟間近で松竹と所属事務所で始まった「駆け引き」
歌舞伎俳優・市川猿之助の事件をめぐって、対応が分かれた――。
猿之助の所属事務所『ケイファクトリー』は5月23日、公式サイトで「女性セブン」で報じられたハラスメント報道について声明を発表。猿之助は去る18日、東京・目黒の自宅で父親の市川段四郎さん、母親とともに倒れているところを発見された。
両親は亡くなり、猿之助も救急搬送されたが、現在は退院し、警察の事情聴取を受けている。警察は猿之助が一家心中を図ったものとみて捜査しているが、動機や現場の状況から不可解な点も多い。
公式サイトでは一連の事件について
「先日来、一連の事象に関する様々な報道がされておりますが、今なお当局等による対応が続いており、弊社としても要請に応じた協力をしつつ、松竹様と連携をとり、慎重に各方面からの情報把握に努めているところでございます」
と説明。ハラスメント報道については
「今まで猿之助に関わった複数のマネージャーに聞き取りをしましたところ、弊社管轄の現場において、そのような事実は現在出てきておりません」
と否定した。また18日に女性マネージャーが自宅を訪問したいきさつについて
「週刊誌の発売に合わせてマスコミ・報道関係者が自宅に訪れることが予想され、近隣住民皆様のご迷惑にならないよう、自宅~明治座間での移動に同行する予定でおりましたことをご報告申し上げます」
と伝えた。
かいつまんで言えば「ハラスメントはなかった」「事務所としては適切に対応している」ことを強調した文章。案の定、ネット上では
《じゃあ何でこんなことになった?》
《事実でないなら訴えればいいのに》
といった意見が散見される。
他方、歌舞伎興行を行う松竹株式会社は24日に公式サイトで書面を掲載。東京・歌舞伎座『六月大歌舞伎』(6月3日~25日)昼の部『傾城反魂香(けいせいはんごんこう)』の猿之助の休演と中村壱太郎への配役変更を報告した上で
「現状、様々な報道がなされており、弊社としての十分なご説明をさせていただけませんことは大変心苦しい限りですが、事態の解明が途上の中でのコメントや弊社対応の経緯に関するご説明等は引き続き差し控えさせていただきたく存じます」
とコメントした。芸能関係者は
「ケイファクトリーは松竹とともに真相究明を行う立場。片方がハラスメントは『なかった』と言い、もう片方が『調査中』では世間に誤った印象を与えかねない。そこは足並みを揃えて発表するべきだったように思う」
と語る。
ケイファクトリーが一刻も早く立場を鮮明にした背景には、今後起こりうるであろう〝違約金〟の問題が関係しているのかもしれない。
すでにNHKは大河ドラマ『風林火山』や昨年の『鎌倉殿の13人』など、猿之助出演作の再放送を中止。6月16日には天海祐希主演『劇場版 緊急取調室 THE FINAL』の公開が迫っているが、事件を受けてプロモーションの一部に影響が出始めている。
「予定通り公開するか否かの判断はまだ決めていないようですが、仮に猿之助さんが逮捕されるようだと、お蔵入りやむなしといった空気になる。となると、ウン億円の製作費がパーになるし、作品自体が〝いわくつき〟となってしまう。
ケイファクトリー側が『我々の管轄ではハラスメントはなかった』と先に明言したことで、松竹としては、のちの調査でハラスメントが判明した場合、責任が問われることになるかもしれません」(映画関係者)
松竹も松竹で18日に出した声明で猿之助は「雇用関係にはない」と述べている。水面下では猿之助をめぐる責任の所在について駆け引きが始まっているとみていい。
当局の動きも気になる。全国紙社会部記者は
「以前に比べて、警察が情報を小出しにしなくなった。猿之助さんの証言にブレがあるようです。意を決して心中を図った人ならば、その辺りはさほどブレないと思うのですが……。捜査一課は猿之助さんの供述だけではなく、当時の状況を多角的に調べているようです」
と語る。
むしろ、事件そのものが映画化されてもおかしくない展開となっているが――。
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