<figure id="attachment_313663" aria-describedby="caption-attachment-313663" style="width: 3456px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="3eab6053"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/05/RE_SH547225.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-313663" class="wp-caption-text">アンカーハウジングのシェルターの内部。扉は２枚。内側の扉はぶ厚く気密性が高くなっている</figcaption></figure>
<p>ロシアのウクライナ侵攻や北朝鮮のミサイルの脅威、台湾有事など、危機意識の高まりから、核シェルターが注目されている。政府は昨年12月に閣議決定した安全保障関連３文書の中で、シェルター整備の方針を明記した。防衛省も今後５年間の整備計画の中で、自衛隊施設を地域住民向けの地下シェルターとして活用できる設計にする方針へ動き出していると報じられた。</p>
<p>現在、日本の核シェルターの普及率はわずか0.02％。シェルターの設置を法律で義務付けられていて普及率100％のイスラエルやスイスは言うに及ばず、02年のデータでは82～67％のアメリカ、ロシア、イギリスにも遠く及ばない。韓国・ソウル市や台湾で設置された核シェルターは人口の３倍以上の収容能力を持っているという。各国とも国家ぐるみで設置を進めているのに対して、日本ではごく一部のお金持ちがこっそり設置しているのが現状なのだ。しかも核シェルターを作ろうにも日本には独自の規格がない。現在販売されている「核シェルター」と名前のついた商品の多くは欧米の基準に満たないものだという。</p>
<div data-friday-ad-slot="AD_inArticle"></div>
<p>そんな日本でも核シェルターに関心を持つ人は増えているらしい。川崎市に本社があるアンカーハウジング㈱(https://ancarshelter.jp/)の吉山和實代表取締役は<span class="strongInContent">「昨年２月のウクライナ侵攻の翌日は問い合わせが凄かった」</span>と言う。現在でも問い合わせは増え続けており、日本だけでなくインドやマレーシアなどからもあるそうだ。</p>
<p>「核シェルター」という言葉を聞いたことはあっても、実際にどんなものか知っている人は少ないだろう。さっそく吉山氏に中を見せてもらった。同社ではかつてはアメリカから輸入したものを扱っていたそうだが、昨年から国産を開始している。</p>
<div data-friday-ad-slot="AD_inArticle"></div>
<p><span class="strongInContent">「アメリカ軍の基地などで使用されている規格のものを作っています。輸入ものの場合、輸送に莫大な費用がかかるうえに、溶接が不完全で隙間がある場合などがある。あっちはどうせ埋めてしまうから関係ない、という考えなんですね」（吉山氏・以下同）</span></p>
<div data-friday-nextpage-lead="シェルターの内部に潜入！"></div>
<p>階段を下りていくと船で見るようなぶ厚い鉄の扉が。開けて中に入るとガス給湯器大の黒い機械があり、そこから２本のダクトが天井に伸びている。</p>
<p><span class="strongInContent">「空気清浄機です。これがこのシェルターのキモの部分。放射性物質に汚染された外気を安全な空気にしてくれます。爆弾が落ちると気圧の変化で換気口が閉じられ、一定の時間が経ってから開くようになっています。動力は電気ですが、電気がない場合でも手動で発電して動かすことが可能です」</span></p>
<p>残念ながらこれは撮影不可。中は10㎡だそうだが意外と広く感じる。このシェルターは階段が筐体の中に入っているタイプなのだが、階段が外付けであればけっこう広そうだ。室内には２段ベッドが２つと、トイレ、キッチンが備え付けられている。普通に仕事場として使えそうだ。</p>
<p><span class="strongInContent">「仕事場や楽器の練習、麻雀部屋として使っている人もいます。ここは壁や床がむき出しの状態ですが、壁材を貼れば普通の部屋のようになります。温度が一定なのでワインセラーにもいいですね」</span></p>
<div data-friday-ad-slot="AD_inArticle"></div>
<p>もちろん、非常時のシェルターとしての機能はそろっている。地震や台風など災害時の避難場所やパンデミック時の隔離部屋にも使える。火災でも燃えないので金庫として使用することもできる。核シェルターの場合、一般的に２週間その中で生活することを前提としているが、吉山氏はより快適に過ごせることを目指しているという。</p>
<p><span class="strongInContent">「トイレは通常、出したものは袋に入れて置いておく方式なのですが、コンポストを導入して処理するスタイルにしました。電源はソーラーですが、それで賄えない場合でも非常用発電池を使えば、電灯やラジオ、PC程度なら２週間使えます。水は地下水を引いた前例もありますが、これは食糧とともに２週間ぶん備蓄しておいたほうがいいでしょう。そのための収納スペースも多めに確保しています」</span></p>
<p>シェルターは屋根の部分が地表から１ｍの深さになるように、５ｍ掘って土台を作って埋める。現在シェルターとして販売されているものには地上設置型や屋内設置型もあるのだが、吉山氏は地下に埋めることが重要なポイントだという。</p>
<p><span class="strongInContent">「非常用の電源ではエアコンを使えるだけの電力がありません。地上に設置した場合、通常の夏場の暑さでもシェルター内は40～50℃になるので、爆弾が落ちたときの熱ではさらに暑くなります。その点、地下であれば夏でも冬でも一定の温度に保つことができるんです」</span></p>
<div data-friday-ad-slot="AD_inArticle"></div>
<p>気になるお値段だが、設置工事まで含めると２千万～３千万円だという。２億～３億のプール付き豪邸を建てられるようなお金持ちならわりと気軽に買えるのだろうが、なかなか庶民には手が届かないお値段だ。</p>
<p><span class="strongInContent">「現状では富裕層向けですね。タワマンに住んでいる人が郊外のセカンドハウスに設置するケースや、都心でも空き家になった隣地をシェルター用に買った人もいます」</span></p>
<p>核シェルター先進国では設置のために国が補助金を出しているケースも多い。そういった制度ができれば、将来的には「シェルター付き建売住宅」なども手ごろなお値段で売り出されるようになるかもしれない。しかし今はまだ、安全もお金がなければ買えないシビアな世の中なのだ。</p>
<figure id="attachment_313665" aria-describedby="caption-attachment-313665" style="width: 5184px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="21d22069"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/05/RE_SH547233.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-313665" class="wp-caption-text">ベッドの寝台を外して折りたたみのデスクを出せば作業スペースにもなる</figcaption></figure>
<figure id="attachment_313666" aria-describedby="caption-attachment-313666" style="width: 3456px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="0b493b9f"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/05/RE_SH547281.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-313666" class="wp-caption-text">ベッドとして使用する場合の形。このシェルターは２段ベッド×２台で４人まで使用可</figcaption></figure>
<figure id="attachment_313667" aria-describedby="caption-attachment-313667" style="width: 5184px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="83a9857e"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/05/RE_SH547240.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-313667" class="wp-caption-text">２段ベッドの下の段からの光景。中央はキッチン、カーテンで閉まっているスペースがトイレ、その奥が上の写真の作業スペース</figcaption></figure>
<figure id="attachment_313668" aria-describedby="caption-attachment-313668" style="width: 3456px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="9de88f20"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/05/RE_SH547253.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-313668" class="wp-caption-text">階段下の備蓄スペース。非常用発電池の他に屋外作業用の防護服やヘルメットなども</figcaption></figure>
<figure id="attachment_313669" aria-describedby="caption-attachment-313669" style="width: 823px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="77715920"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/05/S__23650308.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-313669" class="wp-caption-text">シェルター埋設工事の様子</figcaption></figure>
<figure id="attachment_313670" aria-describedby="caption-attachment-313670" style="width: 5184px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="7e6010e9"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/05/RE_SH547303.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-313670" class="wp-caption-text">シェルターの全景。手前は吉山氏（右）とシェルター製造を担当する㈱司工業所の鈴木修氏</figcaption></figure>
<p>&nbsp;</p>


濱崎慎司

アンカーハウジングのシェルターの内部。扉は２枚。内側の扉はぶ厚く気密性が高くなっている ロシアのウクライナ侵攻や北朝鮮のミサイルの脅威、台湾有事など、危機意識の高まりから、核シェルターが注目されている

ふだんはオフィスやワインセラーとして使用も!? 国も普及を進める「核シェルター」その実力とお値段

あなたへのオススメ