<figure id="attachment_315330" aria-describedby="caption-attachment-315330" style="width: 594px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="687cfeee"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/06/4659f1dd726453a158694c2da02cee26.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-315330" class="wp-caption-text">昨年8月、NEC軽井沢72ゴルフトーナメントでプロ初優勝を挙げた岩井千怜（左から4番目）を囲んで。切磋琢磨を続ける双子の姉の明愛（あきえ、左から3番目）と双子姉妹の奮闘に4つの教えを徹底してきた父・雄士さん（右から2人目、写真：ゲッティーイメージズ）</figcaption></figure>
国内女子ゴルフ界で“今一番ホットな姉妹”といえば、姉・明愛（あきえ）、妹・千怜（ちさと）の岩井ツインズだ。5月12～14日に福岡で行われた「RKB×三井松島レディス」では、姉妹そろってプレーオフを戦うという史上初の快挙も達成。結果的に明愛、そして昨季年間女王の山下美夢有をくだした千怜がツアー通算3勝目を手にすることにはなったが、改めて2人の実力の高さを証明した。明愛も4月の「KKT杯バンテリンレディスオープン」で初優勝を挙げている。
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これ以外の試合でも、そろって超安定飛行を続ける2人。明愛はプレーオフでやぶれた5月中旬の「RKB×三井松島レディス」、翌週の「ブリヂストンレディスオープン」で2試合連続で2位に入った。千怜は、今季初優勝後も5月25～28日に静岡で行われた「リゾートトラスト レディス」で2日目に単独トップに立ち、最終的に4位タイ。悪天候の影響で27ホールに短縮された先週の「リシャール・ミル ヨネックスレディス」（静岡）でも優勝争いに絡むだけでなく、16番ホールにかけられた「ベストスコア賞」を2年連続で受賞し、賞金500万円を獲得するなど、毎試合なにかしらの話題を姉妹で振りまいている。
今季トップ10入りは姉が6度で、妹は5度（ともに14試合に出場、6日現在）と、常に優勝を視界に入れながらシーズンを送っているが、そんな姉妹のツアー生活を支えているのが会場に帯同する父・雄士さん（50歳）。小学1年生だった娘2人を練習場に連れていき、ゴルフの道へ導いた人でもある。姉妹プレーオフ直後には、「ワクワクしました。昔、運動会を見ていた時のような気持ちになりました」と興奮気味に話していた様子も伝えられた。
そろってトッププレーヤーに育った2人。そんな岩井家には、プロゴルファーになるための教育よりも大事にしてきた、人として守るべき『4つの教え』がある。長年、公務員として働いてきた雄士さんは、幼少期から姉妹に『人にされて嫌なことはするな』、『一人ぼっちの人がいたら仲間に入れる』、『困っている人がいたら助ける』、『幼い子や女の子、弱い人には優しくする』と教え、それを暗唱させてきた。
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ゴルフのスコアアップや技術向上のために必要なメソッドよりも、徹底されてきた4つの言葉について雄士さんは「今でも言えると思いますよ」と胸を張る。それほど毎日毎日、唱えさせてきたものだ。あとは「あいさつとか基本的なことがしっかりとできるように」。これが岩井家における子育ての基本になってきた。
父が言うように、姉妹もその教えを忘れることはない。千怜が「今でも大事にしています」というように、この言葉はしっかりと胸に刻みこまれているようだ。そしてこれは、ツアープロとしてのふるまいにも影響を与えている。特に2人そろって大事にするのは『幼い子や女の子、弱い人には優しくする』という教え。
「小さい子どもへのファンサービスはしっかりしないといけないと思っています」（明愛）
「会場には小さい女の子が多いので、見かけると優しくしたいなと思いますね」（千怜）
プレーそのものというよりも、プロとして多くの人に愛されるうえで大事にすべき姿勢を作り上げたといえる。
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<figure id="attachment_315407" aria-describedby="caption-attachment-315407" style="width: 945px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="2e910a91"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/06/6f6e7864aace02507d4755dff1172e72.png" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-315407" class="wp-caption-text">昨年7月、岩井千怜が所属先のHONDAからCR-Vを納車された時。姉・明愛と2人で笑顔を見せる（岩井千怜のインスタグラムより抜粋）</figcaption></figure>
しかしこの「優しさ」は、ともすれば勝負事においては邪魔になりそうな要素にも感じられる。そこで注目されるのが、2人の『切り替え力』ともいうべき能力だ。あるプロコーチは「普段は明るく仲がいい2人ですが、ひとたびクラブを振る場面になると集中を極限まで高めているような気迫が感じられる。あの切り替えは素晴らしい」と話していた。
実際にこんな場面もあった。5月中旬の「RKB×三井松島レディス」ではプレーオフもそうだったが、2日目にも最終組で姉妹一緒にプレーする機会が訪れた。しかし、その18ホールで2人が会話をする場面はほとんどなく、もうひとりの同伴競技者だった先輩プレーヤーの福田真未が「あまりに話さないから、間に入ってどうしたらいいかなと思いました」と笑いながら振り返ったほど。コース内は緊迫感に包まれていた。だがこのメリハリこそが、“優しさ”と“強さ”の両立を可能にしているのかもしれない。
冒頭の福岡での試合では、史上初の姉妹プレーオフ、史上初の姉妹同一年優勝、史上初の姉妹ワンツーフィニッシュと、いくつもの金字塔を打ち立てた2人。ちなみにデビューイヤーとなった2021年には、下部ツアーながら千怜がプロ初勝利を挙げた「カストロールレディース」の次戦に、明愛が「山陽新聞レディースカップ」を制すという史上初の姉妹2戦連続優勝も成し遂げている。
姉妹プレーオフを終えた後、姉は「8割くやしいけど、千怜が優勝したから2割はうれしい。次は勝ちます！」と本音をこぼした。一方優勝した千怜も、「すごく楽しかった。（次やっても）勝ちたいです！」と話している。コースの中でも外でも、いつも一緒。そんな仲良し姉妹の切磋琢磨は、これからも続いていく。スポーツの世界とあって勝敗がついてしまうのは残酷なことかもしれない。それでも「いつかプレーオフで戦いたいね、という話はしていました」（千怜）という夢を叶えた満足感は、きっと大きいはず。
6月には、世界最高峰のメジャー大会「全米女子オープン」に姉妹そろって出場することも決まっている。2人のプロ生活は始まったばかり。コースであっちに行ったり、こっちに来たりする父の生活も、当分続きそうだ。
<figure id="attachment_315408" aria-describedby="caption-attachment-315408" style="width: 944px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="437c01ce"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/06/82853a857426637e31965757491f2de9.png" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-315408" class="wp-caption-text">岩井千怜は昨年12月、「JLPGAアワード」で敢闘賞を受賞。優勝争いを続ける今年はどんな賞を手にすることができるだろうか（岩井千怜のインスタグラムより抜粋）</figcaption></figure>

昨年8月、NEC軽井沢72ゴルフトーナメントでプロ初優勝を挙げた岩井千怜（左から4番目）を囲んで。切磋琢磨を続ける双子の姉の明愛（あきえ、左から3番目）と双子姉妹の奮闘に4つの教えを徹底してきた父・雄

女子プロゴルフで今季は常に優勝争い「今でも唱えられる」岩井姉妹を作り上げた『4つの教え』

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