町田 博鶴

<figure id="attachment_315355" aria-describedby="caption-attachment-315355" style="width: 2500px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="d8905874"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/06/b865e3b8d7e872933ba8cbc314b6e688.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-315355" class="wp-caption-text">行きつけの『うなぎやせきの西新宿店』でいつものように焼き鳥をほおばる。「うなぎ屋だけどいつも焼き鳥しか食べてないね（笑）」</figcaption></figure>
<p><span class="strongInContent">「この２年間、ほとんど仕事がなかったんです。マネージャーが僕のプロフィールを持って地方局を含めた40社以上のテレビ局に営業してくれましたが、それでも出演はほぼゼロ。もう二度と食リポの仕事はできないんやと思いましたね」</span></p>
<p>行きつけのうなぎ屋で焼き鳥をつまみながらハイボールをグイッと飲み、彦摩呂（56）はそう語った。コロナ禍による飲食店の営業自粛は、グルメリポーターにとっても死活問題だった。２年間、スケジュールはほぼ″真っ白″だったという。</p>
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<p><span class="strongInContent">「食リポの仕事がなくなってずっと家にいたんですけど、まったく痩せへんかったね（笑）。人間って何もしなくてもお腹減るんやなと……。ひさしぶりにテレビに出て、ピンマイクをつけてもらったとき、仕事があることがありがたくて泣きそうになりました」</span></p>
<p>コロナ禍もようやく収束の兆しを見せ、彦摩呂の仕事も戻りつつある。しかし、以前と違い危機感は強いという。</p>
<p><span class="strongInContent">「大食いユーチューバーや若いタレントが次々出てきて、グルメリポーターはまさにレッドオーシャンです。最近、『ラーメンユーチューバー』のＳＵＳＵＲＵくん（30）の動画を見たのですが、ラーメン一本であそこまでやるのは本当にすごい。僕も動画に挑戦しているんですが、再生回数はやっぱり全然伸びないですね。この先、僕が今まで培ってきた〝テクニック〟をすべて捨てて、イチからやる必要があると思っています」</span></p>
<p>彦摩呂が″食リポ″を始めた30年前、グルメリポーターという職業は存在しなかったという。’88年にアイドルとしてデビューした彦摩呂だが、なぜこのような転身を遂げたのか。</p>
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<p><span class="strongInContent">「アイドル時代は、秋元康さん（65）や小室哲哉さん（64）など、錚々たる人たちが楽曲を提供してくれ、ＣＤを６枚出して全国ツアーもしました。水谷豊さん（70）が主演の『刑事貴族』（日本テレビ系）など、ゴールデンタイムのドラマや映画で俳優の仕事も多くいただきました。でも徐々に台本のないところで人ともっと関わりたい！　という大阪人の血が騒いで、事務所に情報番組のリポーターをやりたいと直談判したんです。それから街ブラ、温泉、芸能人の豪邸訪問とたくさんのリポートをやらせてもらったけど、『食』って何にでも関係してくる。食リポって奥深いと思ってのめりこみました」</span></p>
<p>アイドル時代は60㎏だった体重はみるみる増加し、いまでは110㎏になった。</p>
<p><span class="strongInContent">「自分でもここまで太ると思ってなくて、アメーバみたいにもう一人の彦摩呂ができるんちゃうかと思った。みんなに心配されるんやけど、血糖値とかもちゃんと正常で、こう見えて健康体です」</span></p>
<div data-friday-nextpage-lead="「テクニック」を捨てる"></div>
<h2>「テクニック」を捨てる</h2>
<p>ただ食べているだけ……に見える彦摩呂だが、いつも撮影ではさまざまなテクニックを駆使しているという。</p>
<p><span class="strongInContent">「『いただきます！』と言ってからすぐ食べ始めたらカメラさんが間に合わないので２秒待つとか、スパゲッティをフォークに巻いたら麺がほどけないようにしめじを刺して止めるとか、とんかつは左から３切れ目が一番断面が綺麗とか……。食リポの師匠はおらんかったから、全部自分で研究して編み出しました」</span></p>
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<p>これまで訪問した飲食店の数は２万店以上。数えきれないほどの料理を紹介してきた彦摩呂が食リポする際に大事にしているのは、「少しの嘘」だ。</p>
<p><span class="strongInContent">「長時間の収録だと、食べる前に食べ物が冷めちゃったりもする。そういう時は、わざとハフハフして美味しく見せるようにしています。『そんなの嘘やん』って言う人もおるけど、ちょっとした工夫で何倍も食べ物を美味しく見せられるんですよ。僕の食リポを見た人がお店に足を運んでくれたらお店の人も喜んでくれる。それが何よりも嬉しい」</span></p>
<p>有名なあのセリフも、そんな真面目な努力から生まれた。</p>
<p><span class="strongInContent">「食リポのコメントってパリパリ、サクサク、ジューシー……エビならプリプリばかり。他に表現はないもんか、と考えていた時に北海道の海鮮丼の刺身がツヤツヤ光っていて。それを見て『宝石箱や！』と言った時、僕の代名詞が生まれました。はじめは食べ物を他のもので喩えるのって失礼かと思ったんやけど、すごい好評で。そこからもっと自由に、色んなものに喩えようと思ったんです」</span></p>
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<p>30年かけて培ってきたそんな〝テクニック〟を彦摩呂は「あえて捨てる」と語る。その理由を尋ねると、持っていた特大のハイボールジョッキをコトンと置き、真面目な顔でこう語り始めた。</p>
<p><span class="strongInContent">「コロナ禍ですごく考えたんです。２年間、僕が食リポできない間もユーチューバーたちは動画を配信していた。いまの視聴者ってマスクで目元しか見えなくてもこれは本当に美味しい表情だとわかるんですよ。テレビの時代よりも食リポが身近になって、視聴者の目が肥えたから本当のことがわかるんやと思います。僕、これまで色んなテクニックやコメントについて話してきましたけど……本当に大事なのは心から感じることなんですよ。これからは、たとえ下手でもそこにリアルがあればいいんです。今まで使っていた技術を一回全部捨てて、新たに『彦摩呂』を作っていかないとアカンって思ってます」</span></p>
<p>武器を捨て、生身で勝負すると宣言した。シン・彦摩呂の食リポが楽しみだ。</p>
<figure id="attachment_315354" aria-describedby="caption-attachment-315354" style="width: 2500px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="8a53a308"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/06/68160b9847442bb158fc7a1ea810df02.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-315354" class="wp-caption-text">特大のジョッキと、「彦摩呂」のステッカーが貼られたウイスキー・白州。「味のIT革命」は自身のモノマネをする土田晃之（50）から逆輸入したネタだという</figcaption></figure>
<figure id="attachment_315353" aria-describedby="caption-attachment-315353" style="width: 2614px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="c6b4f84f"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/06/1a4518955a3b8221bd66a1ff61c02549.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-315353" class="wp-caption-text">アイドル『幕末塾』時代の彦摩呂。アクロバットなパフォーマンスが人気だった</figcaption></figure>
<figure id="attachment_315351" aria-describedby="caption-attachment-315351" style="width: 2500px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="e959996f"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/06/9865790e307426f20f9daf6dbcc6bc53.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-315351" class="wp-caption-text">本誌未掲載カット　最強のグルメリポーター･彦摩呂が激白 ｢テクニックをすべて捨てて､イチからやります!｣</figcaption></figure>
<figure id="attachment_315352" aria-describedby="caption-attachment-315352" style="width: 2500px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="84d0703a"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/06/4a3b07b43a9a5c04d23644ca209e4971.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-315352" class="wp-caption-text">本誌未掲載カット　最強のグルメリポーター･彦摩呂が激白 ｢テクニックをすべて捨てて､イチからやります!｣</figcaption></figure>
<p>『FRIDAY』2023年6月16・23日号より</p>


町田博鶴

濱﨑慎治

「この２年間、ほとんど仕事がなかったんです。」そう語るのは、最強のグルメリポーター・彦摩呂。仕事は戻りつつあるそうだが、30年かけて培ってきた"テクニック"を「あえて捨てる」と語る。その理由とは…

最強のグルメリポーター･彦摩呂が激白｢テクニックをすべて捨てて､イチからやります!｣

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