シカマアキ

<h3><span class="strongInContent">堂々と旅ができるようになった途端…</span></h3>
<p>日本国内で「ホテル」「旅館」など宿泊施設の価格が今、軒並み高騰している。今年5月8日以降、新型コロナウイルス感染症が「5類」へ移行して移動制限がなくなったことに加え、訪日旅行（インバウンド）の再開が主な理由だ。</p>
<figure id="attachment_316270" aria-describedby="caption-attachment-316270" style="width: 1800px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="4f3cfdd6"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/06/ebc30e6f51d5c301abdb280165596703.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-316270" class="wp-caption-text">大阪・道頓堀はインバウンド再開で活気が戻り、深夜まで賑やか。周辺のホテルも再開や新規開業が相次ぐ（PHOTO：シカマアキ）</figcaption></figure>
<p>ほぼ同時期から、「国内のホテルが高くて泊まれない」という声がよく聞かれる。今年の夏休み期間、さらに出張で泊まらざるを得ないビジネスパーソンらからも悲鳴が上がる。お得に旅ができた「全国旅行支援」は、39都府県でこの6月末で終了する予定。今後、中国人旅行客が再び日本へ押し寄せることも予想され、そうなると国内ホテルはさらに高くなるだろう。</p>
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<p>ホテル価格が軒並み上がる現状、今年の夏休み期間やその後における動き、さらに「まだお得に泊まれる“秘策”はある」と語る旅行業界の専門家らの話も交え、国内旅行の最新事情を紹介する。</p>
<h3><span class="strongInContent">コロナ禍の「1.5～2倍」は当たり前に…</span></h3>
<p>まず、今年（&#8217;23年）の夏休み期間におけるホテル価格、その一例を紹介する。</p>
<p>（例）札幌市、7月29日～30日（1泊）、1室2名利用 ※「Google ホテル」6月10日時点</p>
<ul>
<li>JRタワーホテル日航札幌　4万6018円</li>
<li>ドーミーインPREMIUM札幌　2万7000円</li>
<li>東急ステイ札幌　2万6200円</li>
<li>ホテルJALシティ札幌 中島公園　2万5760円</li>
<li>札幌グランドホテル　2万5560円</li>
<li>コンフォートホテル札幌すすきの　2万4038円</li>
<li>JR東日本ホテルメッツ札幌　2万1395円</li>
<li>札幌ワシントンホテルプラザ　1万6715円</li>
</ul>
<p>札幌の場合、観光と合わせ、ビジネス需要もある。シングルルームだと、1名1室で上記価格のほぼ半分なこともあるが、それでも1泊1万円前後か、さらにそれ以上する。</p>
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<figure id="attachment_316271" aria-describedby="caption-attachment-316271" style="width: 4000px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="cf08c8a6"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/06/c1f91db779572da9c3a892bfec168200.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-316271" class="wp-caption-text">’23年のゴールデンウイーク。羽田空港の国内線ターミナルは日本人旅行客で混雑した（PHOTO：アフロ）</figcaption></figure>
<p>ちなみに、筆者（シカマアキ）は昨年7月後半の週末、札幌ワシントンホテルプラザに宿泊。宿泊日の2ヵ月以上前に「楽天トラベル」で予約し、シングル1泊6000円だった。1泊数千円差ならまだしも、連泊するとその価格差は大きい。</p>
<div data-friday-nextpage-lead="ホテルの開業ラッシュが続くが…"></div>
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<h3><span class="strongInContent">今後もホテル開業ラッシュ、ただし庶民に無理な価格帯ばかり</span></h3>
<p>日本国内ではコロナ直前ごろから、ホテル開業ラッシュが続く。訪日客のみならず国内でも人気が高い京都で、&#8217;23年夏以降に開業予定のホテルはシックスセンシズ京都、カペラ京都など「ラグジュアリーホテル」と呼ばれる4～5つ星ホテルが目立つ。</p>
<figure id="attachment_316272" aria-describedby="caption-attachment-316272" style="width: 7375px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="118f2828"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/06/65adef3e3a2a74a9ff6329c7140bb5ac.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-316272" class="wp-caption-text">京都の清水寺などの観光名所は日本政府の水際対策が緩和されて以降、インバウンドが急増した。写真は京都・錦市場（PHOTO：アフロ）</figcaption></figure>
<p>例えば、&#8217;23年8月8日開業予定の「ダブルツリーbyヒルトン京都東山」は、1室1泊2万3940円から。税金を含めると、2万9957円。これはヒルトン・オナーズ会員向けの早期割引で、“キャンセル不可”の価格である。ちなみに、「ダブルツリーbyヒルトン」ブランドは、ヒルトンの4つ星ビジネスホテルという位置づけ。1室約3万円というのは、いくら京都市内とはいえ、やや高値の印象を受ける。</p>
<p>また、東京都心でも今、ホテル開業ラッシュである。今年4月にオープンした「ブルガリ ホテル 東京」は、1泊最低25万円からという価格が話題となった。それでも空室待ち状態という。</p>
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<p>東京にしろ京都にしろ、いずれのホテルも一般の日本人を主要ターゲットにしていない。日本は、バブル経済が崩壊した&#8217;90年代から平均年収がこの30年間で上がらないうえ、日常品の値上げラッシュとインフレの状態。1泊数万円でも厳しい人は多いだろう。</p>
<figure id="attachment_316273" aria-describedby="caption-attachment-316273" style="width: 1568px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="168e1e74"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/06/de78afb6612b604ac79a93a8264a6736.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-316273" class="wp-caption-text">グローバルアンバサダーのアン・ハサウェイ、小池百合子東京都知事らが出席した「ブルガリ ホテル 東京」のオープニングレセプション（ブルガリ ジャパン株式会社のプレスリリースより）</figcaption></figure>
<p>コロナ禍では、「GoToトラベル」「県民割」「全国旅行支援」などあり、かなりお得に国内旅行ができた。しかも、宿泊代金が多少値上がりしても、それぞれの割引分で相殺されていた。これらがなくなったことでの「割高感」もある。</p>
<h3><span class="strongInContent">「ホテル高騰には別の理由もある」業界紙の専門家</span></h3>
<p>国内のホテル高騰は、果たしてインバウンドだけが原因なのだろうか。観光業界専門紙「トラベルニュースat」の富本一幸編集長に話を聞いた。</p>
<p><span class="strongInContent">「GoToトラベルや全国旅行支援などで旅行需要が戻り始め、全国の旅館やホテルなどは一斉に宿泊代金を上げました。そして今、割引がなくなっても、一度上げると下げづらい。それには別の理由もあります。宿泊施設の深刻な『人手不足』です」</span></p>
<p>コロナ禍ではホテルの一時休業も相次ぎ、ホテルを離職したり、旅行業界から他業種へ転職したりしたケースは少なくない。そしていざ旅行需要が戻っても、もともと賃金が高くないうえ、重労働の現場に戻るペースはかなり鈍いという。</p>
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<p><span class="strongInContent">「人材確保には賃金を上げる必要があり、そのため宿泊料金を上げざるを得ません。特に都市部は顕著。インバウンドだと円安で割安感もあり、日本人に高値でも客室が埋まります。</span><span class="strongInContent"> </span></p>
<p><span class="strongInContent">ただ、日本人にとって（円安や航空券高止まりなどで依然厳しい）海外旅行だけでなく、国内旅行までしづらくなりつつある今の状況は、長い目で見ると決して良いとは言えません」</span></p>
<div data-friday-nextpage-lead="国内旅行を少しでも安く楽しむ方法は…"></div>
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<h3><span class="strongInContent">国内旅行を少しでも安く楽しむ方法は…</span></h3>
<p>移動制限がなくなった夏休み以降、中国人旅行客の訪日旅行が本格再開する可能性も高い。国内旅行すら厳しくなる現状、なんとか安く行く方法はないのだろうか。</p>
<p>これに関し、富本編集長によると<span class="strongInContent">「都市部ではなく、インバウンドがまだ来ていない地方が狙い目」</span>という。</p>
<figure id="attachment_316274" aria-describedby="caption-attachment-316274" style="width: 1800px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="da3056aa"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/06/55bd029af8db19f2261d428479b3e91f.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-316274" class="wp-caption-text">仙台空港に並ぶ台湾エアライン2社はすでにデイリー運航。まだ直行便がない地方を狙いたい。&#8217;23年5月（PHOTO：シカマアキ）</figcaption></figure>
<p><span class="strongInContent">「海外からの直行便がない、また再開していない地方がおすすめです。宿泊費の高騰と比べると、鉄道や飛行機などの運賃、高速代やガソリン代などはそれほど上がっていません」</span></p>
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<h3><span class="strongInContent">愛知県で始まる“平日子どもが学校を休んでも欠席扱いにならない”「ラーケーションの日」</span><span class="strongInContent"> </span></h3>
<p>また、日本ではまとまった休暇が繁忙期や週末に集中する。一方、平日の中日などは宿泊代金も安く、空いていることが多い。「平日に仕事や学校を休めない」ことは、日本社会の構造そのものが原因だが、これに「メス」を入れるかのような取り組みが、愛知県が全国に先駆け、今年度から行われる。</p>
<figure id="attachment_316275" aria-describedby="caption-attachment-316275" style="width: 4000px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="e61d5637"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/06/498e652b36b82735cfe51767dc10e22b.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-316275" class="wp-caption-text">愛知県の大村秀章知事が提唱した「ラーケーションの日」は&#8217;23年度から実施される（PHOTO：アフロ）</figcaption></figure>
<p>愛知県では「ラーケーションの日」を、名古屋市を除く県内53市町村で導入する。ラーケーションの日とは、ラーニング（学習）とバケーション（休暇）を組み合わせた造語で、保護者の平日休みに合わせて子どもが学校を休んでも欠席扱いにならない制度。愛知県では今年度は9月以降に年2日、来年度は年3日に増やすことを目指す。対象は、県立の全高校と全特別支援学校、19市町の全小中学校。</p>
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<p>富本編集長はこれに関し、<span class="strongInContent">「日本人の休みが分散され、平日に旅行ができることは、国内の旅行業界にとっても非常に良いこと」</span>と語る。</p>
<p><span class="strongInContent">「ホテル・旅館などで働く人々は、繁忙期は忙しく、閑散期は仕事がないというやや不安定な職場です。これが1年を通してほぼ安定してくると、雇用環境も良くなり、仕事として定着しやすくなります。</span><span class="strongInContent"> </span></p>
<p><span class="strongInContent">多くの日本人にとって、平日に堂々と休みが取りやすくなれば、繁忙期より安く、旅行を楽しむことができます」</span></p>
<p>今の日本、円安にインフレといった状況は、すぐには変わらないだろう。それならば、<span class="strongInContent">「行き先をインバウンドが少ない地方にする」「休暇を繁忙期からずらす」</span>など、旅そのもののスタイルを変える、旅行者の意識改革も必要だ。</p>


日本国内で「ホテル」「旅館」など宿泊施設の価格が今、軒並み高騰している。今年5月8日以降、新型コロナウイルス感染症が「5類」へ移行して移動制限がなくなったことに加え、インバウンドの再開が主な理由だ。

インバウンド再開で「国内のホテルが高くて泊まれない」…夏休みや出張対策の「意外すぎる秘策」

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