四球に暴投と大荒れ投球が続く…藤浪晋太郎のノーコン原因を「フォーム解析の専門家がズバリ指摘!」
素質は「大谷翔平」以上なのに四球連発で防御率は11点台
アスレチックス・藤浪晋太郎(29)のコントロールの悪さは相変わらずだ。
6月12日(日本時間)のブルワーズ戦で、藤浪は4番手として登板した。先頭打者を打ちとったものの、次のバッターへの4球目はインハイに抜ける暴投。2者連続で四球を与え、1アウトをとっただけで降板となった。14球中ストライクは5球という制球難で、防御率は11点台に落ち込んでいる(成績は6月13日時点)。

藤浪がノーコンな原因はどこにあるのだろう。動作解析の専門家で筑波大学・体育専門学群准教授の川村卓(たかし)氏が語る。
「藤浪も制球の悪さを自覚していると思います。いろいろな人から、さまざまなアドバイスを受けたのでしょう。その影響で身体の動きに一貫性がなくバラバラになり、ボールを制御できていません」
藤浪のフォームを具体的にみていきたい。まず写真①。川村氏は、左腕が下がり過ぎているのが気になるという。
「腕が下がっていれば、当然上げるまでの動作が大きくなります。動作が大きくなればムダも出てくる。藤浪と同じ長身のサイドスロー気味の右腕として参考になるのが、アスレチックスの守護神だったエカーズリーです。彼は腕の動きをコンパクトにしてムダを省き、左腕を早く上げていました。写真②の時点で、藤浪の左腕はもっと上にあるべきなんです」
藤浪の課題が多くみられるのが、写真③だという。川村氏が続ける。
「左肩が内側に入り過ぎています。その分、腕の回転が大きくなり身体から遠いところを回る。ボールは身体から離れるほど、コントロールしづらくなります」
写真④も不自然さが目立つ。
「③まではサイドスローの動きなのですが、④では右ヒジが肩より上の位置にありオーバースローの動きになっている。動きがバラバラです。腰にしっかり体重が乗っていないので、上半身が突っ込み気味になっています」
フィニッシュの写真⑤について。
「上半身の力で強引にボールを制御しようとしているため、身体が前方に流れています。上半身と下半身の動きに一貫性がなく、身体がスムーズに移動していないからです。このフォームを続けていると、故障のリスクもあるでしょう」
ドラフト1位で阪神に入団した藤浪は、プロ1年目から3年連続で2ケタ勝利をあげている。復活はできるのだろうか。
「手足の長い藤浪は、160㎞を超える速球に角度をつけて投げられます。投手としての素質は大谷翔平以上でしょう。まずは、どんなタイプの投手になりたいかスタイルを確立するべきです。サイドスローでも良し、オーバースローでも良し。フォームに一貫性を持たせれば、メジャーでも2ケタ勝利をあげられるはずです」
制球難に苦しむ藤浪。復活のヒントは人からのアドバイスではなく、自身がなりたい投手の理想像にあるようだ。
② グローブの位置がもっと上にあるべき。

③ グローブがもっとホーム側に出るのが理想

④ それまでサイドスローの動きだったのに、④ではオーバースローの形に。不自然な身体の移動で上半身と下半身がバラバラ。

⑤ 上半身の力に頼り、⑤では身体が前に突っ込み気味に

『FRIDAY』2023年6月30日号より
PHOTO:田口有史