<figure id="attachment_318388" aria-describedby="caption-attachment-318388" style="width: 1024px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="750915d8"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/06/75951e0e5131b8f3505f1c2da004664a.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-318388" class="wp-caption-text">昨年10月、JR渋谷駅周辺で実施された警視庁による電動キックボード利用者への飲酒検問の様子。電話対応した神奈川県警の警官にもこの危機管理意識があるといいのだが……（写真：共同通信）</figcaption></figure>
<p>2022年4月に衆議院本会議で可決・成立した『特定小型原動機付自転車』（いわゆる電動キックボード等）に関する改正道交法が7月1日から施行される。</p>
<p>現行の法律では、電動キックボードは道路交通法上でも、道路運送車両法においても原動機付き自転車（以下、原付）と同様の扱いだ。もちろん原付が運転できる免許が必要で、ヘルメット着用も義務づけられており、走行できるのは車道のみだ。しかし改正道交法によって、以下のように変わる。</p>
<p><span class="strongInContent">① 最高速度20㎞/h以下の電動キックボードは免許不要（16歳未満は運転できない）。車道または自転車専用通行帯を走行する。</span></p>
<p><span class="strongInContent">② 最高速度6km/h以下では①に加え歩道走行も可とする。なお、歩道とは自転車と歩行者の区分けがされた歩道に限る。（「自転車歩道通行可」の標識がある場所は区分けがなくても通行可能）</span></p>
<p><span class="strongInContent">③ 免許は不要だが、ナンバープレートと自賠責保険への加入が義務付けられる。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　</span></p>
<p><span class="strongInContent">④ 警音器、前照灯、最高速度表示灯、ナンバープレート、方向指示器などの保安部品を装着し、車体サイズなど保安基準を満たすものだけが「特定小型原付」として走行できる。</span></p>
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<p>いずれもヘルメット着用は義務づけられておらず、努力義務（つまり不要）となっている。</p>
<p>上記の「時速20km/h以下」「時速6km/h」はその速度以下で人が運転する、ということではなく、電動キックボードの車体側で出力調整等を行って、それ以上の速度が出ないように設定するものだ。ちなみに、時速20km/hといえば自転車より少し速いレベル。同じく6km/hとは早歩き程度の速度になる。</p>
<p>電動キックボードは都市部の若い年代を中心に利用が進み、シェアリングサービスも全国に拡大中。規制緩和によって一見、電動キックボードの利用者が増え、移動手段の拡大につながるように見えるが、今回の改正道交法を疑問視する声の方が多かった。電動キックボードの利用に伴う交通違反や事故が急増し、安全対策についての問題を指摘されているからだ。</p>
<p>これまでの取材経験から、このようなルールの下で、免許がなくナンバーもつけずに走行している運転者が一番事故を起こす可能性がある。そのような人に対して、どうやって身元を確認して取り締まりの対象とするのか？　神奈川県警の交通相談に電話をして聞いてみたところ、こちらが絶句する回答が返ってきた。</p>
<p><span class="strongInContent">「はぁ？　歩道を走れる電動キックボードは、『玩具』扱いですよ。おもちゃと一緒です。保安部品も必要ありません。自転車と同じです。だから、取り締まりなんてしませんよ。7月1日からは歩道で『遊べます』」</span></p>
<p>その後、筆者が3回ほど言い方を変えて質問したのだが、一貫して<span class="strongInContent">「歩道を走れる電動キックボードはおもちゃ扱いだから、保安部品は不要。ナンバーなんていらないし、保険ももちろん不要。取り締まりの対象でもない」</span>と繰り返した。</p>
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<p>ちなみに、免許が不要であっても、たとえば飲酒運転をした場合には自動車と同じ厳しい罰が待っている。</p>
<p><span class="strongInContent">◆酒酔い運転→5年以下の懲役又は100万円以下の罰金</span><br>
<span class="strongInContent">◆酒気帯び運転→3年以下の懲役又は50万円以下の罰金</span></p>
<p>さらに、スマホをいじりながらやイヤホンで音楽を聞きながらの運転は「携帯電話使用等違反」として12,000円の反則金を納めることになる。免許不要で歩道を走れたとしても決して「歩行者扱い」となるわけではないことを肝に銘じておかなければいけない。</p>
<div data-friday-nextpage-lead="電動キックボードに乗って指導する日ハム・新庄監督"></div>
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<figure id="attachment_318389" aria-describedby="caption-attachment-318389" style="width: 738px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="67633b01"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/06/8a978753506c058487335d275d3e6a57.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-318389" class="wp-caption-text">就任1年目の昨年2月、電動キックボードに乗って指導するビッグボスこと日本ハム・新庄剛志監督。この手軽さが売りではあるが、公道ではルールを守らなくてはいけない（写真：共同通信）</figcaption></figure>
<p>改正道交法の施行まであと数日。神奈川県警のような恐ろしいカン違いは他県の警察でもあるのだろうか？　本来、安全運転を指導する側がこんな状況では先が思いやられる。</p>
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<p>また、販売する側にも問題業者が少なくない。改正道交法に対応した歩道を走れる電動キックボードとして販売されている車体も、知ってか知らずか完全アウトな例も存在する。</p>
<p><span class="strongInContent">「保安部品がないので公道は走れないが、7月1日からは歩道走行が可能」</span><br>
<span class="strongInContent">「時速6km/hしか出ないので歩行者扱い」</span></p>
<p>などのうたい文句で販売しているのは完全な違法車体である。</p>
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<p>免許不要であっても、保安部品や自賠責保険、ナンバープレートは義務付けられている。特定小型原付を選ぶ際には、保安基準に適合しているかどうかをしっかり確認することを忘れないでほしい。</p>
<p>なお、国交省では違法車体の通報窓口を4月1日より設置しており、『特定小型原動機付自転車（電動キックボード等）の保安基準不適合車両の販売についての情報窓口』として情報を募っている。完全匿名で通報ができるため、アウトな電動キックボードを見つけたらどんどん通報してほしい。</p>
<h4>◆特定小型原動機付自転車の部位名称</h4>
<p><a href="#" data-ident_hash="b55b896d"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/06/51f68a3b78dd5d2550d99b3b8be6873c.png" alt=""></a></p>
<h4>◆『特定小型原動機付自転車』に関する現行の「道路交通法」と「改正道路交通法」の違い</h4>
<figure id="attachment_318396" aria-describedby="caption-attachment-318396" style="width: 781px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="f37d1f0c"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/06/53e14d956ed6edd12fb2277ca1c8c8bb.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-318396" class="wp-caption-text">電動キックボード等の原付で免許不要となるのは、最高速度が速度抑制装置によって制御される「特定小型」と「特例特定小型」のみ。いずれも最高速度表示灯の装着が義務付けられ、「特定小型」は緑色のランプが常時点灯、「特例特定小型」は点滅していることが必須</figcaption></figure>
<figure id="attachment_318397" aria-describedby="caption-attachment-318397" style="width: 1549px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="d365125c"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/06/597045728d78d5dad2d880319a8001b8.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-318397" class="wp-caption-text">特定小型原動機付自転車の性能等確認制度において「適合」の通知を受けた株式会社ストリーモ「Striemo　S01JT」。停止時に時速20kmと時速6kmの設定を切り替えることが可能だ</figcaption></figure>


加藤久美子

7月1日から「特定小型原動機付自転車」（いわゆる電動キックボード等）に関する改正道交法が7月1日から施行される。神奈川県警に取り締まりに関する質問をしたところ、驚きの答えが返ってきた。その内容とは……

「歩道を走れる電動キックボードは玩具だから」来月から新ルール開始　神奈川県警の“呆れた勘違い”

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