<figure id="attachment_320168" aria-describedby="caption-attachment-320168" style="width: 7200px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="bba78014"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/07/7806e105bf5bb96f7a7c9cba226a46ec-e1688698490766.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-320168" class="wp-caption-text">より人間くささのない&#8221;ドール&#8221;のイメージがロリータの理想形だという</figcaption></figure>
<p>青木美沙子。６月に40歳になったばかりの彼女は、現役のロリータモデルであり、正看護師でもある。17歳で読者モデルとしてデビュー、正看護師して大学病院に勤務しながらとロリータのカリスマとなる。’09年には外務省から「ポップカルチャー発信使（カワイイ大使）」に任命され海外でも活動し、世界中のファンから支持されている。そんな彼女がこれまで“好き”を貫いてきた軌跡を綴った著書『まっすぐロリータ道』（光文社）が話題だ。現在もモデル、インフルエンサーとして活躍する青木が40歳になってもなお、ロリータであり続ける理由を語る。</p>
<p><span class="strongInContent">「ロリータというとコスプレだって思われがちなんです。私たちが、この格好して歩いていたら、９割がたの人が、あ、コスプレだって言うので、そこがロリータを長年やっている私からしたら、ちょっと悔しいポイントなんです」</span></p>
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<p>ロリータとはファッションの１ジャンルなのだと青木は言う。’80年代にストリートから誕生し、16～19世紀ヨーロッパの華やかなドレスをベースに日本的な少女趣味をアレンジしたファッションで、れっきとした日本発祥の服飾文化なのだ。</p>
<p><span class="strongInContent">「世界共通語になっている『カワイイ』という言葉は、海外ではイコールロリータみたいな感じで認識されています。日本人はロリータを、フランスあたりの海外の文化だって思われてる方が大半だと思うんですけど、日本の文化だっていうことを知らないっていうところがまた悔しいところです。でも海外の人は日本の文化ってことを理解してファッションを楽しんでる方が多いので、逆転しているんですよね」<br>
</span></p>
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<p>おそらく大部分の日本人はロリータについて、ほとんど知らないのではないだろうか。いろいろと話を聞いていくと、そこには独自の美の基準があって、とても興味深い。</p>
<p><span class="strongInContent">「一般のファッション誌だと、モデルさんは表情豊かに颯爽と歩いたり、躍動感のあるポーズをすることが多いと思うんですけど、私たちの業界では皆無。ロリータの理想は人形（ドール）に近づくことなんです。人間味を持たないように表現することによって、ロリータファッションの良さがより出ると私は思ってるので、そういう風なポージング、表情を心がけてやってきました。あくまで私のポリシーですけど、2.5次元モデルだって位置付けています」</span></p>
<p>ポージングはほぼ棒立ちだったり、せいぜいスカートをひろげるぐらいで、アグレッシブな動きはしない。表情はあくまでお人形のように無表情だ。ロリータファッションは痩せすぎると似合わないため、一般のモデルほど体型維持に気を使うこともないという。顔は童顔のほうが望ましい。キレイやセクシーではなく、あくまで“カワイイ”を追求するのだという。では、ロリータのどこが一番の魅力なのだろうか。</p>
<div data-friday-nextpage-lead="ロリータファッションは“戦闘服”"></div>
<figure id="attachment_320169" aria-describedby="caption-attachment-320169" style="width: 3456px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="0d2ef56d"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/07/ee11d380917e30998512a79cf8c6a906-e1688698582173.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-320169" class="wp-caption-text">ロリータは自分を守ってくれる、そして戦うための「戦闘服」だという</figcaption></figure>
<p><span class="strongInContent">「大人になってもお姫様になりたいっていう願望は誰しもあると思うんですけど、ロリータの魅力はそれを叶えてくれたり、ときめきを与えてくれるファッションっていうところでしょうか。なんか、生まれ変われるみたいな。華やかに着飾ることによって、自分に自信が持てるようになる。また、ロリータって、身体を見せるっていうよりは隠す系のファッションなんですね。例えばお腹が出てるとか、肌が荒れているとか、そういうコンプレックスを隠してくれるファッションでもある。身を守られているという絶対的な安心感を与えてくれる、戦闘服のようなところに魅力を感じます」</span></p>
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<p>青木とロリータとの出会いは17歳のとき。まだロリータファッション自体も確立されていない時期で、『KERA』の読者モデルの仕事として袖を通したのが初めてだった。着た瞬間に「ビビっときた」そうなのだが、全身コーデで10万円以上かかるロリータ服は当時高校生だった青木には手が届かなかったという。</p>
<p><span class="strongInContent">「プライベートで着るようになったのは、 20歳で看護師の資格を取って、やっと自分でお給料がもらえるようになってから、買い集めるようになりました。その当時はモデルを職業にしようとは思ってなかったです。普通に看護師として生きていこうと思ってました。ロリータは趣味の世界でやるっていうか、ただただ好きでやっていました」</span></p>
<p>転機は25歳のとき。外務省から「ポップカルチャー発信使（カワイイ大使）」に任命され、海外で活動するようになったときに、海外では「日本発祥の文化であるロリータ」が熱烈に支持されていることを知ったのがきっかけだった。海外では認められているのに、日本では偏見を持たれることに疑問を持ち、ロリータ業界を背負うような“重み”を感じるようになっていったのだという。</p>
<p><span class="strongInContent">「あ、こんなにもロリータファッションが海外で認知されてるんだ、と衝撃でした。それこそ日本ではコスプレと勘違いされてたり、ちょっと変わった子だとか、変な人みたいな見られ方をするような偏見がかなりありました。でも、海外ではロリータへの偏見がほぼない。日本人って、すごくカテゴリー分けをしたがる人種だなって、海外に行っていてすごく思うんです。例えば年齢とか性別とか、 結婚しているとかしていないとか。すべてカテゴライズして、その枠からはみ出した人を差別する傾向がある感じがある。</span><span class="strongInContent"> </span></p>
<p><span class="strongInContent">日本だとロリータは、外見的に少女性があるから、若い子が着るものっていう風に思われている。大人が着ていると変な目で見られる。『こりん星から来たの？』とからかわれたり、酔っ払いが下品な感じで絡んできたこともあります。やっぱり目立っちゃうので、理解はしてるんですけど、すごく嫌な気持ちになることもあります。</span><span class="strongInContent"> </span></p>
<p><span class="strongInContent">でもやっぱり、着ると違う自分になれるというか、私にとっては戦闘服なので着続けていましたし、ロリータファッションはすごくいいものなのに、なんで日本では小馬鹿にされるんだろうという悔しさもありました」</span></p>
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<p>どうすればロリータのパブリックイメージが少しでも良くなるのか。青木は試行錯誤しながら、業界を代表するアイコンとして、メディアの取材などに積極的に応じた。だが、このときはまだ青木自身、ある“壁”にとらわれていたのだと語る。</p>
<div data-friday-nextpage-lead="年齢の壁を乗り越えられた理由"></div>
<figure id="attachment_320173" aria-describedby="caption-attachment-320173" style="width: 9600px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="c0cbe6cc"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/07/8fae7ef38e5b92a6a640f0125c606a5c.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-320173" class="wp-caption-text">ロリータが趣味の人々にとって年齢問題は誰もが当たる“壁”だ</figcaption></figure>
<p><span class="strongInContent">「年齢を隠してた時期がありました。ネットで『ロリータババア』って年齢を叩かれたことで、心が折れたことがあったんです。『30代でそんな格好してるの』と友達からも言われました。そんなこともあって、30歳以降は特に葛藤がありましたね。35歳になったらやめようかなとか。シミができたら、シワができたら、似合わなくなったら着られないかなとか。ロリータをやっている多くの人には同じ悩みがあると思います。私自身、『ロリータは若い子が着るもの』という世間のカテゴライズが、どうしても取っ払えなかったんですね」</span></p>
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<p>一時期は年齢非公表で活動していた青木だが、34歳のときに出演したドキュメント番組『セブンルール』で実年齢を公表したことで、考え方が変わったという。迷いがありながらもしたことだったが、世間の反応が予想以上に好意的なものだったのだ。</p>
<p><span class="strongInContent">「『いつまでもロリータを着たいけど着れなかった』『美沙子ちゃんが年齢を明かしてくれたことで、いつまでも可愛い格好ができる』と言ってくれた方が大勢いたんです。ものすごく勇気づけられましたね。それからはどんどん年齢を言っていこうと思いました。あ、ホントはこんなに年齢いってたんだって思っただけかもしれないですけど(笑)」</span></p>
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<p>現在もしまむらとコラボするなど、ロリータファッションを身近なものにするための活動を続けている青木だが、ロリータだけでなく多くの人が自由にファッションを楽しめて人生を豊かにできるお手伝いができれば、と語る。</p>
<p><span class="strongInContent">「ロリータはその提案の1つであって、別にみんなにロリータになってほしいなんて全く思ってないんです。それぞれいろんな好みもあるし、趣味もあると思うんですけど、 年齢とか、同調圧力によって人生が楽しめてない人たくさんいるんじゃないでしょうか。そんな人に、私みたいな生き方をしてる人もいるんだよっていうことを、見ていただいて、もっと豊かに自由に生きていてほしいなっていうメッセージも本には込めています。</span><span class="strongInContent"> </span></p>
<p><span class="strongInContent">私自身も、葛藤は今でもありますけど、行けるところまで行こうという感じにはなってきています。何歳までできるか分かりませんが、とりあえずお棺に入るときはロリータを着ていたいですね」</span></p>
<figure id="attachment_320171" aria-describedby="caption-attachment-320171" style="width: 7200px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="9de5ece6"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/07/756d0163a6f426acd1128c235c54b6a6-e1688698704884.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-320171" class="wp-caption-text">「見た人が、自分が着てみたらこうなるんだろうなって想像できるイメージを大事にしています」と語る</figcaption></figure>
<figure id="attachment_320172" aria-describedby="caption-attachment-320172" style="width: 7200px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="81b8816f"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/07/524a020465d305539ee0d8f5be166129-e1688698764987.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-320172" class="wp-caption-text">眉毛が完全に隠れる前髪も、より表情が出ないようにするためだそうだ</figcaption></figure>
<figure id="attachment_320174" aria-describedby="caption-attachment-320174" style="width: 7200px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="588f328f"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/07/8693e7d61f331f37c8de4fd3eb49f2df-e1688698855278.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-320174" class="wp-caption-text">婚活してみたこともあったが、「ロリータ」はまったく需要がなかったそうだ</figcaption></figure>
<figure id="attachment_320175" aria-describedby="caption-attachment-320175" style="width: 3456px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="6688f779"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/07/83f0ee5c5f2106be9a59c58c053bc5ab-e1688698896663.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-320175" class="wp-caption-text">しまむらとのコラボは売れ行きが良く「ロリータってこんなにいたんだっていうことに驚きました」という</figcaption></figure>
<figure id="attachment_320652" aria-describedby="caption-attachment-320652" style="width: 3081px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="a4c8161d"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/07/9908590cedcbac6bc73b17cd53b2569f.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-320652" class="wp-caption-text">20歳から看護師としての仕事も続ける。コロナ禍でロリータモデルの仕事が激減したときに心の支えとなったのは看護の仕事だった（写真は『まっすぐロリータ道』より）</figcaption></figure>


濱崎慎司

青木美沙子、40歳。未だ現役を続けるロリータのカリスマモデル。日本発祥の"カワイイ"文化であるロリータを国内外に広めてきた彼女がこれまでに乗り越えなければならなかった"壁"を語る。

「40歳、ロリータ。」今なお現役を続けるカリスマモデルが語る”年齢の壁”と”ロリータ道”

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