「日本三大祭り」のひとつに数えられる大阪・天神祭が、7月24～25日に開催される。
例年130万人もの来場者で賑わう天神祭も、コロナ禍の影響で通常開催は実に4年ぶりだ。当日、約3000発の大花火が夜空を彩る光景は、まさに大阪の夏の風物詩そのものだ。
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しかし、その一方で現場を取り仕切る運営組織「太鼓中（たいこなか）」では執行部と役員による内部紛争が勃発。役員会では怒号が飛び交う異常事態が続いており、空中分解の危機にあることを7月13日発売の『FRIDAY』で報じている。今回、FRIDAYデジタルは記事内で触れた役員会の音声データを入手した。
<figure id="attachment_322876" aria-describedby="caption-attachment-322876" style="width: 1024px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="2220e0af"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/07/254614380b1c7626b2a6649055959292.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-322876" class="wp-caption-text">&#8217;19年に行われた天神祭の様子</figcaption></figure>
そもそも、内紛問題の引き金となったのは太鼓中の新総代をめぐる人事だった。太鼓中のひとりが語る。
「太鼓中は約800人のスタッフを抱える天満宮直轄の組織で、言わば祭りの運営トップです。総代はその頂点に位置します。太鼓中は&#8217;20年に前総代が亡くなり、翌年に新しい総代を決めることとなりました。
通常、総代は役員会を経て選任するのが習わしです。しかし、ここで暗躍したのが当時、太鼓中の副幹事長を務めていたX氏なのです。Ｘ氏はかつて中国地方にある有力な暴力団組織の幹部を務めたこともある人物です」（太鼓中のひとり）
議場に現れたＸ氏は役員たちを前に突如、Ａ氏の新総代就任を提案。理由については「前総代の遺言書。また天満宮からの指名がある」と説明した。
「これには役員たちも首を傾げるしかなかった。Ａ氏は前総代の甥っ子ではありましたが、これまで太鼓中の重要ポストには就いたことはなかった。そもそも総代は世襲制ではないですし、天満宮がこちらの人事に口を出すなんて聞いたこともない。ただ役員たちも天満宮の意向と言われれば従うしかなく、Ｘ氏の推薦通りにＡ氏が新総代に就任しました。太鼓中にとっては、それほど天満宮は絶対的な存在なのです」（地元の有力者）
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こうしてＡ氏による新執行部が発足した太鼓中だったが、事態は急転する。Ｘ氏による「前総代の遺言」と「天満宮の指名」という発言が、嘘だったと露呈したためだ。
「Ａ氏の就任を不審に思った太鼓中の役員２名が天満宮へ直接出向き『本当にＡ氏を指名したのか』と確認しました。すると天満宮は指名の事実を否定した。ここで初めてＸ氏の嘘が発覚しました。ところが、これを聞いた執行部は『総代に相談もなく天満宮に行くのはご法度』と激怒。
自らの嘘は棚上げし、２人に対して５年の謹慎処分を言い渡したんです。これにまた反発した一部の役員たちによって役員会は紛糾しました。執行部も異論を唱えた他の役員も半ば強引に辞任に追い込むなど抗戦。反対派を排除する動きを見せました。その後、前総代の遺言書も嘘だったことも判明しています」（前出の太鼓中）
昨年８月、本誌は<a href="https://friday.kodansha.co.jp/article/258623">Ｘ氏のパワハラ疑惑と合わせ、太鼓中の運営トラブルを報道</a>。事態を見かねた天満宮は今年6月4日には太鼓中との話し合いの場を設定したのであった。
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では、会議の様子はどうだったのか。
録音データには寺井種治宮司自らが太鼓中に対して
「天満宮に確認をしただけで5年間（の謹慎）という処分はきつ過ぎる。謹慎処分を一度、白紙に戻して欲しいというのが個人的な思い」
と懇願する場面が収められていた。
天満宮が動いたため解決に向かうと思われたが、この騒動は沈静化するどころか、その日の午後に行われた太鼓中による役員会でさらに燃え上がることとなる。
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「同日である6月4日の午後から天満宮境内の施設で始まった役員会では、反対派の太鼓中の役員と執行部の応酬が始まったんです」（別の太鼓中幹部）
関係者から提供された音声データには会議中盤、役員と執行部による激しい言葉の応酬が記録されていた。
役員「（天満宮に）聞きに行って真実と違うことが分かって、そのままやっていくんですか。それはおかしいでしょう！（中略）遺言書もなかったことははっきりしてるのに。いつまで経っても話は収まりませんよ！」
執行部「収まっとるやろ」
役員「収まってないですやん！」
執行部「当屋頭（とやがしら）で議決とったことをなんで蒸し返すんや。FRIDAYと同じこと言うとるな」
役員「違いますよ、Ｘさん。謹慎者が『祭りに出たい』って言うとるんやから復帰させたらよろしいやん！」
執行部「なんでFRIDAYと同じこと言うてるんか分からんわ」
役員「FRIDAYと一緒ちゃいますよ。復帰させたらよろしいやん！」
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終盤に差し掛かると２名の復帰についての協議はさらに熱を帯びていく。
役員「本人らが祭りに出たいって言うてるんですから。遺言書もなかった、天満宮からの指名もなかった。そうなってるんですから聞いたってくださいや。聞いたってくださいや。聞かれへんかったらおかしいでしょうって！」
執行部「天満宮からは太鼓中のことには関知しないって提言を聞いてるからね」
役員「関知しないんだったら太鼓中で皆で協議したらよろしいやん！」
執行部「協議した結果がこれやんか。何を言うてるのか意味分からん」
役員「Ｂさん（天満宮職員）も『遺言書はなかった』ってはっきり言い切ったわけ！」
執行部「遺言書なんて誰が言うてんねん！　遺言はあっても遺言書があるなんて言うてへん！」
役員「ずっと言うとったやん！　Ｘさん、今さら嘘を言うたらあきまへん！」
執行部「遺言書じゃない。遺言や！」
<figure id="attachment_322510" aria-describedby="caption-attachment-322510" style="width: 1510px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="fed85ef6"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/07/8e53b2861ca5226be54365d8f887ad81-1.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-322510" class="wp-caption-text">ランニング中の寺井宮司</figcaption></figure>
参加していた別の太鼓中が当時の状況を語る。
「結局、会議は収拾がつかなくなり半ば強引に終了。その後も帰るＸ氏に役員らが詰め寄り、押し問答となっていました。あまりの物々しさに一般の参拝客から
だが、太鼓中による問題はこれだけで終わらない。
<div data-friday-nextpage-lead="天満宮も呆れる不祥事とは"></div>
「実は太鼓中の幹部が船渡御で使用される「供奉船」の権利をオークションサイトに100万円で出品していたことが発覚。これには天満宮も怒り心頭でした。出品者に対して早急な処罰を求め、太鼓中も厳重注意の対応を取りました」（天満宮関係者）
菅原道真公のご神霊を乗せる「御鳳輦奉安船」を筆頭に大川を100隻ほどの船が行き交う「船渡御」は天神祭り最大の神事である。
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中でも「供奉船」は太鼓中など神に仕えるとされる講社の関係者のみ乗船が許された特別な船。神様を出迎える為に必要不可欠なものとして丁重に扱われている。
だが、あろうことか今年４月に登場した出品ページには「供奉船」を協賛企業などが出す「奉拝船」と改めた上で「商品」として紹介。説明文には金にまつわる宣伝文句ばかりが散りばめられていた。
<figure id="attachment_322509" aria-describedby="caption-attachment-322509" style="width: 1060px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="714540c6"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/07/2e0b3c9a30e5373c337917f029fb5813.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-322509" class="wp-caption-text">オークションの出品画面</figcaption></figure>
＜奉拝したい企業様に奉拝船の今年の令和五年の奉拝船の権利を今年のみ100万円で貸与致します、但し宮への奉納金、造作費用設置金など別途必要となります船は奉拝船の中では大型で約280席〜300席確保出来ます経費は総額400万〜500万掛かりますが広告収入、席販売35000円で見積もりしますと約1000万円程度の収入となり神事に付き無税となります、興行したい方はご質問下さい写真の花火や船は過去の天神祭りのイメージで本商品とは何ら関係御座いません（原文ママ）＞
「幸い、出品直後に関係者が気付き、落札には至らず。それがせめてもの救いでした。周囲も『神様を金儲けに利用するなんて…』と呆れかえっています」（前出・天満宮関係者）
本誌は６月４日の寺井宮司の発言について大阪天満宮を取材。すると当屋頭の集まりへの出席を認めた上で、
「太鼓中総代から依頼があり、役員２名に対する５年の謹慎処分の見直しの必要性を説明した」
と回答。また「供奉船」のネットオークションの販売の件については
「問題の船は「奉拝船」ではなく「供奉船」です。そうであればなおのこと、その船の出船に関して「権利」があるという前提自体が大きな心得違いです。にもかかわらず、「その権利を100万円で貸与します」などとの宣伝文言を付した上、インターネットのオークションに出品するという不謹慎な行為に及ぶことは、言語道断であり、当宮として決して容認することはできません。当宮は、当該個人に対して、直ちに抗議を申し入れるとともに、すでに本年度の天神祭への参加を禁止する処分を行っております」
と答えた。
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太鼓中のA氏にも電話で事実確認を求めたが「何も話できへんから。今はいいです」との返答だった。
内紛に不祥事とトラブルに揺れる太鼓中。健全な祭り運営が行われることを切に祈るばかりだ。

共同通信（1枚目）、加藤慶（2・3枚目）

日本三大祭りのひとつである大阪・天神祭が揺れている。祭りの運営組織である「太鼓中」の内紛が続いているためだ。本誌は大荒れする太鼓中の役員会の音声を入手した。

内紛トラブルで揺れる大阪・天神祭…「怒号飛び交う役員会」の音声データを公開する

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