<h3>永山絢斗出演作『東京リベンジャーズ2』の公開にSNSの反応は肯定的</h3>
永山絢斗に市川猿之助と、芸能人の逮捕が続いた。俳優の違法・不法行為が発覚すると、決まって持ち上がるのが出演作品の行方だ。
WOWOWは永山被告が出演する映画3作と連続ドラマ1作を放送中止にし、別の作品に差し替えると発表した。来年放送のNHK大河ドラマ『光る君へ』も、彼の所属事務所が出演辞退を申し出て降板に。
だが、出演映画『東京リベンジャーズ2　血のハロウィン編－決戦－』は、6月30日に予定通り公開された。
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映画ライターのヒナタカさんはこう話す。
「再撮影、再編集は行わず公開され、しっかりヒットしています。永山絢斗の逮捕後に映画の公式Twitterで製作委員会が『協議を重ねた結果、公開することとします』と発表したんですけど、それに対するTwitterの反応はほとんどが肯定的でした」
一方、市川容疑者が重要キャストで出演している劇場版『緊急取調室 THE FINAL』は公開延期。過去に出演したNHK大河ドラマ『風林火山』や『鎌倉殿の13人』などが配信停止になっている。
『緊急取調室』の行方は今のところわからないが、出演俳優の逮捕によってお蔵入りした、あるいはお蔵入りが心配された映画やドラマは過去にもあった。
<figure id="attachment_322563" aria-describedby="caption-attachment-322563" style="width: 1016px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="60c02aac"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/07/2deab983988e9534c55ebf60c1603cb9.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-322563" class="wp-caption-text">『東京リベンジャーズ2　血のハロウィン編－決戦－』は、予定通り公開された（PHOTO：蓮尾真司）</figcaption></figure>
<h3>押尾学、ピエール瀧、伊勢谷友介…薬物使用そのものは「被害者のいない犯罪」だけど</h3>
’10年2月に公開予定だった映画『だから俺達は、朝を待っていた』が、出演者の押尾学が前年に麻薬取締法違反容疑などで逮捕されてお蔵入りしている。もう1本の出演作『誘拐ラプソディー』はお蔵入りの危機に陥るも、榊英雄監督自らが代役を務めて撮り直し、公開にこぎつけた。
’19年に同じく麻薬取締法違反容疑で逮捕されたピエール瀧の出演作『麻雀放浪記2020』は、ノーカットで公開された。
「ピエール瀧の逮捕を受けて白石和彌監督と東映の社長(多田憲之氏)が記者会見を開き、予定通り公開することを発表しています。映画の冒頭に『麻薬取締法違反で逮捕されたピエール瀧容疑者が出演しております』とお断りのテロップも出しました。 
ピエール瀧は『居眠り磐音』という映画にも出ていて、この作品については出演箇所を撮り直し、吹替で声の出演をした『アナと雪の女王』は声優を交代したうえで公開しました」（ヒナタカさん、以下同）
<figure id="attachment_322564" aria-describedby="caption-attachment-322564" style="width: 688px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="e5d53872"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/07/13932b36a5c18475eeb7b66889dd34a9.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-322564" class="wp-caption-text">’19年に麻薬取締法違反容疑で逮捕されたピエール瀧</figcaption></figure>
翌’20年には伊勢谷友介が大麻取締法違反の容疑で逮捕されたが、出演作『とんかつDJアゲ太郎』は再撮影も再編集も行なわれずに公開された。ところがこの映画、伊藤健太郎がひき逃げ事件、ブラザートムがモラハラ不倫と伊勢谷以外の主要キャストも不祥事を起こし、いわくつきの作品になってしまったのである。
「伊勢谷友介は来年公開予定の映画で俳優復帰すると報じられましたね。世間の反応を見ると、彼は許されつつあるのかなと感じます。 
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麻薬取締法違反は言ってみれば、被害者のいない犯罪ですからね。世の中の流れとして、薬物が原因で映画が公開中止になるのはおかしいという声が強まっていることは間違いないと思います」 
<figure id="attachment_322565" aria-describedby="caption-attachment-322565" style="width: 2574px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="01d61653"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/07/ae500e9a72c414fd30e92c54e30ecffe.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-322565" class="wp-caption-text">’20年、大麻取締法違反の容疑で逮捕された伊勢谷友介</figcaption></figure>
<div data-friday-nextpage-lead="「性加害は許さない」"></div>
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<h3>新井浩文、高畑裕太…「性加害は許さない」</h3>
ここ数年は、性加害問題で映画がお蔵入りの危機に直面するパターンも目立つ。
’19年に公開される予定だった『善悪の屑』がそうだ。人気漫画が原作の映画だが、主演の新井浩文が性的暴行を働いたとして逮捕され、お蔵入りになった。
「『善悪の屑』は復讐屋が加害者を成敗するクライムサスペンス系の作品です。新井浩文の事件が観客に及ぼす心理的影響を考えると、公開中止はやむを得なかった気がします。 
その年にもう1本、新井浩文が出た『台風家族』という映画が公開延期になりました。でもお蔵入りにはならず、延期の末に3週間限定で上映されたんです。公式サイトでプロデューサーが、延期の発表から公開を決めるまでの経緯と理由を誠実に説明していて、僕は公開も納得できると思いましたね」 
<figure id="attachment_322566" aria-describedby="caption-attachment-322566" style="width: 1000px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="7229a518"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/07/70ddb5fadcd8ea8bdcf66a15dc975c27.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-322566" class="wp-caption-text">’19年に性的暴行を働いたとして逮捕された新井浩文</figcaption></figure>
出演俳優が事件を起こし、撮影中止を余儀なくされた映画もある。
「’16年に『青の帰り道』という映画が、高畑裕太が強姦などの容疑で逮捕されたことで撮影中止になりました。その時点で7割ほどを撮り終えていたらしいですが、そのままお蔵入りだろうと言われて。それが翌年、藤井道人監督が代役を立てて撮り直し、執念で完成させたんです。映画は’18年に公開されました」 
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<figure id="attachment_322567" aria-describedby="caption-attachment-322567" style="width: 1417px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="543efbc1"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/07/0d8ea45a19816992a0ef5d04e27cde17.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-322567" class="wp-caption-text">強姦などの容疑で逮捕された高畑裕太</figcaption></figure>
<h3>榊英雄氏、園子温氏…映画監督の場合</h3>
昨年は榊英雄氏、園子温氏と映画監督が相次ぎ女優から性被害を告発された。榊氏の監督作品は『蜜月』と『ハザードランプ』の2作が公開中止になっている。
「榊監督の性加害が報道されてすぐに、『蜜月』は公開中止が決まりました。一方の『ハザードランプ』は当初、製作委員会が公式Twitterで『映画の公開を望んでいる観客のためにも、劇場公開したいと考えている』と発表した。ところがその後、『協議を続けたが総意形成に至らなかった』と公開中止を決定したんです。おそらく、世間からのバッシングが大きかったんじゃないでしょうか。 
園監督は告発されて以降、映画をまったく撮っていません。昨年11月、12月に公開予定の映画で脚本を偽名で担当して復帰と報じられ、SNSなどで非難を浴びていました。 
二人の監督に対する世間の反応は、性加害は許さないという風潮が強くなっていることの表れだと思います。その背景には、＃MeToo運動の影響があるでしょうね」 
<figure id="attachment_322568" aria-describedby="caption-attachment-322568" style="width: 2348px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="4bde265c"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/07/b78029fdf8008f61fd0e3d8d8a01b16d.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-322568" class="wp-caption-text">第70回ヴェネチア国際映画祭（‘13年）で妻である神楽坂恵にキスをする園子温監督（PHOTO：アフロ）</figcaption></figure>
ハリウッドの大物プロデューサー、ハーヴェイ・ワインスタインの性的暴行事件が明るみに出たのを機に広がった「＃MeToo運動」。日本でもようやく、機運が高まってきたということか。
「これまで芸能界や映画界で隠蔽されてきた性暴力やセクハラが、絶対に許さないと問題視されるようになってきたのはいいことだと思います。性暴力が原因で作品がお蔵入りするとなれば、それが抑止力にもなり得るでしょうし」
ただ、「出演者や監督の不祥事による作品のお蔵入りはやめるべき」「作品に罪はない」といった声もある。
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「新作映画の場合は公開前にプロモーションを展開するので、映像の一部が不特定多数の人の目に触れる可能性があります。それを観て嫌な思いをする人がいるかもしれません。出演者が逮捕されて公開延期になるのは仕方がないかなという気がします。 
でも、すでに公開中の映画を上映中止にしたり、過去の作品をすべて配信停止にしたりする必要があるのかどうか。すでに世に出た映画やドラマは、嫌なら“観ない”という選択が自分でできるわけですから。 
不祥事を起こしたたった一人の人間のために、多くの俳優やスタッフが関わってつくり上げた作品をお蔵入りにしていいのかと、僕も個人的には思います。ただ、たとえば榊監督の『ハザードランプ』が劇場公開されていたら性加害問題の矮小化に繋がりかねなかったかもしれず、公開中止は正しい判断だと感じました。 
公開中止や配信停止に“する”“しない”の線引きをどこでするか。今後、判断基準の確立が求められるようになる気がします」
ヒナタカ（ひなたか）映画ライター。「日刊サイゾー」「ねとらぼ」「cinemas PLUS」「女子SPA!」「All About」にて執筆中。
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<a href="https://twitter.com/HinatakaJeF?ref_src=twsrc%5Egoogle%7Ctwcamp%5Eserp%7Ctwgr%5Eauthor" target="_blank" rel="noopener noreferrer">■ヒナタカさんのTwitterはコチラ</a>
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斉藤さゆり

蓮尾真司

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