<figure id="attachment_323007" aria-describedby="caption-attachment-323007" style="width: 800px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="f000378c"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/07/e640e87ecb07722c74e337e5a24160d1.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-323007" class="wp-caption-text">「スーパー歌舞伎」の市川猿之助容疑者（左）と新ジャンルの舞台を成功させた尾上松也（右）</figcaption></figure>
<p>市川猿之助容疑者（47）の再逮捕を受け、’24年に予定されていたスーパー歌舞伎II（セカンド）『鬼滅の刃』が上演中止の方向だという。</p>
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<p>大ヒット漫画『鬼滅の刃』（「少年ジャンプ」集英社）とのコラボで、松本幸四郎（50）や市川染五郎（18）などの出演が決まっていただけに、ファンのショックは大きく、歌舞伎界にとっても大きな痛手となった。ただ、問題はそれだけにとどまらない。制作に関わってきた関係者は、</p>
<p><span class="strongInContent">「これでスーパー歌舞伎の消滅は事実上決定的となりました。澤瀉屋の市川猿之助という看板があって初めて成立するので他の役者が代役を務めたら、それはもう『スーパー歌舞伎』ではありませんから」</span></p>
<p>と嘆く。そもそもスーパー歌舞伎は三代目市川猿之助（83）が、’86年に古典芸能の歌舞伎とは一線を画した現代風歌舞伎を提唱して始めた舞台で、第１作は哲学者の梅原猛脚本による『ヤマトタケル』だった。ワイヤーによる宙乗りはもちろん、大立ち回りやケレン（観客を意識的に驚かせる演出）を意識的に取りいれ、「ストーリー」「スピード」「スペクタクル」の「３S」を重視したオリジナル性豊かな舞台を作り上げた。</p>
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<p>’03年に三代目が脳梗塞により舞台に立てなくなったことで、スーパー歌舞伎の存続を一時断念せざるを得なくなったが、’14年にスーパー歌舞伎IIとして復活させたのが、猿之助容疑者だったのだ。</p>
<p>とはいえ、５月17日に目黒区の自宅で自殺未遂騒動を起こした時点で、今回の流れはある程度、予想できたこと。そして、スーパー歌舞伎が消滅となった場合、それに変わる“新ジャンル”の歌舞伎が求められることになる。</p>
<p>偶然にも、そんなタイミングで始まったのが尾上松也（38）が企画・演出を務めた新作歌舞伎『刀剣乱舞　月刀剣縁桐（とうけんらんぶ　つきのつるぎえにしのきりのは）』だったのである。</p>
<div data-friday-nextpage-lead="松也演出舞台大当たりで、“新ジャンル”確立へ"></div>
<p><span class="strongInContent">「松竹、梨園関係者はこの舞台に大きな期待をかけていました。スーパー歌舞伎に変わる“新ジャンル”の舞台として御贔屓筋やお客様は認めてくださるのか。ある意味、今後の歌舞伎界の命運がかかっていると言っても過言ではありませんでした」（梨園関係者）</span></p>
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<p>これは、人気ゲーム『刀剣乱舞ONLINE』の初めての歌舞伎化で、６月５日に行われた制作発表記者会見で松也は、</p>
<p><span class="strongInContent">「ありそうで見たことがなかった古典歌舞伎」</span></p>
<p>と言葉に力を込めた。結果はまさにその言葉通り。舞台を観た目の肥えた御贔屓筋や、初めて歌舞伎を観るゲームファン、そしてスーパー歌舞伎ファンは、観客のド肝を抜く松也の演出に大喝采を浴びせたのだ。</p>
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<p><span class="strongInContent">「原作がゲームですから、昔ながらの歌舞伎ファンにはそもそもストーリーがわかりません。それでもしっかり楽しめるように丁寧な台詞回しで、古典的な舞踊や早変わり、義太夫、琵琶の独奏など古典歌舞伎ファンでも楽しめる演出が盛りだくさんでした。</span></p>
<p><span class="strongInContent">同時に、スーパー歌舞伎のように、ワイヤーアクションや客席まで降りて戦闘シーンを繰り広げるといった臨場感も満載。さらにすごいのは、歌舞伎ではあり得なかったカーテンコールや写真撮影OK、終演後の場内案内など、まるでお笑いライブのようで、劇場の外に出るまでありとあらゆるサプライズが用意されていました。上演時間３時間という長尺でありながら、全く飽きさせず、終演後には『しっかり歌舞伎を観た』感覚になるのです。全てにおいて新しいのに、しっかり古典を感じられる。そんな舞台でした」（舞台評論家）</span></p>
<p>と、賛辞を惜しまない。歌舞伎舞台関係者も、</p>
<p><span class="strongInContent">「今回の舞台をどのように命名するのかわかりませんが、古典ともスーパー歌舞伎とも違う“新ジャンル”を確立したと言って間違いないと思います。次回公演が決まれば『〇〇歌舞伎』と言われているかもしれません」</span></p>
<p>と、期待を口にした。猿之助容疑者の引き起こした不幸な事件はあるものの、ここ数ヵ月の客足はコロナ禍以前に戻りつつあるという。歌舞伎界は今、一気に盛り返しを図っている。</p>


島颯太（尾上松也）、原一平（市川猿之助）

市川猿之助容疑者の再逮捕を受け、’24年に予定されていたスーパー歌舞伎セカンド『鬼滅の刃』の上演中止が発表された。その一方で、尾上松也演出の舞台『刀剣乱舞』は大盛況。スーパー歌舞伎に変わる新ジャンル？

市川猿之助再逮捕で「スーパー歌舞伎」消滅も……尾上松也『刀剣乱舞』が大当たりで客足復活の兆し

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