<h3><span class="strongInContent">「韓国の芸能事務所から有望な人材はいないかと…」</span></h3>
<figure id="attachment_323310" aria-describedby="caption-attachment-323310" style="width: 4000px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="3ebec3ee"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/07/f1d813093605e86f2e3be0578b1d2583.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-323310" class="wp-caption-text">K-POPアイドルを目指し、Dance Studio Cielo の養成クラスでダンスレッスンを受ける生徒たち（PHOTO：各務あゆみ）</figcaption></figure>
<p>近年、K-POP界で活躍する日本人K-POPアイドルが続々誕生している。日本人メンバー3人を含むガールズグループTWICE （トゥワイス）が’17年に日本進出を果たして以来、日本人が所属するK-POPグループが増えているのだ。</p>
<p>ダンスも歌もハイレベルなK-POP界で、日本人がデビューを果たすということは、韓国芸能事務所のオーディションを受けて練習生となり、韓国へと渡り、数少ないチャンスをつかみ取ったということにほかならない。</p>
<p>練習生期間は平均で3～4年、長ければ7～8年と言われる。例えば、NCT127（エヌシーティー・イリチル）のYUTAやIVE（アイヴ）のレイなど、K-POPアイドルとして活躍する日本人には、10代半ばで渡韓し、長い練習生期間を経てデビューした人も少なくない。そんな日本人K-POPアイドルに憧れ、練習生になるために本気でダンスや歌のレッスンに励む10代が増えている。</p>
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<h3><span class="strongInContent">首都圏や大阪を中心に増える「K-POP養成スクール」</span></h3>
<p>実は’17年ごろから首都圏や大阪を中心に、K-POPアイドルに必要なスキルを学べる“K-POP養成スクール”が次々に開校している。ダンスや歌のレッスンはもちろん、オーディションの受け方の指導や、韓国芸能事務所の非公開オーディションやスカウトへの推薦も得られることもあって、ここへ入ることが練習生になる近道とも言われている。</p>
<figure id="attachment_323311" aria-describedby="caption-attachment-323311" style="width: 4000px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="2f92dc06"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/07/26516abd9b3b719ce406e91a9b0f4a54.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-323311" class="wp-caption-text">養成クラスのダンスレッスンは基礎を徹底的に。ウォーキングやポージングのレッスンも行う</figcaption></figure>
<figure id="attachment_323312" aria-describedby="caption-attachment-323312" style="width: 4000px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="ee4782ac"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/07/395420b890527ebada9627438d12b787.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-323312" class="wp-caption-text">ダンス講師のYUIさんは、TWICEなどK-POPアイドルのバッグダンサー経験も</figcaption></figure>
<p>東京・目黒にあるDance Studio Cielo（ダンススタジオ・シエロ）は、K-POPのバックダンサーを務めたダンサーを講師に迎え、K-POPダンスを習いたい人に向けて’11年に開校した日本初のK-POP専門ダンススクールだが、’21年に、韓国デビューを目指す人を対象にした養成クラスを開校した。現在の生徒数は9歳から19歳までの約200名。小学生が3割、中学生が4割を占める。代表を務める町田真吾さんは養成クラスを開校した理由をこう語る。</p>
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<p><span class="strongInContent">「’16年ごろから不定期に非公開オーディションを開催していましたが、TWICEの人気が高まるにつれ、韓国芸能事務所から有望な人材はいないかと頻繁に声がかかるようになりました。生徒からも、韓国でデビューしたい、オーディションに受かる方法を知りたいといった声が多く聞こえるようになり、養成クラスの開校に踏み切りました」</span><span class="strongInContent"> </span></p>
<div data-friday-nextpage-lead="昨今では、中学生がメインターゲットに…"></div>
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<figure id="attachment_323314" aria-describedby="caption-attachment-323314" style="width: 4000px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="545cc9ad"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/07/831793ea5b56cb036779ec47513c6bba.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-323314" class="wp-caption-text">長年、音楽業界に携わってきたDance Studio Cieloの町田真吾代表。2011年にK-POPの魅力を多くの人に伝えるためにK-POP専門のダンススクールを立ち上げた</figcaption></figure>
<figure id="attachment_323315" aria-describedby="caption-attachment-323315" style="width: 4000px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="5df5a6f3"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/07/eef4527cf00a1d430aa245d841bac5a6.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-323315" class="wp-caption-text">Cieloはこれまで十数社の韓国芸能事務所に練習生合格者を輩出してきた。各社に所属するK-POPアイドルのアルバムがズラリ。P1Harmony（ピーワンハーモニー・前列左から2枚目）の日本人メンバーSOULはCieloの卒業生だという</figcaption></figure>
<p>Cieloはこれまで16名の生徒を韓国芸能事務所に送り出してきた。その多くが中学生だ。最年少は小学6年生で、2名の男子が小学校卒業のタイミングで単身、韓国へと渡った。</p>
<p><span class="strongInContent">「昨今では、中学生がメインターゲットになっている。とくに大手芸能事務所はその傾向が強い」</span>と町田さんは言う。</p>
<p>韓国ではK-POPアイドルの低年齢化が加速。たとえば、世界的に注目されているガールズグループNewJeans（ニュージーンズ）の最年少メンバーは、デビュー時わずか14歳。メンバー全員が10代でデビューしている。</p>
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<p>こうしたアイドルの低年齢化によって、K-POP業界は日本人練習生にもより若い才能を求めるようになっているのだ。</p>
<p><span class="strongInContent">「ほとんどの芸能事務所は、オーディションの募集年齢を9、10歳、つまり小学高学年からとしています。とはいえ10歳未満では、ダンスや歌のスキルが高くても、身長や頭身の予測が難しい。</span><span class="strongInContent"> </span></p>
<p><span class="strongInContent">そのため、“経過観察”という扱いで、半年後、1年後を追っていく形になります。両親や兄弟姉妹の身長をオーディションで聞かれることは多いですね。そういう意味では、10歳未満であっても身長が高い子、頭身が優れている子、大人びている子への事務所の反応はいいと言えます」</span><span class="strongInContent"> </span></p>
<h3><span class="strongInContent">韓国デビューを目指す中学生、渡韓に強い覚悟</span></h3>
<p>成功が約束されている世界ではない。中学生が親元を離れ、見知らぬ地でライバルたちと寮生活を送る決断をするのは容易ではないはずだが、中学生の夢にかける思いとはいかなるものなのだろう。</p>
<figure id="attachment_323316" aria-describedby="caption-attachment-323316" style="width: 4000px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="702de87b"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/07/aee420bab045bb25279eace5ad7db4e0.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-323316" class="wp-caption-text">小さいころはミュージカル女優に憧れていた谷地蓮さん。K-POPに出合い、新たな夢が生まれた</figcaption></figure>
<figure id="attachment_323317" aria-describedby="caption-attachment-323317" style="width: 4000px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="25e08bdf"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/07/011e4c19a93ee5fb748851ce58e24942.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-323317" class="wp-caption-text">増田梨杏さんは、コロナ禍でつらかったとき、TWICEのライブを見て元気づけられた</figcaption></figure>
<p>養成クラスに通う中学生、谷地蓮さん（15歳・中3）と増田梨杏さん（13歳・中2）は、2人とも小学生のときにK-POPに出合い、韓国デビューという目標が生まれた。自分が落ち込んでいたとき、つらい思いをしていたときに、力になってくれたのがK-POP。だから今度は自分が、K-POPの力で多くの人を勇気づけたいと思ったのだという。</p>
<p>厳しい業界であることも、成功できるのは一握りであることもわかっていると頷く2人に、見知らぬ環境に身を置き、先の見えない練習生生活を送る覚悟を問うと、自信に満ちた表情でこう語った。</p>
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<p><span class="strongInContent">「私は新しい環境が好き。新しいチャレンジにも“よっしゃ”と立ち向かっていきたい。オーディションに受かれば、今すぐでも韓国に行く準備ができています」（谷地さん）</span><span class="strongInContent"> </span></p>
<p><span class="strongInContent">「いつチャンスがきても受け入れられる状態でいるために、今、トレーニングを頑張っています。渡韓には不安もあるし友だちと離れるのも寂しいけど、その不安や寂しさを超えられるくらいの意味ある経験ができると思っています」（増田さん）</span><span class="strongInContent"> </span></p>
<div data-friday-nextpage-lead="減少傾向にある韓国のアイドル志望者"></div>
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<p>町田さんはCieloに養成クラスを立ち上げる際、実は迷いがあったと当時を振り返る。</p>
<p><span class="strongInContent">「私たちの立場では、生徒たちをオーディションに合格させることはできても、日本の芸能事務所のようにアーティストのデビューまで責任を持つことはできません。そうした立場で、思春期真っ盛りの小中学生を親御さんからお預かりして、韓国へと送り出していいのか、非常に悩みました。</span><span class="strongInContent"> </span></p>
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<p><span class="strongInContent">それでも開校に踏み切ったのは、デビューしたいという子どもたちの強い思いが伝わってきたから。K-POPアイドルになる、という明確な意思を持っている子どもたちを、趣味クラスと同じカリキュラムで教えるのでは誠意に欠けると思ったのです」</span></p>
<figure id="attachment_323480" aria-describedby="caption-attachment-323480" style="width: 4000px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="d2649935"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/07/692b5862d86414a7f4116de2e6b01a59.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-323480" class="wp-caption-text">養成クラスは一クラスの人数が25名前後。この日のクラスは、半数近くが小学高学年の生徒だった</figcaption></figure>
<h3><span class="strongInContent">日本とは対照的に減少傾向にある韓国のアイドル志望者</span></h3>
<p>中学生で渡韓する場合、学業との両立はどう図っているのか。</p>
<p><span class="strongInContent">「在学中の学校にもよりますが、</span><span class="strongInContent">連携が取れれば在籍したまま通信制に切り替えることができます。</span><span class="strongInContent">もちろん</span><span class="strongInContent">韓国語ができれば韓国の学校に編入することも。</span><span class="strongInContent">学校が休みの間は韓国でレッスン、通学期はオンラインレッスンで日本から課題を提出するというケースもあります。</span><span class="strongInContent"> </span></p>
<p><span class="strongInContent">また、日本支社があり日本国内にスタジオを持っている芸能事務所であれば、デビューが決まるまでは“日本国内でトレーニング”といった対応も可能だと聞いたことがあります。学業の両立にはさまざまな方法が考えられます」</span><span class="strongInContent"> </span></p>
<p>町田さんは、生徒がオーディションに合格すると、事務所との契約に向けて、学業問題を含め多くのことを保護者と相談することにしているが、いざ、渡韓となると、迷いが生じる保護者もいるという。我が子の将来を左右する決断だ、当然だろう。</p>
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<p>とはいえ、いまの小中学生の保護者は、K-POPが身近にあった世代でもある。スポーツや芸術の才能を伸ばすために、我が子を本場に留学させたいと願う保護者はたくさんいる。それに近い感覚で、韓国デビューを目指す我が子の渡韓を認める保護者は増えていくのかもしれない。</p>
<p>こうした日本とは対照的に、韓国では、K-POP界でのデビューを夢見るアイドル志望者が減少傾向にあるという。アイドル以外にも、YouTuberやインフルエンサーといった自らの才能を発揮できる手段が多々あり、身近なものになっているということなのだろう。</p>
<p>だとすれば、今後、K-POPアイドルの人材発掘が日本で活発化するのは間違いない。韓国デビューという夢の実現に向けた10代の挑戦を応援したい。</p>


辻啓子

各務あゆみ

近年、K-POP界で活躍する日本人K-POPアイドルが続々誕生している。練習生期間は平均で3～4年。日本人K-POPアイドルに憧れ、練習生になるために本気でダンスや歌のレッスンに励む10代を取材した。

「中学生での渡韓も当たり前」…日本人の「K-POPアイドル」続々誕生のウラ事情

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