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<p>前編の記事<a href="https://friday.kodansha.co.jp/article/326732">『「全員の名前がわかるのはジャニーさんだけ…」ジャニーズアイドルの異常な結束力を生む「驚愕の理由」』</a></p>
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<p>前編では、ジャニーズアイドルが他事務所のアイドルと圧倒的に違う点について打ち明けた。彼らに共通すると見られる、さらなる「バックボーン」を掘り下げる。</p>
<h2>第２作『広島死闘編』というヒント</h2>
<p>謎を解くため、推理の補助線を引いてみたい。まったくジャンル外のものを投入して、そこにぶつけてみようと思う。</p>
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<p>『仁義なき戦い』という映画がある。いわゆるヤクザ映画だ。1973年に公開され、翌’74年にかけてシリーズ５部作が大ヒットを記録した。</p>
<figure id="attachment_327360" aria-describedby="caption-attachment-327360" style="width: 1024px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="e2f9068f"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/08/2188b21d5c033c8816751df7923ad027.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-327360" class="wp-caption-text">映画『仁義なき戦い　頂上作戦』の製作発表で写真に納まる出演者。左から菅原文太、梅宮辰夫、松方弘樹、小林旭</figcaption></figure>
<p>鶴田浩二や高倉健の任侠映画で知られた東映が、そうした旧式の型を破って実録路線に打って出たのだ。原作は飯干晃一のノンフィクションである。監督は深作欣二。徹底取材で知られる脚本家の笠原和夫が、さらなる調査、聞き取りを重ね、物語を肉付けした。主役の広能昌三（菅原文太）以下、登場人物らにはみなモデルが存在する。</p>
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<p>シリーズ５部作でもっとも論議を呼ぶのが、第２部〈広島死闘篇〉である。これを最高傑作と称える声も多い。</p>
<p>同作で菅原文太は狂言回し役となり、出番が少ない。物語の主要人物は、二名。アプレゲール（戦後派）の暴れ者・大友勝利（千葉真一）と、対照的ないま一人のヤクザが山中正治（北大路欣也）である。</p>
<p>山中は刑務所帰りの殺人マシーンだ。予科練の歌を口ずさみ、拳銃を「わしのゼロ戦」と呼んでふところに抱く。戦時中の軍国少年のロマンを生きている。</p>
<p>これは海軍少年兵として終戦を迎えた脚本家・笠原和夫自身の心情が投影されてもいるだろう。いや、しかし、それだけではなかった。</p>
<div data-friday-nextpage-lead="「男になりたい」と思わせる原体験"></div>
<h2>ジャニー喜多川に与えられた「屈辱」</h2>
<p>笠原の回顧録『昭和の劇』（太田出版）では、訊き手（荒井晴彦・絓秀実）に対して創作の裏事情をあけすけに打ち明けている。そこに以下の発言を見つけた。</p>
<p><span class="strongInContent">荒井</span>　<span class="strongInContent">それで山中――モデルになったのは山上光治という人ですけど、山中が刑務所でホラれるシーンを入れようとしたら、美能さん（注・広能昌三のモデル）に切られたということですけど。</span></p>
<p><span class="strongInContent">笠原</span>　<span class="strongInContent">そう。（略）山上というのは広島で伝説化してるほどの凄いやつだから、ケツを掘られる話を入れると伝説に傷をつけると。そういうことがあったんです。</span></p>
<p><span class="strongInContent">荒井</span>　<span class="strongInContent">それを入れようとした笠原さんの狙いとは、刑務所を出て山中が殺人者になっていくのは、そういう獄中での体験がきっかけになっている――要するに&lt;カッパ&gt;と&lt;アンコ&gt;が鉄砲玉になっていくということですか。</span></p>
<p><span class="strongInContent">笠原</span>　<span class="strongInContent">そうです。（略）そうしないと僕自身が納得しないと思ったんです。</span></p>
<p>「ヒットマン」との共通点</p>
<p>&lt;カッパ&gt;と&lt;アンコ&gt;については、〝ボンノ〟と呼ばれた伝説のヤクザ（菅野政雄）から聞いた話だという。</p>
<p><span class="strongInContent">「刑務所に入ると、おかまを掘られるんですね。掘るのが&lt;カッパ&gt;で、掘られるのが&lt;アンコ&gt;」</span></p>
<p>そうして出所後、この&lt;アンコ&gt;が鉄砲玉、いわゆるヒットマンとなって人を殺すのだそうだ。</p>
<p><span class="strongInContent">「殺人という異常行動は、やっぱり自分が一度、本当の被害者になったことがないとできないんですよ。要するに、自分が受けた屈辱というものを跳ね返したい――つまり、男になりたいと」</span></p>
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<p>つまり刑務所内で男が男に犯され、犯された側（アンコ）が〝失われた男性性〟の復権を果たすため殺人に至る、というロジックだ。いや、すごい世界である。</p>
<p>あっ、と思い、ハタと膝を打った。</p>
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<p>これってジャニーズのアイドルの世界ではないか！</p>
<figure id="attachment_327365" aria-describedby="caption-attachment-327365" style="width: 1417px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="e835bec9"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/08/b5340ed474b91f1465cc91c488bdb932-2.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-327365" class="wp-caption-text">ジャニー氏による被害者たちの心中は、察するに余りあるものがある</figcaption></figure>
<p>もちろん彼らはヒットマンではない。全員が性加害を受けたわけでもないだろう。そうなのだ。問題は、性加害を受けたのではないかと「見られている」ことである。老齢の事務所社長に、身を任せた。芸能界での成功を引き換えとして……。</p>
<p>そんな事実はなくても、そう「見られている」。そう「見られている」ことに負い目を感じている、被虐者として屈辱にまみれている。それこそが問題ではないか？</p>
<p>インターネットの匿名掲示板や、ツイッター（現X）等の匿名投稿をみれば、ジャニーズのアイドルに対するそんな心無い、口汚い中傷をいくつも見つけられることだろう。それほどにジャニー喜多川の性加害の噂は、広く、長らく一般に伝播していた（いや、もはやそれは「噂」ですらないのだ）。</p>
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<p>次の記事<a href="https://friday.kodansha.co.jp/article/326738">『【櫻井翔が涙ぐんだ最大の要因】歪んだ形での噴出も…ジャニー喜多川の激しすぎる「愛」が生んだ悲劇』</a>では、ジャニーズ事務所のアイドルが女性から強い共感を集める、誰も指摘できなかった要因について取り上げる。</p>
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中森明夫

共同通信社

ジャニーズ事務所のアイドルにまつわる謎を解くためには、映画『仁義なき戦い』に登場するヒットマンについて知ることがヒントになる。ジャニーズ事務所のアイドルと殺し屋の間には、重要な「共通点」があった。

『仁義なき戦い』と同じ構造だった…殺し屋とジャニーズアイドルの「悲しすぎる共通点」

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