<figure id="attachment_328663" aria-describedby="caption-attachment-328663" style="width: 4032px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="1eb7ec22"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/08/4d491431791653342dd54d09ac9ad94d.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-328663" class="wp-caption-text">8月8日に発生したハワイ・マウイ島の山火事によって、1300人以上が行方不明となっている</figcaption></figure>
<p>世界最悪の”森林火災シーズン”が到来している。</p>
<p>8月8日に発生した米ハワイ州マウイ島での森林火災では、アメリカの過去100年間で最多となる114人が死亡（9月8日現在）。2200棟の建物が損壊する大惨事となった。マウイ島だけでなく、カナダ、ギリシャ、スペインなど、大規模な森林火災は世界中で頻発している。この災害の原因の中でも、恐ろしいのが、自然的なものだという。</p>
<div data-friday-ad-slot="AD_inArticle"></div>
<p><span class="strongInContent">「地中海の沿岸だと、海岸に近い地域は湿度が4～5%程度しかありません。これだけ乾いていると、風で木と木がこすれ合った時の摩擦で発火してしまいます。下手をすると木がザワザワと揺れただけで燃え始めるほどです」(立命館大学環太平洋文明研究センター特任教授・高橋学氏)</span></p>
<p>日本のような湿度の高い地域では稀だが、自然発火による森林火災は世界ではけっして珍しいことではない。大規模な森林火災は極端な高温と乾燥によってしばしば引き起こされるが、高橋氏はその原因として、7月4日に国連の世界気象機関が発表したエルニーニョ現象の発生があると続ける。</p>
<div data-friday-ad-slot="AD_inArticle"></div>
<p><span class="strongInContent">「強いエルニーニョのため、北米大陸やヨーロッパ大陸の西海岸近くは、例年より気温が上昇し、乾燥が激しくなっています。さらに、ヨーロッパに関してはサハラ砂漠から地中海を超えて北に吹く『シロッコ』という風が吹き込んできます。今年の『シロッコ』は、例年以上に暑く乾燥しているので、ヨーロッパでは一層、森林火災が起きやすくなっているのです」(同前)</span></p>
<div data-friday-nextpage-lead="日本にも大規模な森林火災のリスクが"></div>
<p>今回のハワイの火災では、都市部のほとんどが焼失。全体では、東京ディズニーランド1568個分超、8万ヘクタールの土地が被害を受けるなど、特に大規模化している。この大規模化の原因について、三重大学生物資源学部教授の立花義裕氏が語る。</p>
<div data-friday-ad-slot="AD_inArticle"></div>
<p><span class="strongInContent">「今年は、温暖化によって北極と中緯度の地域の温度差が減少したため、偏西風の蛇行が発生しています。偏西風は上下に蛇行していて、上部にあたる地域には高気圧が居座ることになる。高気圧が居座ると、土地は乾燥と猛暑に見舞われ、自然発火する条件が広範囲にわたって整うことになります」</span></p>
<figure id="attachment_328664" aria-describedby="caption-attachment-328664" style="width: 6000px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="d4cab06f"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/08/4bdd49987eef36da1365cae38e78339f.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-328664" class="wp-caption-text">今年に入り、カナダ全土では5700件以上の山火事が発生している</figcaption></figure>
<p>また、国連環境計画が’22年に発表した報告書によると、大規模な森林火災のリスクは’30年までに14%、’50年までに30%増えるという。今後も大規模な森林火災は続いていくのか。</p>
<p><span class="strongInContent">「北極の温暖化は突然止まるものではありません。二酸化炭素を少し減らしたぐらいでは防げない。今起きているような森林火災は今後も発生し続けるでしょう」(同前)</span></p>
<div data-friday-ad-slot="AD_inArticle"></div>
<p>森林火災の脅威は強まっているものの、現状日本では大規模な事例は発生していない。しかし、立花氏は「日本も他人事ではない」と警鐘を鳴らす。</p>
<p><span class="strongInContent">「日本は比較的湿った気候なので、今世界で起こっているような大規模な火災は起こりにくいです。しかし、そんな日本でも危険な場合があります。台風です。台風は中心部分では雨が降りますが、離れた地域では雨が降らないうえに気温が上昇し、風が強い。</span></p>
<p><span class="strongInContent">つまり、乾燥状態が作られるということです。さらに、今日本は蛇行している偏西風の上部に位置しているので、乾いた高気圧が居座りやすい。そうした場所でひとたび森林火災が発生すると、広大な範囲に燃え広がる可能性がある。日本も他人事ではないんです」(同前)</span></p>
<p>8月中だけでも、大規模な火災の事例は枚挙にいとまがない。初旬にはポルトガルで6700ヘクタールもの土地が焼失、数日前にはギリシャで起きた森林火災により、2万人以上が避難を余儀なくされた。世界各地で大規模な事例が多発している。日本も例外ではない以上、警戒は怠れない。</p>


アフロ

世界中で大規模な山火事が頻発している。マウイ島で発生した火災では、過去100年で最多となる114人の死亡が確認。未曾有の災害に人々の生活が脅かされる中、専門家は「日本も他人事ではない」と警鐘を鳴らす

「実は台風の影響で被害が悪化する」“世界同時多発”する「山火事」の猛威に専門家が鳴らす警鐘

あなたへのオススメ