どんなスキマにも入り込む あなねこ
カメラが捉えた決定的瞬間
穴からひょっこり顔を出す愛くるしい猫たち。
スポーツカメラマンだから撮れた奇跡の一瞬!
半年で撮影成功たった20枚
「『あなねこ』の魅力は、普段見られない表情を撮れることです。真っ暗な穴の中から明るい外部に出て、驚いたり不機嫌そうな表情になるんですよ」
こう話すのは、カメラマンの繁昌良司氏(57)だ。繁昌氏は普段、プロ野球やメジャーリーグを取材している。「あなねこ」を撮り始めたのは昨夏のことだ。
「5年ほど前に米国のニュースチャンネル『CNN』が、福岡県の相島(あいのしま)を『世界5大猫スポット』に認定したのをキッカケに、地元・九州の島々を回って猫を撮り始めたんです。観察していると、猫は排水管やフタのされた側溝の中に好んで入る。安全ですし、移動しやすいですから。そこで昨年の夏、たまたま穴から顔を出す猫を見つけたんです。写真映(ば)えする愛くるしい表情に、『かわいい!』と魅了されました」
だが「あなねこ」を撮るのは、難易度が相当高いことを思い知る。
「いつ出てくるかわかりませんからね。穴もそこらじゅうに、いくつもある。10〜20分同じ姿勢で待たされるのはザラ。30分待っても出てこないこともあります。出たら瞬時にカメラを向け、シャッターを切らなければなりません。スポーツの現場で培った俊敏性のおかげでなんとか対応していますが、半年ほどかけて撮れたのはまだ20枚ほどです」
今回掲載したのは、決定的一瞬を捉えた猫の超レア写真なのだ。
出るか戻るか
周囲を警戒中
もしやこのまま動けない!?
モグラ叩きじゃないんだから……
次の記事はこちら #3 狭くても細くても暗くてもダイブ! ぴったりハマる“スキマ猫”
撮影:繁昌良司(はんじょう・りょうじ)
’61年、鹿児島県生まれ。週刊誌を中心に活躍。主な作品に『城島健司 解体心書』『川﨑宗則写真集』など