<figure id="attachment_328932" aria-describedby="caption-attachment-328932" style="width: 700px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="7946a75d"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/08/1d18dc6f758143e186ec00cd9555779b-1.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-328932" class="wp-caption-text">2016年、「なでしこジャパン」の監督に就任した高倉麻子監督（中央・当時）。田嶋幸三会長（右）にとって初の女性監督を誕生させることは悲願だったという（写真：共同通信）</figcaption></figure>
<p>日本サッカー協会（JFA）が27人いる理事会定数を９人から15人に大幅に減らすことを決めた。2019年スポーツ庁がそれぞれのスポーツ団体の品位を保つために決めた「<span style="font-size: 1rem;">スポーツ団体のガバナンスコード（組織統治の指標や行動原則）</span><span style="font-size: 1rem;">女性理事40％以上、外部理事25％の登用」に適合させていくことが狙いだ。来年３月に任期満了を迎え、理事会定数の大幅削減を決めたJFA田嶋幸三会長（65）は「大きな改革ができた」と胸を張ったが、一方でもどかしい舞台裏が明るみになった。</span></p>
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<h3>「女性理事40％、外部理事25％の登用」</h3>
<p>来年４月からJFA新会長が誕生する。2016年から４期務めた田嶋会長に代わり久々のトップ交代だ。それに合わせる形で、今年５月から前例のない組織改革が議論されていた。その結論がJFA理事の定数を半数近くに減らすという大胆な定数削減だ。７月末に発表されたこの内容に「まさか、協会の理事がこれまでの半数になんて、想像すらしていなかったです」と古参のJFA職員も驚きを隠せなかった。</p>
<p>会社組織でいえば来年から役員が一気に削減されることと同じ。田嶋会長は「私はこの任期をもって退任する。それがあるから、今〝コレ（理事会定数の大幅削減）〟ができると思っている」と胸を張った。</p>
<p>異例の理事削減にはもちろん理由がある。2019年にスポーツ庁が全スポーツ団体に順守すべきカバナンスコードを策定した。東京五輪における汚職事件を皮切りに多くのスポーツ団体でも不祥事が続きスポーツ界への信頼が今も大きく揺らいでいる。年功序列のお決まり人事も多くの団体で繰り返されている。そこでより開かれ、新陳代謝が定期的に行われる適正な運営体制にするために「女性理事40％、外部理事25％の登用」を通達。スポーツ庁では全団体に対してこのカバナンスコードがしっかり達成できているか、４年ごとに適合検査を行うことを決めた。</p>
<p>田嶋会長はスポーツ団体のトップとして<span class="strongInContent">「（理事会のメンバーが）評論家の集団のような組織になってはいけない」</span>と、スリム化の意義を語り、さらに「確かに（スポーツ庁の）ガバナンスコードは一つの引き金になった」とした。</p>
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<div data-friday-nextpage-lead="柔道・山口香氏がJFA理事に起用された本当の理由"></div>
<figure id="attachment_328935" aria-describedby="caption-attachment-328935" style="width: 1024px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="d15d72a2"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/08/af6ad450938c9de54c417984a1b14077.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-328935" class="wp-caption-text">サッカー女子Ｗ杯のスペイン戦で、先制ゴールを決め喜ぶ宮澤ひなた（左から２人目）。なでしこジャパンはベスト４進出を逃したが、５得点をあげた宮澤は得点王に輝き、リバプール入りが有力視されている（写真：共同通信）</figcaption></figure>
<h3>どのスポーツ団体も理事の〝人材難〟が頭痛のタネ</h3>
<p>JFAの地方協会のある幹部は、田嶋会長の主張の中に透けて見える本音をこう解説する。</p>
<p><span class="strongInContent">「これまで通り、JFA理事会の定数を30人にすれば、スポーツ庁のガバナンスコードに適合するために女性理事を12人選ばないといけない。私が聞いている範囲の話だと、それが難しいそうです。私自身、女性蔑視をしたくないので、誤解されると困るのですが、JFAが女性理事をリストアップしようとしても、自薦他薦でも数えるほどしかリストアップされていない、と聞いています。つまり、現状では12人そろえるのが難しい。ですが、理事会定数の分母を減らせば女性理事の登用も少なくて済むので、それが定数削減の本当の理由です。</span></p>
<p><span class="strongInContent">さらに理事には地方から８人、常務理事は１人選出されています。大幅に減らすことが決まった今、次回はこの地方枠がほとんどなくなるのではないかと見ています」</span></p>
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<p>JFAは他のスポーツ団体に先駆けて女性理事を大胆に抜擢したパイオニアのような存在だっただけに、苦渋の決断だっただろう。2008年に現役復帰を発表したプロテニスプレーヤー伊達公子氏が理事に就任。ただ、プロツアーを優先した伊達氏は毎月あるJFA理事会にほとんど出席することがなかった。当時、JFAの事務方のトップである専務理事の役職にいた田嶋会長は「理事会に出席しなくても意見は出してもらうことになる」と苦しい弁明を続けたが、伊達氏は任期をまっとうした。さらに、田嶋会長は今期JFA理事に柔道の山口香氏を抜擢した。サッカー担当記者はこう明かす。</p>
<p><span class="strongInContent">「田嶋会長はこれまでも女性理事の登用には積極的でしたが、固辞する方も多くなかなか実現しなかったんです。今期の山口さんがJFA理事になったのは田嶋会長と大学が同窓（筑波大）というのが理由ですからね（苦笑）」</span></p>
<p>JFA田嶋会長は歴代会長の中でも日本サッカー界への「女性進出」を積極的に打ち出してきた。女子サッカーのなでしこジャパンでは東京五輪で日本サッカー史上初となるA代表監督に高倉麻子氏を起用したのもそのひとつだ。今回の女子W杯でも絶望的だったテレビの地上波生中継が実現に奔走。そしてなでしこジャパンがW杯に挑むにあたり、チャーター便の使用や専属シェフを帯同させるよう、指示をしていた。これまで女性の活躍を打ち出すことを続けながら、女性理事のなり手がなかなか見つからないこと、そして組織の透明性を維持するために今回、「理事半減」の苦渋の決断をせざるをえなかった。果たして来年４月、JFA新会長は田嶋会長の〝遺志〟を受け継げるだろうか。</p>
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来年3月に任期満了を迎える日本サッカー協会・田嶋幸三会長が理事の数を大幅に減らすことを決めた。その理由のひとつは「女性の理事を減らすため」。女性活躍を推進してきた同会長の「苦渋の決断」の舞台裏を追った

女性活躍推進の日本サッカー協会トップが理事定数大幅減　背景にあった「女性理事を減らす」苦渋の決断

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