元川 悦子

<p>サッカー日本代表が9月9日夜（日本時間10日未明）、強豪のドイツと敵地ヴォルフスブルクで激突する。</p>
<p>バスケW杯でのパリ五輪出場権獲得に続き、9月8日にラグビーW杯が開幕するなど、世界的スポーツイベントが目白押し。2つの世界大会に挟まれる形になるが、今回の親善試合が持つ意味は大きい。</p>
<figure id="attachment_330322" aria-describedby="caption-attachment-330322" style="width: 4589px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="ab6098b7"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/09/74a50def56cdf574f3cd4ba06b3c4303.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-330322" class="wp-caption-text">6月15日に行われた親善試合・エルサルバドル戦で奮闘する浅野拓磨</figcaption></figure>
<p>ご存じの通り、カタールW杯初戦で日本は堂安律（25・フライブルク）と浅野拓磨（28・ボーフム）の2ゴールによってドイツを撃破。誰もが予想しえなかった大金星で世界を驚かせているからだ。</p>
<p>対する日本代表は今年3月から第2次・森保ジャパンがスタート。ここまで2勝1分1敗と順調に試合を重ねている。</p>
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<p>特筆すべきは6月シリーズでのペルー戦だ。日本攻撃陣をリードする三笘薫（26・ブライトン）と伊東純也（30・スタッド・ランス）の両サイドアタッカーが揃ってゴールを挙げるなど、4－1で格上を圧倒したのである。</p>
<p>そして今回のドイツとの再戦だが――Ｗ杯でのドイツは日本戦での敗戦が響いてグループリーグ敗退の憂き目をみている。今年に入ってからも1勝1分3敗と低迷続き。ハンジ・フリック監督の立場が微妙になりつつあり、もしも日本にホームでまたも敗れるようなことがあれば、激震が走るのは間違いない。目の色を変えて襲い掛かってくるのは間違いないのだ。</p>
<p>成長著しい大型FWニクラス・フュルクルク（30・ドルトムント）が目下、足の状態に問題を抱えているということで、崖っぷちの指揮官はベテラン、トーマス・ミュラー（33・バイエルン）を追加招集。バイエルン仕込みの変幻自在の攻めは日本にとって脅威となるだろう。</p>
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<div data-friday-nextpage-lead="大舞台ほど結果を出す「タフさ」"></div>
<p>実際、W杯で戦った際も日本は前半、ドイツ攻撃陣の動きに翻弄され、一方的に押し込まれているのだ。日本がすべきことは、マッチアップでしっかりと相手を零封すること。前回の対戦を経験している板倉滉（26・ボルシアMG）を軸に、強固な守りを形成していく必要がある。ケガで長期離脱していた冨安健洋（24・アーセナル）の復帰も力強い材料だ。森保一監督（55）は4-2-3-1でのスタートを明言したが、状況次第では谷口彰悟（32・アルラーヤン）を含めた3バックも視野に入れつつ、準備を進めているだろう。</p>
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<p>そのうえで、「決めるべき選手」がゴールを奪うことが重要。その筆頭候補となるのが「持ってる男」浅野拓磨である。</p>
<figure id="attachment_330323" aria-describedby="caption-attachment-330323" style="width: 1280px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="c13ec450"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/09/cabc044aba4eacc0ae81efb25e53fa37.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-330323" class="wp-caption-text">ドイツ戦に向けて調整を行う</figcaption></figure>
<p>カタールで世界的守護神、マヌエル・ノイアー（37・バイエルン）をぶち抜く豪快弾を決めたように、浅野は「大舞台になればなるほど力を発揮する」という傑出した特性を持っている。</p>
<p>ジンクスの始まりは、四日市中央工業高校時代に出場した’12年正月の高校サッカー選手権大会。2年生だった快足FWは次々とゴールを量産し、チームを決勝へと導いた。決勝・市立船橋高校戦でも開始1分に先制点をゲット。この試合は市船の凄まじい粘りによって延長戦の末、敗れてしまったが、大会7ゴールで得点王に輝き、浅野拓磨の名は一躍、全国に轟いた。</p>
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<p>’13年にサンフレッチェ広島入りしてからも、森保監督にスーパーサブとして重用された。森保体制3度目のリーグ制覇がかかった’15年Jリーグチャンピオンシップ・ガンバ大阪戦では、タイトル獲得を引き寄せるゴールをゲット。勝負強さに磨きをかけた。</p>
<p>’16年夏に欧州に挑戦して以降は、日本代表にも定着。ヴァイッド・ハリルホジッチ監督（70）に積極起用されるようになり、’18年ロシアW杯出場権獲得のかかった’17年9月のオーストラリア戦で、値千金の先制点を叩き出した。この大一番での一撃がなかったら、日本はロシアに行くこともできなかったし、ベスト16入りも果たせなかった。</p>
<figure id="attachment_330325" aria-describedby="caption-attachment-330325" style="width: 1280px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="4d5d4c12"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/09/b4f191e3aea5a819188094ae8cf64be7.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-330325" class="wp-caption-text">大舞台で決定的な仕事を続けてきた</figcaption></figure>
<p>森保ジャパン発足後もコンスタントに招集され、チームが最大の危機に瀕した’21年10月の最終予選・オ―ストラリア戦で途中出場。起死回生のオウンゴールを演出し、森保監督を解任危機から救ってみせた。</p>
<p>そして、あのドイツ戦の決勝弾だ。</p>
<p>「浅野は岡崎慎司（37・シントトロイデン）や大迫勇也（33・神戸）ら歴代日本代表1トップに比べると少し物足りない」というネガティブな評価もある中で、重要な仕事をし続けているのだから、指揮官は秘蔵っ子を外さないだろう。</p>
<div data-friday-nextpage-lead="地元紙も「恐怖を与える存在」と警戒"></div>
<p><span class="strongInContent">「確かにヒーローになれるタイミングはちょこちょこ人より多いかもしれないですけど、つねに結果を出せるFWを目指しているので、もっともっと成長しないといけないという気持ちのほうが強いです」</span></p>
<p>と、浅野本人は謙虚だが、カタールW杯を機にドイツ国内での彼の評価や影響力が高まっているのは間違いない。実際、所属するボーフムでは1部残留のかかった昨季最終戦・レバークーゼン戦で1ゴール1アシストと大爆発。今季に入ってからも攻撃陣をリードしている。直近に行われた9月2日のアウクスブルク戦では芸術的な右アウトサイドのシュートを2発決めている。</p>
<p><span class="strongInContent">「僕自身は前回のドイツ戦は忘れたと言ってもいいくらいで、あんまり考えていない。同じような戦いができるかどうかも分からない。全く違う試合になると思っています。僕らが勘違いしちゃいけないのは、前回は勝ちましたけど、間違いなくドイツのほうが個の部分でもチームとしても、レベルが高いということ。自分たちは100%チャレンジャーで臨まないと勝利することはできない。だからといって、恐れることはない。海外でプレーしている日本人選手は沢山いますし、どこが相手でもやれるっていう自信はある。準備をしっかりして、勝つ準備をしていきたいと思います」</span></p>
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<p>代表に合流した初日の練習後にこう語った浅野。つねに挑戦者で居続けることは彼のモットーでもある。重要な局面で次々とゴールを奪えるのは、自分自身をそこまで追い込んでピッチに立っているからだろう。</p>
<p>大きな重圧がかかるこの一戦で浅野が凄まじい爆発力を見せて、ドイツ戦連勝の立役者になってくれる可能性は十二分にある。’26年の北中米W杯でエースFWの座をつかむための大きな試金石にもなりそうだ。</p>
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元川悦子

アフロ（1枚目）　元川悦子（2～4枚目）

カタールW杯の再戦となるドイツ戦を控えるサッカー日本代表。中でも前回のドイツ戦で得点を挙げたFW浅野拓磨が絶好調だ。かつてのエースに比べると小粒だと言われ続けてきたが、殻を破れるか。

【9月10日早朝キックオフ】Ｗ杯の衝撃弾再び！「持ってる男」浅野拓磨がドイツ戦で雑音を一掃する

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