マネーライター、ファイナンシャルプランナー／証券会社のマーケットアナリストを経て、1996年に独立。ビジネス誌や経済誌を中心に金融、資産運用の記事を執筆。著書に『ロボアドバイザー投資１年目の教科書』『豊富な図解でよくわかる！ キャッシュレス決済で絶対得する本 』。

松岡 賢治

<h3><span class="strongInContent">「いつもお世話になっているから…」では後悔することに</span></h3>
<p>’24年１月から始まる「新NISA（ニーサ）」を巡る、銀行や証券会社のキャンペーン合戦が熱を帯びてきた。10月からは、現NISA口座からの変更手続きも始まる。それに合わせて、各社ひとりでも多くの口座を獲得するため、現金やポイント、ギフト券のプレゼントなどを実施中だ。そこで、新NISAで資産運用を検討中の人に向けて、どの金融機関を選ぶべきか、解説していこう。</p>
<figure id="attachment_332564" aria-describedby="caption-attachment-332564" style="width: 4589px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="d64bf649"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/09/4f555abccdc6ebe3a1a0e81d0f870adb.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-332564" class="wp-caption-text">そもそも証券会社以外では株式投資ができない。当面、株式投資をする予定がなくても、選択肢は広い方がいい（PHOTO：アフロ）</figcaption></figure>
<h3><span class="strongInContent">キャンペーンに惑わされるな…その差はすぐに取り戻せる！？</span></h3>
<p>新NISA（少額投資非課税制度）の口座開設キャンペーンの特典は、現金やポイント、ギフト券など種類は様々だが、金額的には1000円～2000円あたりに集中している。「いちばんお得なところがいいのでは？」と思うかもしれないが、この際、キャンペーンの金額は気にする必要はない。<span class="strongInContent">そもそも微々たる差しかないし、もっと重視すべき点がある。</span>また、後述するように、投資金額に応じて<span class="strongInContent">ポイントが還元されるサービスがある証券会社なら、キャンペーンの金額に違いがあっても、すぐにその差は取り戻せる</span>からだ。</p>
<p>結論を先にいうと、<span class="strongInContent">新</span><span class="strongInContent">NISA</span><span class="strongInContent">の口座開設先は、ネット証券の一択</span>だ。以下、その理由を説明していこう。２点ある。</p>
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<h3><span class="strongInContent">「つみたてNISA</span><span class="strongInContent">」の取扱い数…ネット証券：170</span><span class="strongInContent">～200</span><span class="strongInContent">程度、メガバンク・大手証券：10</span><span class="strongInContent">～20</span><span class="strongInContent">本程度</span></h3>
<p>1つめは、NISAで投資が可能な投資信託は、ネット証券の方が圧倒的に多い点。新NISAには、株式や投資信託などに投資する「成長投資枠」と、投資信託に積立投資をする「つみたて投資枠」があり、金融機関によって、投資対象となる投資信託のラインナップは異なる。特に、致命的なのは、つみたて投資枠の品揃え。つみたて投資枠の対象は、現行NISAの「つみたてNISA」と同じであり、つみたてNISAのラインナップはすでに各社で大きく異なっている。</p>
<p>つみたてNISAの対象は、金融庁が定めた条件をクリアした投資信託に限られており、<span class="strongInContent">23年９月14日時点で計240本。この内、ネット証券の取扱本数は170～200程度だが、メガバンクや大手証券では10～20本程度のところがほとんどだ。</span></p>
<p>なぜ、こうした取り扱い本数に大きな差があるのか。一部の銀行や証券会社は、自社系列の運用会社が運用している投資信託を中心にラインナップをしているためだ。競合する投資信託は排除されている。これは大きなデメリットになる。</p>
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<p><span class="strongInContent">投資信託には、「日経225</span><span class="strongInContent">連動型」とか「S&amp;P500</span><span class="strongInContent">指数連動型」といったように、中身はまったく同じにもかかわらず、保有中にかかるコスト（</span><span class="strongInContent">＝信託報酬）</span><span class="strongInContent">が違う、という銘柄がいくつも存在</span>する。したがって、そうした競合商品がある場合、<span class="strongInContent">最も割安な信託報酬の銘柄を選ぶべきなのだが、品揃えが少ないと、比較検討して選ぶことはできない</span>。品揃えは多ければ多いほど良いのだ。</p>
<div data-friday-nextpage-lead="クレジットカード決済による「ポイント還元」がお得"></div>
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<h3><span class="strongInContent">クレジ</span><span class="strongInContent">ットカード決済による「ポイント還元」がお得過ぎる</span></h3>
<p>ネット証券を選ぶ２つめの理由は、投資金額に応じたポイント還元が受けられるサービスがあること。クレジットカードや電子マネーで金融商品を購入すると、他の買い物と同じく、ポイントが付くのである。これが、とにかくお得なのだ。</p>
<p>特に、<span class="strongInContent">メリットが大きいのが投資信託の積立投資によるポイント還元</span>。クレジットカードで決済すると、月々の積立金額に応じてポイントがもらえる。例えば、毎月１万円、つみたてNISAで投資をすると、還元率１％なら毎月100ポイントずつ貯まることになる。月２万円なら、１年間で2400ポイントが貯まる。</p>
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<p>すでに、現行のつみたてNISAでは多くのユーザーが利用しており、新NISAでは、さらに普及する可能性が高い。以下、ネット証券ごとに、貯まるポイントの種類と還元率をまとめた。</p>
<figure id="attachment_332565" aria-describedby="caption-attachment-332565" style="width: 1481px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="3759f049"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/09/251c2060bb631517511fcb896daa321f.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-332565" class="wp-caption-text">いずれも年会費無料のカードの場合（マネックスカードは実質無料）</figcaption></figure>
<h3><span class="strongInContent">PayPay</span><span class="strongInContent">証券でもポイント還元がスタート</span></h3>
<p>表中にはないが、PayPay証券は、９月から、投資信託の積立投資をすると0.5％のPayPayポイントを還元するサービスを開始した。クレジットカード決済によるポイント還元と、実質的には同じ効果があり、当然、新NISAでのユーザーの取り込みを視野に入れている。</p>
<p>ソフトバンクグループの金融部門は、LINE証券が無くなることが決まっており、PayPay証券のグループ内での比重が増している。今後、さらなるキャンペーンを打ち出してくる可能性はある。普段、〝ソフトバンク― PayPay経済圏〟に住んでいる人は、検討に値するだろう。但し、<span class="strongInContent">つみたて投資枠の投資信託ラインナップは、まだ他のネット証券よりも少ないなど、総合力では劣る点があることに留意してほしい。</span></p>
<figure id="attachment_332709" aria-describedby="caption-attachment-332709" style="width: 774px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="0a1e1f81"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/09/60bc6d99e23f2bde2961566b60c9f57c.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-332709" class="wp-caption-text">出典：金融庁HP.令和５年度与党税制改正大綱を基に、レオス・キャピタルワークス作成</figcaption></figure>
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<h3><span class="strongInContent">クレカ決済のポイント還元対象金額、上限10万円を巡る攻防</span></h3>
<p>最後に、今後の注目点を。各社のクレカ決済ポイント還元サービスには、月５万円の上限がある。５万円を超える利用金額にはポイントは付かない。現行のつみたてNISAは、年間投資枠は40万円、月間にすると３万3333円なので、クレカ決済の上限が５万円でも大した問題ではなかった。</p>
<p>だが、新NISAのつみたて投資枠の年間上限額は120万円に拡大する。したがって、月間最大10万円まで積み立てが可能。つまり、つみたて成長枠では、現状のままではフルにポイント還元を受けることはできない。</p>
<p>その唯一の例外といえるのが<span class="strongInContent">楽天証券で、クレカ決済とは別に、電子マネー『楽天キャッシュ』決済によるポイント還元の枠が</span><span class="strongInContent">５</span><span class="strongInContent">万円ある。楽天カード決済と組み合わせると合計10</span><span class="strongInContent">万円がポイント還元の対象となる（楽天キャッシュによる還元率は0.5</span><span class="strongInContent">％）</span>。</p>
<p>それが、ここに来て新しい動きがあり、<span class="strongInContent">丸井グループの</span><span class="strongInContent">tsumiki</span><span class="strongInContent">証券は、’24</span><span class="strongInContent">年１</span><span class="strongInContent">月から、クレカ決済でのポイント還元対象の上限額を月10</span><span class="strongInContent">万円に引き上げる</span>という。これに他社が追随するかどうか、非常に注目される。法律では、そもそもの上限額は月10万円となっているので、おそらく問題はないはず（内閣府令・第百四十八条の例外規定）。10月から、’24年のNISA口座の変更手続きが始まるが、もう少し様子を見るほうがいいのかもしれない。</p>


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松岡賢治

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