<h3><span class="strongInContent">JALも来年度以降の見直しを予告済み…日々の生活でも定着した「マイラー」に転換期？</span></h3>
<p>飛行機に乗ったり買い物をしたりしてマイルを貯め、特典航空券やポイントなどに交換してさらなる旅行や買い物などに活用する「マイラー」と呼ばれる人たち。近年、飛行機にひたすら乗ってマイルと搭乗実績を重ね、航空会社の上級会員としての特典を満喫する「マイル修行」もブームとなっていた。</p>
<figure id="attachment_335545" aria-describedby="caption-attachment-335545" style="width: 1800px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="2fcd857b"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/10/0b61aa0944d3ecccfb352a2b77e5db00.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-335545" class="wp-caption-text">ANA（手前）とJAL、その他航空会社は自社のマイル会員向けサービスを提供。そのルールが近年、変更されるたびに厳しいものとなりつつある</figcaption></figure>
<p>しかし最近、航空会社によるマイル会員向けのルール変更が、世界中で相次いでいる。日系航空会社では、JALが来年度以降の見直しを予告済みで、ANAも大きな動きはないものの、上級会員へのサービス終了などが相次ぐ。この手のルール改正は毎回「改悪」と呼ばれるほど、マイラーにとって厳しくなる一方だ。</p>
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<h3><span class="strongInContent">デルタ航空が大幅ルール改正、「利用金額」ベースの中身とは</span></h3>
<p>デルタ航空は先日、自社の「スカイマイルプログラム」において、上級会員（メダリオン会員）の取得条件での変更を発表した。2024年1月から適用される。達成条件は、これまでは必要飛行マイル（ＭＱＭs）や必要区間（MQSs）だったのが今後、メダリオン会員資格取得〝必要ドル〟（MQDs）のみとなる。</p>
<figure id="attachment_335546" aria-describedby="caption-attachment-335546" style="width: 1800px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="39adcea4"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/10/6430c5ee52a5dcc74da98ee099964906.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-335546" class="wp-caption-text">羽田空港に着陸するデルタ航空の飛行機。同社の東京便は現在すべて羽田発着だ</figcaption></figure>
<p>その内容として、デルタ航空または提携航空会社が運航するデルタ航空便の航空券を購入した際、1米ドル＝1MQDドルが獲得可。また、デルタ航空指定の提携クレジットカードの利用で1000円＝1MQDドル、公式サイト「delta.com」でホテルやレンタカーを予約した際も1米ドル＝1MQDドルが獲得できる。以下、ランク別に、日本円に換算してみた（左が航空券など、右が買い物利用のみの場合。1ドル＝148円で計算）</p>
<ul>
<li>シルバーメダリオン…6000 MQDドル（約90万円／約600万円）</li>
<li>ゴールドメダリオン…12000 MQDドル（約180万円／約1200万円）</li>
<li>プラチナメダリオン…18000 MQDドル（約270万円／約1800万円）</li>
<li>ダイヤモンドメダリオン…35000 MQDドル（約520万円／約3500万円）</li>
</ul>
<p>金額で見ると、航空券などの購入が圧倒的に有利だ。一方、日々の買い物でマイルを貯める「陸マイラー」は、空港ラウンジが利用できるゴールドメダリオンに到達するために、年間1200万円以上の買い物利用が必要になる。しかし、現実的に、この金額のカード利用は一般的に厳しいだろう。しかも、ドル換算なので、円安傾向が続く中、日本人にとっては、さらにハードルが高くなる可能性もある。</p>
<figure id="attachment_335547" aria-describedby="caption-attachment-335547" style="width: 1505px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="dab339bb"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/10/78db8b91ed0847d6b47e991d3c20791d.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-335547" class="wp-caption-text">羽田空港にあるデルタ航空のラウンジ「Delta Sky Club」はビジネスクラス利用客らのほか、ゴールドメダリオン以上だと利用可（PHOTO：DELTA）</figcaption></figure>
<p>これとは別に、デルタ航空は昨年2月、自社ラウンジの混雑問題を解消すべく、利用基準を変更。通常、ゴールドメダリオンだとどの搭乗クラスでもラウンジを利用できたが、改正後はメインキャビン（エコノミークラス）など下位クラスだと利用不可に。ちなみに、アメリカ国内線の最安運賃「ベーシックエコノミー」では、ＭＱＤすら貯めることができない。</p>
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<p>あまりの改悪に非難が殺到し、「デルタCEOが見直す」というニュースも流れている。</p>
<p>日本在住のマイラーによく知られる「デルタアメックスゴールド」は現状、日本発行のカードはそのままゴールドメダリオンが取得でき、今回のルール改正も対象外。ただ、いつ急にルール変更されるとも限らない。</p>
<div data-friday-nextpage-lead="日系の制度は、実は世界的に〝極めてレア〟"></div>
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<h3><span class="strongInContent">日系の「SFC（ANA）」「JGC（JAL）」は実は世界的に〝極めてレア〟</span></h3>
<p>これらの改悪は、デルタ航空だけに止まらない。というのも、デルタ航空が最初にルール改正すると、他の航空会社が追随するパターンがこれまで見られてきたからだ。実際の飛行距離や搭乗回数などは一切関係なく、「金額ベース」のみとなるインパクトは決して小さくない。</p>
<figure id="attachment_335548" aria-describedby="caption-attachment-335548" style="width: 3600px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="d07069a9"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/10/9d81e3e506dac7156b0c4a8ad3e37480.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-335548" class="wp-caption-text">アメリカ・ロサンゼルス国際空港にある、デルタ航空のビジネスクラス利用客ら専用のチェックインカウンター（PHOTO：DELTA）</figcaption></figure>
<p>もし、デルタ航空のような「金額ベース」になると、現在のANAの「SFC修行」、JALの「JGC修行」が下火になる可能性は高いだろう。一度プラチナ（ANA）、サファイア（JAL）のランクまで到達するとその後、最低1万円強のカード年会費だけで、空港の航空会社ラウンジ利用など優遇される上級会員としての資格が維持できるANAやJALのケースは、世界的に見ると極めて珍しいのだ。</p>
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<p>デルタ航空のような金額ベースになると、マイルが貯まるペースが確実に鈍くなる陸マイラーはもちろん、旅行でたまに乗るマイラーも毎年200万円近くを航空券などに支払い続けるのは簡単ではない。</p>
<p>従来から、1年だけ“修行”してSFCやJGCを取得し、それ以後はたまに乗る程度という人はけっこう多い。日系2社のそのシステムが国際的にまずあり得ないのだが、航空会社からすればやはり搭乗回数が従来から多い、しかも有償客への優遇にシフトするのは当然の流れと言える。</p>
<h3><span class="strongInContent">特典航空券の必要マイル数も各社「大幅アップ」の動き…</span></h3>
<p>他の航空会社における改悪の例として、ブリティッシュエアウェイズが近年、立て続けに、自社のマイレージプログラム「Executive Club」で、特典航空券に交換するための必要マイル数（Avios）を大幅アップ。従来からマイル予約できるJALの国内線で、羽田＝伊丹・新千歳・福岡など距離650マイル以下が2019年の4500マイルから段階的に引き上げ、ついに10500マイルが必要となった。</p>
<figure id="attachment_335549" aria-describedby="caption-attachment-335549" style="width: 1800px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="d5bca080"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/10/3412cd4209a8b2c81d817e106d8675a3.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-335549" class="wp-caption-text">イギリスのブリティッシュエアウェイズはJALと同じ航空連合「ワンワールド」所属のため、マイルの相互利用などができるが、ルールはJALとまったく異なる</figcaption></figure>
<p>ただ、そのJALも、2021年10月末以降、国内線特典航空券の必要マイル数をアップし、今年4月には「JAL国内線特典航空券PLUS」となって特典枠の空き状況で必要マイル数が変動して予約変更も一切不可となった。国際線航空券に含まれる国内線区間の積算マイルも減額するなど、マイラーにとって決して大きくはないが、喜ばしくない細かいルール変更が続いている。</p>
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<p>一方ANAは、「ライフソリューションサービス」というANAのふるさと納税や保険、空港内売店など飛行機の搭乗以外での利用実績でも上級会員の資格を付与しており、飛行機の搭乗に限らない取り組みも始まっている。</p>
<div data-friday-nextpage-lead="「マイルで座席が取れない！」という悲鳴が…"></div>
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<h3><span class="strongInContent">利用期限は3年間…コロナ後「マイルで座席が取れない！」という悲鳴が聞こえる</span></h3>
<p>日系2社のマイルには、取得した月から3年という利用期限がある。利用方法として、特典航空券をはじめ、日々の買い物に使える各種ポイントや主要な電子マネーへの交換、グッズへの交換など数多の選択肢がある。ただ実際のところ、特典航空券に交換するのが最もお得だ。</p>
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<p>特に最近、コロナ後の航空券は、国際線では過去最高の燃油サーチャージも加算され、国際線で高止まり状態が続く。コロナ最中に旅行できなかった時に貯め込んだマイルをいざ使おうと思っても、同じことを考える人は非常に多い。特に年末年始などの繁忙期では、ビジネスクラスなどの上級クラスは「特典枠がすぐ埋まり、予約できない」という声がよく聞かれる。</p>
<figure id="attachment_335550" aria-describedby="caption-attachment-335550" style="width: 1800px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="16315316"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/10/7bf0cc249efd48d81e996e4c8b9e642e.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-335550" class="wp-caption-text">JALの来年度以降におけるステータス制度の見直し、その詳細は今秋発表予定。具体的な内容が気になるマイラーは実際多い</figcaption></figure>
<p>JALの場合、特典枠で予約数が増えるごとに必要マイル数が増える変動制。最低必要マイル数を見た後に大きく割り増しされると、マイルを使う気が失せるかもしれない。だが、貯まったマイルの有効期限は、コロナ禍こそ延長されたものの、現在は通常通りで、使わないままだと失効する。</p>
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<p>航空会社のマイルを貯めて、そのマイルで旅行を楽しむ。また、上級会員になるため、必要以上の搭乗を重ねる。これまでマイラーを魅了してきたマイル制度。日系でもこれまで何度か“メス”が入ることはあっても、結局、大幅な変更までは至っていない。ただ、今回のデルタ航空による動きが世界へ広がれば、ある意味“ガラパゴス化”ともいえる日本におけるマイル制度も、少なからず影響を受けないとも限らない。マイラー、修行といったブームもそろそろ岐路に立ちつつあると言えるのではないだろうか。</p>
<figure id="attachment_335843" aria-describedby="caption-attachment-335843" style="width: 2000px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="d2969c17"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/10/67a8993f5605c7901a48b1f511d07443.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-335843" class="wp-caption-text">ラウンジにシェフが立つのを見かけることが増えてきた。スイス・チューリッヒ国際空港にあるスイス・インターナショナル・エアラインズのラウンジにて</figcaption></figure>
<figure id="attachment_335844" aria-describedby="caption-attachment-335844" style="width: 2000px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="099f722b"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/10/81cb6bb9f5d1cc3b90e99f503d7ea2be.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-335844" class="wp-caption-text">フィンエアーは、日本でも人気が高いフィンランド発ライフスタイルブランド「マリメッコ」と提携。プラチナウイングとビジネスラウンジ、シェンゲンエリアにあるラウンジではマリメッコの食器で北欧料理を味わうことができる</figcaption></figure>
<figure id="attachment_335845" aria-describedby="caption-attachment-335845" style="width: 2000px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="b6e56c4b"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/10/5a9bd1ae2dd927d5e28f8e8a5d31c1f4.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-335845" class="wp-caption-text">キャセイのラウンジ名物ともいえる「ヌードルバー」で提供される、担々麵やワンタン麺、飲茶などはいつもできたてで、本当に美味しい。この「ヌードルバー」は東京国際空港（羽田空港）や台北桃園国際空港にあるラウンジにも設置されている</figcaption></figure>
<figure id="attachment_335846" aria-describedby="caption-attachment-335846" style="width: 2000px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="162dca2a"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/10/fe2be8e47f6e886e5cc0c3c4ae8214a3.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-335846" class="wp-caption-text">パリのシャルルドゴール空港にあるエールフランス航空のラウンジは、お酒を飲みながら飛行機を眺めることができる</figcaption></figure>


Aki Shikama / シカマアキ

航空会社によるマイル会員向けのルール変更が、世界中で相次いでいる。日系航空会社では、JALが来年度以降の見直しを予告済みでだ。ルール改正は毎回「改悪」と呼ばれるほど、マイラーにとって厳しくなる一方だ。

上級会員到達には約1200万円の買い物が必要!? 相次ぐ「マイル制度改悪」で〝マイラー消滅〟か…

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