<figure id="attachment_335664" aria-describedby="caption-attachment-335664" style="width: 2500px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="9e4db82b"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/10/4e35ca904b3a9ef93854ad670f2677e3.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-335664" class="wp-caption-text">’２２年９月１日に撮影された、病床での猪木。白金台のマンションの最上階で、生涯最後の２ヵ月を過ごした</figcaption></figure>
<p><span class="strongInContent">「啓介、何とかしてくれよ……。一刻も早くここから出してほしい」</span></p>
<p>昨年７月、猪木啓介氏（75）のもとに、一本の電話がかかってきた。10年以上連絡が途絶えていた兄・アントニオ猪木本人からの電話だった。</p>
<p>「元気ですかーッ！」と日本を明るくし続けてきた″燃える闘魂″の弱々しいＳＯＳに、啓介氏は言葉を失った。</p>
<div data-friday-ad-slot="AD_inArticle"></div>
<p>横浜市鶴見区の總持寺(そうじじ)で９月12日、故・アントニオ猪木（’22年10月１日逝去・享年79）の一周忌法要が営まれた。</p>
<p><span class="strongInContent">「アントニオ猪木の遺骨が猪木家の菩提寺である總持寺に入ることになったのは、兄貴自身の希望でした。無事に一周忌法要を終えることができて、兄貴も喜んでいると思います」（啓介氏）</span></p>
<p>実は猪木にはもうひとつ「墓」がある。昨年５月に建立式が行われた、蔦(つた)温泉（青森県十和田市）近くの山中にある「アントニオ猪木家の墓」がそれだ。’19年に他界した猪木の最後の妻、田鶴子(たつこ)さん（享年62）が眠るこの墓に、「猪木の遺骨が入ることはないだろう」と啓介氏は言う。</p>
<p><span class="strongInContent">「私が兄貴と直接連絡が取れるようになったのは、亡くなる３ヵ月ほど前の’22年７月のことです。それまで長い間、私や親族、古くから兄貴を支えてきたスポンサーや関係者の多くが、橋本さん（田鶴子さんの旧姓）によって遠ざけられ、会うことはおろか、電話で話すことすらままなりませんでした。電話をすれば即座に切られます。なぜ、理由もなく身内が引き裂かれないといけないのか、理解できませんでした。故人を悪くは言いたくありませんが、晩年の兄貴はあの人に洗脳されていたと私は思っています」</span></p>
<p>田鶴子さんは猪木より先に逝ったが、その後も猪木の周囲は彼女の意思を引き継ぐメンバーで固められ、田鶴子さんが生前に認めた人間以外の接触は許されなかったという。</p>
<div data-friday-ad-slot="AD_inArticle"></div>
<div data-friday-nextpage-lead="目を疑う光景が……"></div>
<p>冒頭のＳＯＳで難病・心アミロイドーシスに侵された兄の病状がかなり悪化していることを悟った啓介氏は、古くからの猪木の支援者である湯川剛氏（ＯＳＧコーポレーション代表取締役会長・ＣＥＯ）とともに、猪木が闘病していた麻布十番（港区）のマンションに駆けつけた。湯川氏もまた、猪木と隔絶されていた。</p>
<p>なんとか部屋に入ることができた二人が見たのは、目を疑いたくなる光景だった。猪木は、わずか４畳半ほどの狭い部屋に置かれた小さなベッドの上に押し込められるようにして横たわっていたのだ。</p>
<div data-friday-ad-slot="AD_inArticle"></div>
<p><span class="strongInContent">「兄貴から電話をもらった時、私が一番懸念したのは体調の急変でした。もちろん体調は悪かったと思いますが、兄貴自身は『体調じゃねえんだ』と言うわけです。私は、外部と隔絶されるいまの扱いに、兄貴が大きな不満を持っていると感じ取りました」（啓介氏）</span></p>
<p>部屋はパーテーションで区切られ、居住スペースはさらに狭められていた。マンションは築56年の古い物件。世話人はいたものの、十分な看護は受けられていないように見えた。啓介氏が語る。</p>
<p><span class="strongInContent">「長年、プロレス界のトップに君臨してきた兄貴の晩年にふさわしい場所とはとうてい思えませんでした。手厚いケアを受けられる経済的状況ではなかったのでしょう」</span></p>
<p>至急、啓介氏は白金台（港区）のタワーマンションを契約。猪木も自らの意思でそこに移った。「救出」され、眺望の良い部屋に移った猪木は、生気を取り戻したように見えたという。</p>
<p><span class="strongInContent">「移る前は自分で腕も上げられないほど衰弱していたのですが、介護の専門チームを入れ、医師の許可を得てステーキなど好きなものを食べさせたおかげで再び体調は上向きました。８月28日に『24時間テレビ』（日本テレビ系）で兄貴が自分の詩『道』を朗読するコーナーに出演できたのは奇跡です」（啓介氏）</span></p>
<div data-friday-ad-slot="AD_inArticle"></div>
<div data-friday-nextpage-lead="「父の遺骨は一粒たりとも青森にわたさない」"></div>
<p>９月、猪木本人と啓介氏、前述の湯川氏、そして蔦温泉に建立された「アントニオ猪木家の墓」の管理者であり、田鶴子さんと親しかった地元宿泊施設の経営者Ｔ氏の間で話し合いがもたれた。</p>
<p>猪木は自らこう切り出したという。</p>
<p><span class="strongInContent">「（俺の遺骨が）入るのは總持寺だ」</span></p>
<p>愛する妻とともに建立した蔦温泉の墓ではなく、鶴見の總持寺に入る――それを自ら宣言したというのだ。</p>
<div data-friday-ad-slot="AD_inArticle"></div>
<p><span class="strongInContent">「兄貴は分骨には賛同していました。Ｔさんの心情を汲めば、分骨するのが良いと私も思いました。しかし、闘病の末に兄貴が亡くなった後、米国から帰国した娘の寛子さんが″父の遺骨は一粒たりとも青森にわたさない″とＴさんに伝え、分骨はなくなりました」（啓介氏）</span></p>
<p>女優で猪木の２番目の妻である倍賞美津子（76）との間の実娘である寛子さんの「非情通告」の裏には、田鶴子さんによって理不尽な排除をされ続けてきた親族の積年の思いが垣間見える。</p>
<p>猪木はなぜ、田鶴子さんによる人間関係の遮断を受け入れていたのか。</p>
<p><span class="strongInContent">「身の回りの世話をすべてやってくれるうえに、露骨であっても自分を常に持ち上げてくれる。兄貴はそういう人を好みました。兄貴は多くの人に愛されすぎた。そのため、周囲には常に嫉妬が巻き起こり、本人はそれを面白がっていたフシもある。最後は何とかうまく着地してくれましたが、それも兄貴らしいといえばそうかもしれません」（啓介氏）</span></p>
<p>葬儀の後、遺骨を持った寛子さんは実母・倍賞美津子の自宅を訪ねている。その際、倍賞はこう語ったという。</p>
<p><span class="strongInContent">「戻ってきたのね、アントン……」</span></p>
<p>啓介氏、寛子さんら親族や、最後の妻である田鶴子さん……すべての恩讐を乗り越え、猪木は安らかに眠っている。</p>
<figure id="attachment_335663" aria-describedby="caption-attachment-335663" style="width: 2448px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="468ccd3f"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/10/b742abe2d71da6c049d8228d47003de3.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-335663" class="wp-caption-text">田鶴子さん（左）が手がけた写真集『人生のHomeLess』（’01年）の完成イベントにて。この写真集の撮影を機に、二人は仲を深めていった</figcaption></figure>
<figure id="attachment_335660" aria-describedby="caption-attachment-335660" style="width: 1781px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="545d3847"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/10/1887cfb0b8d509cbd09d9150ca23ccb2.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-335660" class="wp-caption-text">一周忌法要の後、取材に答える啓介氏。１０年以上、猪木本人と直接連絡が取れなくなっていた</figcaption></figure>
<figure id="attachment_335665" aria-describedby="caption-attachment-335665" style="width: 2500px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="a375dbe3"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/10/e2ce705b50bbbc32720adec5efb56fe6.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-335665" class="wp-caption-text">笑顔を見せる猪木。病気が進行し、ほとんど自分で体を動かせないどころか、日によっては話すのも精一杯だった</figcaption></figure>
<figure id="attachment_335661" aria-describedby="caption-attachment-335661" style="width: 2500px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="41c552bd"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/10/388023a3df014b3f4091399c45bd4b3f.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-335661" class="wp-caption-text">總持寺の猪木家の墓とアントニオ猪木之像。一周忌法要には盟友の坂口征二や力道山夫人の田中敬子氏ら、ゆかりの深い人々が参列した。</figcaption></figure>
<figure id="attachment_335662" aria-describedby="caption-attachment-335662" style="width: 2500px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="52c73c7f"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/10/aae41c5241f51716747cd6892dae5b83.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-335662" class="wp-caption-text">蔦温泉の「アントニオ猪木家の墓」</figcaption></figure>
<p>『FRIDAY』2023年10月13・20日号より</p>
<div data-friday-ad-slot="AD_inArticle"></div>


原 悦生（病床の猪木）　小松寛之（啓介氏、總持寺）

″燃える闘魂″は４畳半に押し込まれ、やせ細り激しく衰弱していた――。実弟・啓介氏にＳＯＳをだした、かつて日本を明るくし続けてきた"アントニオ猪木"。長い間、親族と連絡を取ることができなかった理由とは…

「何とかしてくれよ……」アントニオ猪木　没後1年　死の１ヵ月前「衝撃闘病写真」

あなたへのオススメ

「何とかしてくれよ……」アントニオ猪木 没後1年 死の１ヵ月前「衝撃闘病写真」

あなたへのオススメ

「何とかしてくれよ……」アントニオ猪木　没後1年　死の１ヵ月前「衝撃闘病写真」