<figure id="attachment_336142" aria-describedby="caption-attachment-336142" style="width: 613px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="cc4f49d7"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/10/6b92ac699d1b588aa2ac0a55f1cd8080.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-336142" class="wp-caption-text">取材に応じた遠藤航の代理人・遠藤貴氏。物腰柔らかな話し口調が印象的だった</figcaption></figure>
<p><span class="strongInContent">「30歳を超えた“彼”に、欧州トップのクラブが30億円を払ってくれた。日本人の価値がここまで上がったのかと、肌で感じた」</span></p>
<p>こう語るのはサッカー選手のマネジメントを務める株式会社ユニバーサルスポーツジャパンの代表を務める遠藤貴（51）だ。“彼”とはもちろん、サッカー日本代表のキャプテンを務める遠藤航（30）を指す。</p>
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<p>日本中に衝撃を与えた遠藤航選手のイングランド・プレミアリーグの名門「リバプール」への移籍が実現したのは８月18日のことだった。遠藤はまさにその最前線で、交渉を取りまとめるために奔走した。（以下「」内の発言は全て遠藤）</p>
<p><span class="strongInContent">「もともと航とは、次に挑戦するなら世界のトップクラブしかあり得ないと話はしていました。前所属先のドイツ１部リーグのシュツットガルトは欧州トップの観客動員を誇る実力派クラブでしたから、急いで出る必要もなかった。だから私たちはとにかく待った。航には『動くなら、移籍市場が閉まる８月下旬』と話していました」</span></p>
<p>遠藤のコネクションは広い。その情報網を使い、８月にはリバプールが遠藤選手を「ラージリスト（獲得可能性が高い選手のリスト）」に入れているとの情報を掴んでいた。そして８月14日には、同じくラージリストに入っていたほか選手が別のチームへ移籍する。千載一遇のチャンス到来――。しかし、遠藤は焦らなかった。</p>
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<p><span class="strongInContent">「もちろんリバプールには航の情報は渡していました。しかし、先ほども言ったような状況があったので、私たちは決して移籍を焦ってはいませんでした。変な話ですが、クラブ内には明確に“序列”が存在します。クラブがレギュラー待遇で迎えた選手なのか、国の代表に選ばれているのかなどなど……。そういったことで入団後の立ち位置が変わりますからね。</span><br>
<span class="strongInContent">他にも勝算はありました。リバプールの監督を務めるユルゲン・クロップはドイツ人。さらにスポーツディレクターもドイツ人がが担当していました。その関係が、ポジティブに働くとも考えていたのです」</span></p>
<div data-friday-nextpage-lead="忘れられない「名将からの言葉」"></div>
<figure id="attachment_336141" aria-describedby="caption-attachment-336141" style="width: 1015px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="772f1040"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/10/1f2cf24f6bd8d7c9bf9a729f363947ef.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-336141" class="wp-caption-text">９月末には著書『代理人は眠らない』（徳間書店）を発売。出版イベントではその魅力を語った</figcaption></figure>
<p>オファーはすぐにリバプール側から舞い込んだ。８月17日深夜、遠藤の姿はリバプールの本拠地から２kmほど離れたマージー川沿いのホテルにあった。交渉は夜を徹して行われ、翌18日に無事に完了。30歳の選手としては異例の「契約年数・４年」という長期契約を締結することに成功した。</p>
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<p>遠藤選手は早速、19日の試合に途中出場。聖地・アンフィールドスタジアムのピッチに立った。それは遠藤の描いた一つの夢でもあった。</p>
<p><span class="strongInContent">「日本人選手が必要とされて世界トップクラブでプレーする。航の試合を見ていて鳥肌が立ちましたよ。試合前日のランチにはクロップ監督がわざわざ来てくれて『いい選手を連れてきてくれてありがとう』と声をかけられました。驚きましたね（笑）」</span></p>
<p>人気代理人である遠藤の仕事は激務を極める。普段は品川（東京都）にあるオフィスで仕事を行う遠藤。常に国内外の各クラブと連絡を取り合い、情報を得るための関係構築を怠らず、各国の法律や税制の知識もアップデートを続ける。さらに担当選手の試合もチェックするとあって、一日16時間以上は仕事に勤しみ、寝るのは朝５時を過ぎたころだ。</p>
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<p><span class="strongInContent">「一番嬉しいのは、やっぱり選手に喜んでもらえること。特に今回の航のときのように、急に話が進み、選手が思い描いていた以上のサプライズなキャリアを築けるときがある。そのときは、選手はもちろん家族や周囲のみんなから感謝される。これに勝るやりがいはないでしょう」</span></p>
<div data-friday-nextpage-lead="“金の亡者”や“銭ゲバ”と呼ばれて"></div>
<figure id="attachment_336146" aria-describedby="caption-attachment-336146" style="width: 1005px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="59628b14"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/10/ec4eecc0e24d5319e593931c0567e32e.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-336146" class="wp-caption-text">交渉のプロだけに返答も慣れたものだ</figcaption></figure>
<p>サッカーの代理人とは、決してクリーンイメージではない。オブラートに包まずに言えば「金の亡者」「銭ゲバ」といった印象のほうが強いだろう。</p>
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<p>たとえば昨年亡くなった大物代理人ミノ・ライオラ（享年54）でいえば、’16年にフランス代表ポール・ポグバをマンチェスターユナイテッドに移籍させた際に、手数料などを含め4100万ポンド（約73億円）を要求している。そういったド派手な金額のせいか、代理人とはしばしばダーティなイメージで語られることが多い。</p>
<p><span class="strongInContent">「確かに、そういう印象はあるかもしれませんね。ただ、私が思う『優れた代理人』とは、選手の理想のキャリアを叶えられる存在です。航は、自身の類稀なる努力で成功を掴み取ってきましたが、全選手がリバプールに移籍できるわけではありません。でも、その選手ごとに思い描くサッカー人生がある。彼らの理想に耳を傾け、待遇や給与、時にはプロキャリアが終わった後も続く未来まで見通して、最良の選択肢と環境を作ることが代理人の仕事の本分だと思っています」</span></p>
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<p>選手ファーストを掲げ、タフな交渉に臨む中で命の危機を感じたこともあるという。</p>
<p><span class="strongInContent">「もう20年以上前の話ですが、イタリアのあるクラブと交渉しているときに、喧嘩寸前になったことがあるんです。そのときに相手クラブの会長からは『夜道に気をつけろ』と言われたことがありました（笑）。でもこちらも仕事ですから、引き下がるわけにはいかない。そういう切った張ったも含めて、代理人業はやりがいにあふれています」</span></p>
<p>そう言うと遠藤は笑顔を見せた。これからも多くの名手が、遠藤の元、世界のトップへ巣立っていくだろう。</p>
<p><a href="#" data-ident_hash="0efcf2e1"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/10/9ec411c96f40e5699a51366f5e0f10bd.jpg" alt=""></a></p>
<p><span class="strongInContent">遠藤貴（えんどうたかし）</span>：’72年５月、東京都生まれ。プレミアリーグの名門アーセナルで勤務後、日本人初のイングランドサッカー協会認定選手代理人のライセンスを取得。エージェント事業を始める。’05年には株式会社ユニバーサルスポーツジャパンを設立。 ’22年にはオーセンス法律事務所と資本提携し、総合スポーツエージェント事業をスタートさせた。今年９月には自身初の著書となる『代理人は眠らない』（徳間書店）を出版。</p>


結束武郎

日本中を騒然とさせたサッカー・遠藤航の名門「リバプール」への移籍。その仕掛け人である代理人の遠藤貴が、電撃移籍の舞台裏を明かす。

遠藤航移籍の真相、ハードすぎる交渉の裏側…敏腕代理人が明かす「だからエージェントは辞められない」

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