<figure id="attachment_336815" aria-describedby="caption-attachment-336815" style="width: 2476px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="e96ef7a2"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/10/7c36c7385467f79ab042d5f02c83cd26.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-336815" class="wp-caption-text">その名の通り「元祖」だった三重県度会郡にあった『元祖国際秘宝館』（&#8217;07年閉館）。&#8217;71年にオープン、同施設の成功で各地に次々と秘宝館が誕生した　©都築響一</figcaption></figure>
<p>かつては多くの大人たちが物珍しさに観光バスを仕立てて押し寄せたという「秘宝館」。その煌びやかでゴージャスな世界観に、カップルが束の間日常を忘れた「ラブホテル」。今はもう、ほとんど失われてしまった、そんなロードサイドの文化遺産を写真家・都築響一氏が蒐集してきた写真集『秘宝館』、『ラブホテル』（ともに青幻舎）が刊行され、話題を呼んでいる。</p>
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<p>この２冊はもともと’90年代から’00年代初頭にかけて都築氏が取材した内容を、’08年～’09年に刊行したシリーズに含まれていたもの。今回は新たに取材した内容を加えて、アップデートしたものだ。</p>
<p>秘宝館は’70年代から’00年代まで、日本各地に点在した観光施設。主に性にまつわる〝おたから〟、男根のご神体やカーマ・スートラのレリーフや、女性器の解剖図、交尾する動物の剝製からロウ人形によるSEXパノラマまで、あらゆるエロとグロを展示した18禁のアミューズメント施設だった。団体旅行の最盛期だった’70年代～’80年代のピークにはバスを連ねて観光客が訪れるほどの人気だったという。だが、団体旅行が下火になるとともに衰退し、全国に20館以上あった施設も現存しているのは２館のみとなった。都築氏が初めて秘宝館を訪れたのは’95年のことだったという。</p>
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<p><span class="strongInContent">「最初は鳥羽の秘宝館だったんです。ちょっとエロいニュアンスがある場所だなっていうのを知っていたぐらいで、中身がどうなのかとか、全然わかんないわけですよ。たまたまビジネスホテルに置いてあったチラシか何かで鳥羽にも大きいのがあると知って行ってみた。</span></p>
<p><span class="strongInContent">でも場所もわからないし、もちろん当時はウェブサイトもないので駅前の観光案内所に『大きな秘宝館があるって聞いたんですけど』って聞いてみた。そうしたら、しらばっくれられたんです。でも結局、すぐそばの大きい商店街の入り口にあったんです。昔はこれでお客さんがいっぱい来ただろうし、商店街も潤ったはずなのにずいぶん冷たい扱いだなあ、と。</span></p>
<p><span class="strongInContent">実際に行ってみたら、やっぱりもうかなり寂れていて、お客も全然いなかった。館内もけっこうなダメージで、壁に穴が開いて、そこから鳩が出入りしたりしていて、ひどかったです。でも、そんなふうに蔑まれながらも、ひっそりと営業していたっていうのは、すごく面白かったですね」（都築氏、以下同）</span></p>
<div data-friday-nextpage-lead="新潟～福島の山中で偶然に発見"></div>
<p>観光施設でありながら、決して観光名所として地図に載ることのない秘宝館。グーグルマップもない当時は、場所を探し当てること自体がかなり困難だった。だからこそ国道を走っていてたまたま秘宝館の看板を見つけることが大きな喜びだったそうだ。</p>
<p><span class="strongInContent">「そこは偶然に見つけられたんです。高速を走っていて、新潟から福島側に山道を抜けようとしたら、大きな立て看板が出ていて、これは寄らざるを得ないみたいな感じで行ってみたら、すごく面白かった。</span></p>
<p><span class="strongInContent">もうプレハブ建築みたいな適当な建物に、出来合いのマネキンにいろんなものを着せて『スワッピング』とか、『４P』とかオヤジの安っぽい妄想のようなシーンを適当に作った秘宝館で、そういうのはやっぱり本当に手作りという感じで味わい深かったですね。秘宝館は大きいところもあるけど、小さいところもそれなりに面白いんです。下品ですけど、プロの手が入ってない手作りの面白さっていうのがありますね」</span></p>
<p>今や絶滅の危機に瀕している昭和のレガシーは秘宝館だけではない。<span class="strongInContent"><a href="https://friday.kodansha.co.jp/article/336814">【後編・気球、コーヒーカップ、…愛の色香にむせかえる桃色空間！失われゆく昭和の『ラブホテル』の世界】</a></span>もご覧いただきたい。</p>
<div data-friday-nextpage-lead="写真集『秘宝館』より"></div>
<figure id="attachment_336817" aria-describedby="caption-attachment-336817" style="width: 2476px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="6103df59"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/10/fb41f84d2d107b62c65a5d24be1bd7c8.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-336817" class="wp-caption-text">1980年、札幌・定山渓に開館した『北海道秘宝館』（&#8217;10年閉館）、謎の裸体のオブジェに囲まれた廊下　©都築響一</figcaption></figure>
<figure id="attachment_336820" aria-describedby="caption-attachment-336820" style="width: 2476px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="2ada1679"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/10/9287e8ab9bab2f3caf994363448a979e.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-336820" class="wp-caption-text">『北海道秘宝館』エデンの園を思わせる、動物と戯れる美女のオブジェ。同館は&#8217;12年に都築氏が訪れたときには、廃墟となってオブジェもそのまま打ち棄てられていたという　©都築響一</figcaption></figure>
<figure id="attachment_336828" aria-describedby="caption-attachment-336828" style="width: 2476px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="163538d0"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/10/24d47508e826ae022ba0f6a94b8a07d4.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-336828" class="wp-caption-text">都築氏が偶然に見つけたという『HIHOKAN夢』（閉館）の展示物。既製のマネキンを流用しているため、妙にシュールで味がある　©都築響一</figcaption></figure>
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<figure id="attachment_336823" aria-describedby="caption-attachment-336823" style="width: 2476px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="04d7ee69"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/10/304fc4306651873975403dc07881d3d9.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-336823" class="wp-caption-text">『元祖国際秘宝館』の外観。館内は急ぎ足で回っても2時間近くかかるほど広かったという　©都築響一</figcaption></figure>
<figure id="attachment_336824" aria-describedby="caption-attachment-336824" style="width: 2476px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="4298b373"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/10/6c23a5df84fd6983c862ac776d5044a7.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-336824" class="wp-caption-text">『元祖国際秘宝館』馬の交尾ショーも行われていた　©都築響一</figcaption></figure>
<figure id="attachment_336825" aria-describedby="caption-attachment-336825" style="width: 1238px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="61c1defb"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/10/4658a00502417aac19071ed3161a1176.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-336825" class="wp-caption-text">『元祖国際秘宝館』には「保健衛生コーナー」もあった。写真のオブジェでは母親の胎内で赤ちゃんが成長していく様子を解説　©都築響一</figcaption></figure>
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<figure id="attachment_336826" aria-describedby="caption-attachment-336826" style="width: 2476px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="c9b0ea24"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/10/d5532f19928fc90b1ad09bdc3f6538b3.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-336826" class="wp-caption-text">『元祖国際秘宝館』の分館ともいうべき鳥羽の『元祖国際秘宝館・SF未来館』（&#8217;00年閉館）の未来世界のストーリーを再現したオブジェ。現在一部が東京の大道芸術館に復元展示されている　©都築響一</figcaption></figure>
<figure id="attachment_336853" aria-describedby="caption-attachment-336853" style="width: 1238px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="f63d0cd4"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/10/26c535596c49a26640dce232af73a521.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-336853" class="wp-caption-text">『別府秘宝館』（’11年閉館）2階にはめくるめく愛のジオラマが展示　©都築響一</figcaption></figure>
<figure id="attachment_336829" aria-describedby="caption-attachment-336829" style="width: 1781px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="e8da1096"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/10/d70b090d73c6c523b45e49ede6581830.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-336829" class="wp-caption-text">都築響一『秘宝館』（青幻舎）</figcaption></figure>
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1989年から1992年にかけて、1980年 代の世界現代美術の動向を包括的に網羅した 全102巻の現代美術全集『アートランダム』を 刊行。以来、現代美術・建築・写真・デザインな どの分野で執筆活動、書籍編集を続けている。<br />
https://roadsiders.com/

都築響一

今ではもうほとんど失われてしまった昭和のレガシーである「秘宝館」や「ラブホテル」。’90年代からロードサイドの文化遺産とでもいうべきそれらを取材してきた都築響一氏が、その魅力を語る。

1周回ってアート空間！昭和のレガシー、エロとグロのアミューズメントパーク『秘宝館』とは

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