<h3><span class="strongInContent">仕事はなんとかできている。でも健康な状態ではない、心も幸せを感じていない…</span><span class="strongInContent"> </span></h3>
<p><span class="strongInContent">「昔は精神疾患というと重症の人ばかりでした。それに対して現代人のメンタル不調は、仕事はなんとかできている。でも健康な状態ではない、心も幸せを感じていないという人が多い。だるい、疲れやすい、気分が晴れないといった小さな不調が積み重なっているのです」</span><span class="strongInContent"> </span></p>
<p>と話すのは、メディカルストレスケア飯塚クリニック院長の飯塚浩医師。鳥取県米子市の小さな町にありながら、他県や遠方からも不調を抱えた多くの患者が来院するクリニックだ。</p>
<div data-friday-ad-slot="AD_inArticle"></div>
<p>メンタル不調の原因は複雑で個人差があり、環境や性格、考え方、生活習慣、睡眠など多岐にわたる。その中でもメンタル不調が起こりやすい人に共通しているのが、食生活の悪さだという。<span class="strongInContent"> </span></p>
<p><span class="strongInContent">「メンタル不調につながる食事の特徴はいくつかあり、代表的なのが血糖値を急変動させる食事です。炭水化物に偏った食事、甘い物や缶コーヒー、清涼飲料水がやめられない、食事を抜くといった食生活がこれにあたります。 </span></p>
<p><span class="strongInContent">血糖値が急激に上昇すると、すい臓からインスリンが分泌されます。その結果、血糖値が急激に低下することで今度は交感神経が優位になり、緊張感、不安感、恐怖感のすべてが強くなります。血糖値の急変動は、あらゆるメンタル疾患を悪化させると言っても良いでしょう」</span></p>
<p>ラーメンやうどんといった麺類、丼物などの単品の食事は、血糖値を急変動させやすい代表だ。タンパク質、脂質、炭水化物（糖質）の３大栄養素は含まれているものの、それらを燃焼させてエネルギーに変える栄養素が足りないと、体はエネルギー不足に陥り、心身の不調を引き起こす。</p>
<figure id="attachment_338269" aria-describedby="caption-attachment-338269" style="width: 2016px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="d5a41370"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/10/88b2c2a65f6b76e0cd1df775c34a7fe7.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-338269" class="wp-caption-text">写真は飯塚医師が食べている食事。血糖値を急変動させにくい食事を自らも実践している。生野菜と焼いた肉を組み合わせたサラダや、食物繊維豊富な副菜が食卓に並ぶ（PHOTO：飯塚浩医師提供）</figcaption></figure>
<p><span class="strongInContent">「糖質や脂質、タンパク質をエネルギーに変えるには、ビタミンやミネラルといった他の栄養素が必要です。例えば、ビタミンBが不足すると疲れやすくなり、鉄不足は疲れのほかイライラや集中力低下に。</span></p>
<p><span class="strongInContent">加工食品中心の生活は、そういったビタミンやミネラルの極端な不足をもたらします。可能な限り加工食品を避けて“丸ごと食（ホールフード）”で食品を取ることで、バランスの良い栄養摂取ができます」</span></p>
<div data-friday-ad-slot="AD_inArticle"></div>
<p>また、何を食べるかといった食事内容のほかに、食事の取り方もメンタルの健康に関わっている。</p>
<p><span class="strongInContent">「立ったままの早食いや、スマホを見ながら、仕事をしながらの“ながら食べ”は、交感神経を興奮させます。すると消化吸収がスムーズに行われず、胃腸の負担に。食べることは外部のものを内部に受け入れる行為。交感神経優位の戦闘モードでは、せっかくバランス良く栄養を取っても、うまく体が受け付けられないでしょう。楽しく落ち着いて食事をすることが、メンタル不調を遠ざける良い食事の取り方といえます」</span><span class="strongInContent"> </span></p>
<div data-friday-nextpage-lead="「なんとなく調子が悪い」は、心と体が発するSOS"></div>
<div class="expapp-yahoo-paragraph-break"></div>
<h3><span class="strongInContent">「なんとなく調子が悪い」は、心と体が発するSOS</span></h3>
<p>難治性うつ病や躁うつ病といった数多くの重症患者を診てきた飯塚医師は、メンタル疾患と栄養の関係に着目し、薬での治療のほか、生活習慣や食事改善のアドバイスも行ってきた。</p>
<p><span class="strongInContent">「血糖値の乱高下が原因で起こっている精神症状ならば、血糖値を急激に上げる食事を避けることが重要です。特にパンや麺、丼物などの早食いが最悪です。また甘いドリンクも危険。これらに気を付ければ、あっという間に症状が改善します。</span><span class="strongInContent"> </span></p>
<div data-friday-ad-slot="AD_inArticle"></div>
<p><span class="strongInContent">しかし血糖を糖質以外の栄養素から作る力が落ちてしまっている人は、炭水化物と交感神経の興奮で血糖値を保っているため、糖質を抑えすぎてしまうとかえって具合が悪くなります。このような人は雑穀米のようなゆっくり血糖値が上がる炭水化物を、時間をかけて食べること、さらに補食をうまく使うことで体調が良くなります。いずれにしても日々の食事が重要なのです」</span></p>
<p>メンタル疾患がある人に適切な薬を出せば、当然症状がラクになる。でもそれは、対処療法に過ぎないと話す。</p>
<p><span class="strongInContent">「メンタルに影響を及ぼした元凶は、食事や睡眠、生活習慣、ストレスなど、日々の生活の中にあります。だから食事を含めた生活そのものを立て直していかなければ、メンタル不調は根本的には改善しないのです」</span></p>
<figure id="attachment_338270" aria-describedby="caption-attachment-338270" style="width: 4032px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="44a624a0"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/10/cb53e1e6586e38ed389475b7305afb13.jpeg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-338270" class="wp-caption-text">加工食品を避け、野菜や魚を生もしくはシンプルに調理して食べている飯塚医師。写真はサーモンと鯛のカルパッチョ。食材を丸ごと食べることで、栄養価が高い状態で摂取できる</figcaption></figure>
<p>そして「現代人は“休むこと”が下手」と指摘する。メンタル不調はある日突然起こるものではなく、「なんとなく調子が悪い」という状態が数ヵ月から数年続いた結果、心や体に支障があらわれるのだ。<span class="strongInContent"> </span></p>
<p><span class="strongInContent">「メンタル不調がなぜ起こるかというと、ニュートラルに戻れない状態が続いたからなんです。決まった時間に食事を取り、適切に休憩を入れる。そして十分な睡眠で心身を休めることができれば、回復してニュートラルに戻るわけです。可能な限りこまめにニュートラルな状態に戻していると、その状態が当たり前になります。そうすると食事やお風呂、散歩、ちょっとした風景や草花などが味わえるようになります。その味わっている状態こそがリラックスです。</span><span class="strongInContent"> </span></p>
<p><span class="strongInContent">メンタル不調に至ってしまう人の多くは、これができない。『（人に何も言われないように）ちゃんとしなきゃいけない』と、いつもタスクや心配事に追い立てられていて、睡眠や休憩を削って働いたり、食事を抜いたりしているので、正常な状態からどんどん離れてしまうのです」 </span></p>
<div data-friday-ad-slot="AD_inArticle"></div>
<h3><span class="strongInContent">飯塚医師が「毎日食べているもの・口にしないもの」</span></h3>
<p>年間１万6000件もの診察を行う多忙な飯塚医師。心も体も疲れ知らずで元気に過ごすコツは、やはり食生活がベースになっているという。毎日どんな食事を取っているのだろうか。</p>
<p><span class="strongInContent">「ありがたいことに、朝ごはん、昼のお弁当、夕飯はすべて妻が用意してくれます。毎日食べる主食は、もち麦と雑穀を入れたごはん。もち麦や雑穀を入れることで、白ごはんよりも血糖値が上がりにくくなります。</span><span class="strongInContent"> </span></p>
<p><span class="strongInContent">量は茶わん半分で、多くても軽く１杯まで。大盛りを食べることはありません。そのほか、蒸したり炒めたりしてシンプルに味付けした野菜、肉や魚を焼いたものを食べることが多いですね」</span><span class="strongInContent"> </span></p>
<div data-friday-nextpage-lead="アルコールやカフェインは…"></div>
<p>&nbsp;</p>
<figure id="attachment_338271" aria-describedby="caption-attachment-338271" style="width: 4032px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="57e24710"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/10/1226d89a77736da909be167ac9a7066f.jpeg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-338271" class="wp-caption-text">サバの西京焼きと豚汁。ごはんは血糖値を急上昇させやすい白米ではなく、雑穀やもち麦を入れて炊いたものを毎日食べている</figcaption></figure>
<div class="expapp-yahoo-paragraph-break"></div>
<p>３食ともごはんと肉や魚、野菜を食べて栄養素をまんべんなく取れば、大盛りごはんを食べなくても満足感は高い。また、食材を無駄なく丸ごと食べることも心がけているという。</p>
<p><span class="strongInContent">「丸ごと食べることで一つの生命体に含まれる栄養素がすべて取れます。野菜は栄養が豊富な皮、茎、葉の部分を丸ごと調理します。食材は加工されるほど栄養素が減少するため、例えば精製された白米よりも玄米、ソーセージやウインナーよりも肉や魚そのものなど、栄養価が高い状態で食べるようにしています」</span></p>
<figure id="attachment_338272" aria-describedby="caption-attachment-338272" style="width: 2016px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="cafe3262"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/10/8180bed7e3d443b5b02b92a6d35471e4.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-338272" class="wp-caption-text">野菜はなるべく“地産地消”を心掛け、地元の無農薬野菜を購入している。肉や豆腐といったタンパク質は毎食欠かさない</figcaption></figure>
<p>反対に健康のために、意識的に口にしないものがある。メンタル不調を訴える多くの人が習慣的に取っているアルコールやカフェインだ。</p>
<p><span class="strongInContent">「アルコールは睡眠の質を低下させ、朝のだるさにつながります。メンタル疾患のある人は症状を悪化させてしまいます。カフェインは交感神経を興奮させて緊張感や不安感、恐怖感を上げることがわかっています。どちらも体を疲れさせるので、やめているわけではないですが、私はほとんど飲みません。 </span></p>
<div data-friday-ad-slot="AD_inArticle"></div>
<p><span class="strongInContent">また、腸内環境を悪化させる小麦も控えている食べ物のひとつ。だるさや皮膚のかゆみなどを訴える人が小麦をやめるとすぐに楽になることもよくあります。私は小麦粉のパンや麺を取らないようにしています。もし今、だるい、疲れやすい、気分がすっきりしないといった不調があるなら、まずは食生活を１ヵ月変えてみることをおすすめします。それでも体調が悪い場合は、迷わず医療機関を受診しましょう」</span></p>
<p>休む時間を持てない生活、慢性的な睡眠不足、人間関係によるストレスなど、メンタル不調を引き起こす要因は多い。心の負担を抱える人こそ、最強の食習慣を取り入れてメンタルを強化してみてはどうだろう。</p>
<figure id="attachment_338273" aria-describedby="caption-attachment-338273" style="width: 2656px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="fa74b050"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/10/4b9d381ce43a656eb55b4332040ef1a5.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-338273" class="wp-caption-text">「メンタル不調がなぜ起こるかというと、ニュートラルに戻れない状態が続いたからなんです」と飯塚医師。日々の食習慣が、50代とは思えない若々しさにつながっている</figcaption></figure>
<div data-friday-ad-slot="AD_inArticle"></div>
<p><span class="strongInContent">飯塚浩</span><span class="strongInContent">（いいづか・ひろし）</span>　メディカルストレスケア飯塚クリニック院長。精神科医、精神科専門医。一般的な精神科薬物療法にとどまらず、心理療法やオーソモレキュラー栄養療法、漢方、頭鍼治療などを用いて治療にあたる。食事指導や運動、生活習慣、マインドセットなどのアドバイスも行い、精神疾患で悩む多くの患者を改善に導く。著書に『小さな町の精神科の名医が教えるメンタルを強くする食習慣』（アチーブメント出版）。</p>


編集・ライター。1983年、山形県生まれ。10年間、健康情報誌の編集部で月刊誌・Webメディアの編集に携わったのちフリーランスに。現在はヘルスケア・医療分野などを中心に、医師や専門家の取材、企画、執筆を行う。

釼持陽子

飯塚浩先生提供

鳥取県米子市の小さな町にありながら、他県や遠方からも不調を抱えた多くの患者が来院するクリニックがある。メンタル不調が起こりやすい人に共通しているのが、食生活の悪さだという。

「メンタル不調」に効く食事習慣…地方都市の小さな町の精神科医に全国からの患者が殺到する訳

あなたへのオススメ