<h3><span class="strongInContent">岸田首相は「ライドシェア」の解禁検討を表明</span><span class="strongInContent"> </span></h3>
<p>岸田首相は、23日に招集された臨時国会の所信表明演説で、一般ドライバーが自家用車を使って有料で人を運ぶ「ライドシェア」の導入について検討を進める考えを表明した。政府は、地域や時間を限定した上で認める方向だという。<span class="strongInContent"> </span></p>
<p>一足先にライドシェアが当たり前になったアメリカでは、便利になった一方で、様々な問題も起こっている。一人で長距離利用するのを極力避けたり、乗った時に位置情報を家族やパートナーにシェアしたりしている。日頃、安全・安心に慣れきっている日本での導入はどうなるのか？　ロサンゼルス在住のライター廣田陽子が実体験とともに現地の実情をレポートする。</p>
<figure id="attachment_338501" aria-describedby="caption-attachment-338501" style="width: 3300px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="07797765"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/10/07c1d389b554b73926cf7811d23d78ff.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-338501" class="wp-caption-text">旗振り役の菅前首相（写真右）や河野規制改革相（同左）、そして、岸田首相…嫌な予感しかしない３人組だ（PHOTO：アフロ）</figcaption></figure>
<h3><span class="strongInContent">アメリカでは2015年にすでに一般化</span></h3>
<p>アメリカのライドシェアは、’14〜’15年急速に広まった。ライドシェアサービスを運営する最大手「Uber（ウーバー）」は、’15年に世界で&#8221;最も価値のあるスタートアップ企業&#8221;となり、評価額は当時で510億ドルと報道されたほど。</p>
<div data-friday-ad-slot="AD_inArticle"></div>
<p>現在、ロサンゼルスでライドシェアを運営するのは「Uber（ウーバー）」、「Lyft（リフト）」の２社。両方のアプリをスマートフォンにダウンロードしている人がほとんどで、利用時に、安さ・迎えの早さでどちらかを選ぶのが一般化している。</p>
<p>ロサンゼルスは、公共交通機関の便が非常に悪く、電車やバスは通っているものの、治安の悪さや、タイムスケジュールのずさんさから地元の人で利用する人は極めて少ない。そのため、ライドシェアが普及する前は自家用車かタクシーの２択しかなかった。タクシーはライドシェアの料金と比較すると、３〜４割ほど高く、迎車までかなり時間を要する、さらに電話で配車依頼をしてもキャンセルされることもあり、決して便利とは言い難いものだった。こういった背景を考えるとライドシェアが急速に普及したのは至極当然といえる。</p>
<figure id="attachment_338502" aria-describedby="caption-attachment-338502" style="width: 3037px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="94b45e00"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/10/e3aa90ff7fdd228020ee0462ad5fcddd.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-338502" class="wp-caption-text">日本でお馴染みの「GO」「DiDi」はタクシー配車アプリだが、「Uber」「Lyft」は、ドライバーと利用者をマッチングさせるアプリといったイメージ</figcaption></figure>
<p>ライドシェアは新たな雇用も生み出した。自家用車があれば、好きな時間に働くことができる。昼間仕事をしているが副収入が欲しい人や、子育てが忙しくフルタイムの仕事につくのが難しい人、学生などが、隙間時間に働けるようになった。</p>
<div data-friday-ad-slot="AD_inArticle"></div>
<p>また、筆者が実際に会ったドライバーの中には、「運転が好きだから」、「人と話すのが楽しい」といった理由でこの職業を選んでいる人も多い。そのため、タクシーと比較するとドライバーとの&#8221;距離感が近い&#8221;印象だ。乗車中にドライバーとカジュアルな会話を交わすことも多く、私がロサンゼルス空港からの帰路ライドシェアを利用した際は、ドライバーととても話がはずみ、最後はお互い爆笑しながら手を振って別れたという経験もある。こういった人との出会いを利点としてあげる人も多い。</p>
<div data-friday-nextpage-lead="「性的暴行」の報告は１年間で3824件"></div>
<div class="expapp-yahoo-paragraph-break"></div>
<h3><span class="strongInContent">ロサンゼルス国際空港には「ライドシェア」専用エリアもオープン</span></h3>
<p>ライドシェアの普及を受けて、ロサンゼルス国際空港では’19年、ライドシェアの専用エリア「LAX-it」をオープン。急速に普及した’15年頃は、自家用車にあたるライドシェアの車は空港内の発着ゲート両方に乗り入れができた。そのため、もともと混雑していた空港内の道路で大渋滞が頻発。現在では出発ゲート側のみ乗り入れ可となり、空港からライドシェアを利用する人は、空港内を循環しているシャトルバスに乗って、「LAX-it」まで行き車を呼ぶという方法になり空港内の混雑が緩和された。</p>
<div data-friday-ad-slot="AD_inArticle"></div>
<p>そのほか、スタジアムやコンサート会場など、人の混雑が予想される大きな施設では、スムーズな乗降を促すため「ライドシェア乗り場」が設定されている。</p>
<figure id="attachment_338503" aria-describedby="caption-attachment-338503" style="width: 6720px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="20f0030b"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/10/2ad3074c3a31f362aeefc9cafc4ef43d.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-338503" class="wp-caption-text">ライドシェアの専用エリア「LAX-it」</figcaption></figure>
<h3><span class="strongInContent">「性的暴行」の報告は１年間で3824件…ドライバーによる盗難などの事件も</span></h3>
<p>便利になった一方、誰でもドライバーになれるという手軽さから、乗客が犯罪に遭うケースもある。Uber、Lyftの両社は、ドライバー登録の際に「犯罪歴がないかなどのバックグラウンドチェックをしている」とはいっているが、実際にはさまざまな事件が起きている。</p>
<p>先日、乗客への性的暴行で起訴されたライドシェアのドライバーは、過去に強盗や住居侵入で逮捕されるなど、長い犯罪歴があることが発覚した。</p>
<p>民間の調査機関のFox 4 InvestigatesがUberの安全報告書を取り寄せている。’19年から’20年の間に、性的暴行の報告は3824件あった。これは、同報告が6000件近くあった’17年から’18年から、38%減少している。性的暴行の被害者の約43%が乗客。ただし、全体の99.9％の旅程は危険な問題がなく安全に終了しているという。</p>
<p>また、車に忘れたものをドライバーがそのまま盗んでしまうケースもある。ネット上には、「iPhoneを車内に忘れて、すぐ別のデバイスから電話したのに無視され続けた。最後の最後に『50ドルあげるから戻して』といったら返答があり、スマホが戻された」といったことも。</p>
<div data-friday-ad-slot="AD_inArticle"></div>
<p>ほかにも、CO2の削減を目指しUberとLyftは’30年までに電気自動車のみでサービスを提供するのを目標にあげているが、ライドシェアで利用する車は自家用車であるため、ドライバーの負担が非常に大きく、ドライバー不足につながることが懸念されている。</p>
<p>物価上昇に伴いドライバーが「会社側にとられるパーセンテージが大きすぎる」と賃金の安さに対する抗議も起こしている。さらに、政府がこういったドライバーにも福利厚生を与えるようにという動きもあるため、会社の負担が大きくなる。結果、両社の株価に大きな影響を与えていることが報道されている。</p>
<div data-friday-nextpage-lead="「マリファナ使用のドライバー」に遭遇…"></div>
<div class="expapp-yahoo-paragraph-break"></div>
<h3><span class="strongInContent">つい２週間前に「マリファナ使用のドライバー」に遭遇…</span><span class="strongInContent"> </span></h3>
<p>筆者自身、２週間前ライドシェアを利用した際、危険なドライバーに遭遇した。深夜１時頃、夫と友人宅から帰宅するために配車を依頼。しかし、配車完了の通知が来ているにもかかわらず、いつもより迎車に時間がかかった。やっときた車に乗り込むと、ドライバーはいきなり音楽のボリュームをアップし、質問してきた。</p>
<ul>
<li>ドライバー：「何か音楽の希望はある？」</li>
<li>私たち：「それより音楽のボリュームを下げてくれますか？ ベース音が響いていて」</li>
<li>ドライバー：「これで最小なんだよね」</li>
<li>私たち：「……」</li>
</ul>
<div data-friday-ad-slot="AD_inArticle"></div>
<p>車内は明らかにマリファナの匂いがし、ドライバーもボーッとしていた。すでに車は走り出しており、時間も遅かったためそのまま利用することにした。帰路は45分ほどであったが、その乗車中ずっと、後部座席の窓が揺れるほど大音量の音楽を聞かされるはめになった。運転は、スピードが遅いものの危険運転ではなかったのが不幸中の幸い。今現在、ライドシェアの会社側に苦情を伝え返金を求める手続きをしているところだ。</p>
<p>このように、乗ってから危険ドライバーと認識することもある。今回の場合、危険ドライバーと認識した時点で途中下車することも可能ではあったが、夜中に中途半端な道で降車するのもアメリカの場合また危険を伴うため、乗車し続けるという選択をした。</p>
<figure id="attachment_338504" aria-describedby="caption-attachment-338504" style="width: 5500px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="9ad2ecae"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/10/435924e3cea14e5f7284edca55d11d8f.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-338504" class="wp-caption-text">’23年１月５日、米国ニューヨーク市のUberオフィス前でストライキ中のUberドライバー</figcaption></figure>
<h3><span class="strongInContent">「安全は自己責任」…「ウトウトする」ことは&#8221;決して&#8221;しないのが常識！　</span></h3>
<p>&#8220;安全は自己責任&#8221;という意識が根付いているアメリカ。長距離のライドシェアを利用しても「ウトウトする」なんてことは&#8221;決して&#8221;しないのが常識だ。自分の身は自分で守るという意識が身についていても、危険なドライバーを完全に避けるのは難しいところ。個人のレベルでも、あらゆる状況で身を守る知識をつけておくのがベストだ。</p>
<div data-friday-ad-slot="AD_inArticle"></div>
<p>夜に一人で長い距離のライドシェアを利用するのは避けたり、一人で乗った際には位置情報を家族やパートナーにシェア。配車を自宅から依頼する時は少し離れた位置で待つ・自宅の前で降りない、家族構成や職場などの発言は避け「身バレ」しないように配慮している人も多い。</p>
<p>便利な一方、自分の身は自分で守る意識が必須となる。優良ドライバーでも路上で100%の安全は保証できない。安全・安心は当たり前だと思っている日本にライドシェアを普及させるためには、課題が残る。</p>


ロサンゼルス在住の編集ライター、ヘルスコーチ。雑誌編集者歴は20年以上。2015年に渡米し、日本で流行りそうなアメリカのヘルシーフード、エクササイズなどのトレンド記事を得意とする。

廣田陽子

岸田首相は、「ライドシェア」の導入について検討を進める考えを表明した。一足先にライドシェアが当たり前になったアメリカでは、便利になった一方で、様々な問題も起こっている。

性犯罪、盗難、薬物常用ドライバー…「ライドシェア」が当たり前になったアメリカで起こっていること

あなたへのオススメ