<figure id="attachment_339165" aria-describedby="caption-attachment-339165" style="width: 2500px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="90b17c9d"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/10/41e774901353fd21ae2f42031ef3bebd.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-339165" class="wp-caption-text">イスラエルによる砲撃を受け、騒然となるガザの難民キャンプ。血を流す女性を男性が抱きかかえて、安全な場所を探している</figcaption></figure>
<p>イスラエル軍によって、いったい何千発の砲弾が撃ち込まれただろうか。発射されたロケット弾により、パレスチナ自治区ガザ地区の難民キャンプはもはや跡形もなく、あたりにはガレキと廃墟・遺体しか見当たらない。</p>
<p>10月７日の戦闘開始以来、イスラエル軍によるガザへの報復攻撃が止む日はない。現地で取材・撮影に当たるパレスチナ人ジャーナリストのサメハ・アハメッド氏が、ガザの現状を明かす。</p>
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<p><span class="strongInContent">「戦闘開始から、一貫して住宅地が狙われているように思います。欧州地中海人権監視団によると、イスラエル軍によるガザへの大規模な攻撃が始まって以来、平均して毎日１００人の子供が亡くなっている。10月16日時点で、実に１０４６人のパレスチナの子供が命を失っているのです。生き延びている子たちも、深刻なケガや喪失感、トラウマに耐えています」</span></p>
<p>イスラエルとガザとの境界は、依然封鎖されたままだ。10月21日からは３日連続で、人道支援を目的としたトラックがエジプトとの境界にあるラファ検問所を通り、水・食料・医薬品を搬送したものの、住民たちの窮状に変わりはない。現代中東政治の専門家である慶應義塾大学法学部の錦田愛子教授が語る。</p>
<p><span class="strongInContent">「ガザでは今、電気が止まっているのですが、発電のための燃料はハマスに軍事利用されるのを懸念して送られませんでした。第１陣の支援物資は、500人が４日分過ごせる量しかなかったそうです。220万人もの人が暮らすガザでは、焼け石に水でしかありません。支援を行うＮＧＯはイスラエル側のカルニ検問所を開ける重要性を指摘していますが、今の情勢下では難しいと思います」</span></p>
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<div data-friday-nextpage-lead="ハマス側は住民へ「自宅待機を指示」"></div>
<p>実際に、命をつなぎとめるために必要な、最小限度の医療物資も底をつき始めている。前出のアハメッド氏が語る。</p>
<p><span class="strongInContent">「ガザ中部のアル・アクサ殉教者病院における医薬品と医療用品の在庫が10月19日に底をつきました。また、南部の病院でも院長が『医療物資の在庫がなくなり、人員も不足している』と明かしています。小児ＩＣＵに入っている１３０人の子供たちは早晩、亡くなってしまうでしょう」</span></p>
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<p>アハメッド氏によると、ガザの病院では遺体を入れる袋の在庫すら枯渇している。遺体は病院の中庭に積み上げられ、その周囲には遺族が集まり、ただ涙を流す悲しい光景が生まれているのだ。</p>
<p>住民らの不安が募るなか、イスラエルは再び「地上侵攻が近づいている」と予告。ガザの人々へ３度目となる退避勧告を行っている。</p>
<p>だが、住民たちの退避は一向に進まない。イスラエルが退避勧告を出しているのとは対照的に、ガザを実行支配するハマスが住民に自宅待機を指示しているからだ。前出の錦田教授は、これを攻撃に対する抗議活動の一環と解説する。</p>
<p><span class="strongInContent">「アラビア語でスムードといって、その場に居続けることで抵抗するという運動です。これはハマスが始めたものではなく、’60年代ごろからある考え方です。暮らしていた土地――いまのイスラエルから離れてしまったがために、戻れなくなってしまった歴史があるパレスチナ人特有の考えです」</span></p>
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<div data-friday-nextpage-lead="犠牲には目をつぶる"></div>
<h2>犠牲には目をつぶる</h2>
<p>ガザから避難する人々が出た際、最大の受け入れ先として議論されているのが、ガザと境界を接するエジプトだ。しかし、現時点では避難民の受け入れには決して積極的ではない。</p>
<p><span class="strongInContent">「政治的な火種を抱えたくないという意図が見えます。すでに各国でパレスチナへの連帯を示すデモが展開される中、パレスチナ人を受け入れるのは政情を不安定にさせる恐れがある。それに、イスラエルの地上侵攻が本当に始まると、戻る場所がなくなるまで徹底的にガザが破壊される恐れがあります。復旧までには時間がかかるので、いま入国を許すと彼らが今後何十年もエジプトに居ついてしまう可能性を危惧しているのです」（錦田教授）</span></p>
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<p>ガザに対してここまで執拗な攻撃が続いているのは、イスラエルの世論が「テロとの戦い」に傾いているからだ。そこには10月７日にハマスによる国内への侵入・襲撃を許した失態を挽回しようとするネタニヤフ政権の意図も見え隠れする。</p>
<p><span class="strongInContent">「例えるならば、9.11テロの後のアメリカと同じ″空気″を感じます。テロが起きた直後、アメリカが報復にアフガニスタンを攻撃したことを思い出す。ハマス側からすれば人質を材料にさまざまな取り引きを行いたいのでしょうが、イスラエル側にそれに応じる余裕はない。むしろ相手側を徹底的に叩く姿勢を見せて国民を納得させたいのでしょう。ハマスに捕らえられた220名の人質の救出は大事ですが、他方で『多少の犠牲は目をつぶらざるを得ない』という考えとの狭間で揺れ動いていると考えられます」（全国紙外信部記者）</span></p>
<p>ハマスは23日、24日と続けて人質を解放している。だが、最大の要求である燃料が運び込まれる気配はない。こうした交渉が続いている間にも、人工呼吸器が必要な重症患者や、保育器に入った新生児の命が危険にさらされている。</p>
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<p><span class="strongInContent">「もはやガザには学校や集合住宅、モスクすら残ってはいません。安全な場所などないのです」（前出・アハメッド氏）</span></p>
<p>逃げ場を無くしながらも、ガザにとどまるしかない人々は、いつ始まるかもわからぬ空爆の中、死の恐怖に耐える日々を送っている。子供たちに再び平穏が訪れる日は、いつになるのか――。</p>
<div data-friday-nextpage-lead="ガザ地区から届いた「絶望の光景」"></div>
<figure id="attachment_339164" aria-describedby="caption-attachment-339164" style="width: 2500px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="29dbc990"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/10/d4daf8d9fbc60a09cd92599dbf55403e.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-339164" class="wp-caption-text">遺体袋に入れられた犠牲者たちに司祭が祈りをささげる。遺体を包む袋の在庫すら底をつきかけているという</figcaption></figure>
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<figure id="attachment_339163" aria-describedby="caption-attachment-339163" style="width: 2500px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="82cb6663"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/10/325b2f0de688e5da90064eea37ed6d08.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-339163" class="wp-caption-text">ケガを負った子供が病院に運び込まれる。ガザの救急車のうち、５０台以上が空爆により破壊されたという報告も</figcaption></figure>
<figure id="attachment_339162" aria-describedby="caption-attachment-339162" style="width: 1907px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="888bc7f0"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/10/550d1de88a93592fd62e1a6ea61d1716.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-339162" class="wp-caption-text">イスラエル軍は一日に４００ヵ所近い場所を空爆しており、街中に遺体が転がる光景がガザの日常と化している</figcaption></figure>
<p>『FRIDAY』2023年11月10・17日号より</p>
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ユニフォトプレス　サメハ・アハメッド／ウエストイーストプロダクション

イスラエル軍によって、いったい何千発の砲弾が撃ち込まれただろう。ガザ地区の難民キャンプはもはや跡形もなく、あたりにはガレキと廃墟・遺体しか見当たらない。1000人もの子供が犠牲に…ガザの現状を明かす。

【フォトルポ「天井のない監獄｣】散乱する遺体、血を流す人々…ガザ地区から届いた｢絶望の光景」

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