加藤 久美子

<figure id="attachment_339634" aria-describedby="caption-attachment-339634" style="width: 1746px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="26923a3a"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/10/7f8c9743d5d9579522000e892a000042.png" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-339634" class="wp-caption-text">今夏に行われた国交省の取り調べに向かう和泉伸二社長。10月末で就任から３ヵ月を迎える中、難しい舵取りが続く</figcaption></figure>
9月に銀行団との2回目の話し合いを行ったビッグモーター。そこで10月末を目処にスポンサーを選定し、資金面の援助を受けることで、経営再建を目指すことを明らかにしていた。オリックスをはじめとした複数の企業が候補に上がっているとされるが、一部の店舗では早々に「スポンサーが決まった」ことを社員に伝えていたという。西日本の店舗に勤める20代の現役社員が明かす。
「上司からは『スポンサーは決まったから安心して働いてください。来年4月1日に社名変更も予定されています』と言われました。その日、会社を休んでいた従業員にはわざわざ電話を掛けて伝えていました。ただ、この話はすべての店舗で一斉に通達があったというわけではないみたいです。話があった店、全くなかった店、社名変更だけを伝えられた店など、どういう基準かわかりませんが、内容はバラバラだったようです。店によって違うのかもしれません。スポンサーとして固有名詞が出ていたのはオリックスだけでした」
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10月上旬にも新聞各社が「オリックスがスポンサー候補に浮上した」と報じたが、その後はっきりとした情報は出ないまま数週間が過ぎた。ビッグモーターが約束した10月末という期限が近づく中、筆者のもとにもスポンサー企業に関する情報が届き始めた。
「オリックスはまだ決定ではない」
「商社系という情報もある」
「外資系企業が興味を持っている」
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そして10月27日、筆者のもとに届いたのは「スポンサー企業が3社に絞られた」という情報だった。その中には確かにオリックスも入っていた。その3社とは、
１：オリックス
２：同業の大手中古車販売のA社
３：外資系通販会社のB社
である。他にも中古ゲームなどの買い取りを行う大手卸売会社や別の中古車販売会社などもあったというが、最終候補にはこの3社が選ばれた。
<div data-friday-nextpage-lead="「自動車関係以外なら…」ビッグモーター側の本音"></div>
<figure id="attachment_339635" aria-describedby="caption-attachment-339635" style="width: 1384px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="7042cec3"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/10/828dd87e5907325844b3efe4f0c7a821.png" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-339635" class="wp-caption-text">9月には金融庁の立ち入りも行われた。不正実態の解明へ、現在も調査が続く</figcaption></figure>
さまざまな候補が取り沙汰される新スポンサー。しかし、ビッグモーター関係者は「できれば自動車関係とは無縁の会社にお願いしたい」と希望しているという。
「似たような中古車販売店がスポンサーになることは好ましくありません。なぜならA社にはビッグモーターからの転職者が多数在籍しています。ビッグモーターで覚えた営業手法や修理の過剰請求を、転職先でもしている可能性もあるでしょう。営業、整備士ともコンプラ意識が低いともいわれています。結局、また同じことが起きてしまったら意味がありません。中古車業界でも自動車関連でもない企業がスポンサーになってくれる方がうまく行くんじゃないかと思っています」
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そういった背景もあり、A社に対してはビッグモーター自身が慎重な姿勢をとっている。そうなれば、残るはオリックスかB社となる。
オリックスは自動車関係、とくにカーリースでは最大手で、‘84年にスタートした個人向けカーリースは来年で40周年を迎える。節目となる年を前に、新生ビッグモーターとして事業拡大を目指していてもおかしくはない。
B社はアメリカを本社とし、世界各国に展開している外資系通販会社大手だ。中でも日本法人は、大手商社との合弁会社として設立されており、これまで報じられてきた「外資系」「商社」といった特徴とも合致する。B社が支援を行う目的はまだ明確ではないが、全国250箇所に展開するビッグモーターの店舗をたたんで通販会社の配送センターにするなどの狙いがあるのかもしれない。筆者が知る限り企業イメージもクリーンだ。ビッグモーターの失墜したイメージを刷新し、新たな扉を開くためには意外と良い選択になる可能性も秘めている。
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10月27日、ビッグモーターの和泉伸二社長（54）と石橋光国副社長（45）らは銀行団との3回目の協議を実施した。午後2時に始まった会議が終了したのは午後5時過ぎ。和泉社長と石橋副社長は疲れ切った表情で新型アルファードに乗り込むと、無言で会場を後にした。
約束の10月末まで時間はないが、事情を知る関係者は「今日の交渉では決まらないでしょうね。デロイトの算定が出ていませんから」と明かす。
「ビッグモーターは自己再建の道を進むつもりでいたようだが、銀行団によってデロイトトーマツがコンサルに入ってから、自己再建ではなくスポンサーの支援を受ける道を選ぶことになった。時間が掛かっているのは事実だが、それは国交省の行政処分や街路樹問題の賠償などがまだ完全に決定していないから。現状ではデロイトとしても算定ができない。各種の算定が終われば、一気にスポンサー選びが進んでいくことになるだろう」
なお、今月末で北本店（埼玉県）や平井店（愛媛県）、かほく店（石川県）などを含む複数の店舗が閉店すると言われている。また、指定工場の指定取り消しや事業停止（期間限定）など国交省による行政処分が本格的に影響し始めるのも間もなくとなるだろう。果たしてビッグモーターは、どの社を新たなパートナーに選ぶのだろうか。

加藤久美子

蓮尾慎司

ビッグモーターの再建に向けた動きが新局面を迎えた。鍵を握る支援元の企業が、実質的に2社に絞られたという。それぞれの会社が「新スポンサー」となった未来とは……。

実質2社に絞られた…10月末に迫るビッグモーターのスポンサー選定「最終候補」と「契約後の未来」

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