<figure id="attachment_343006" aria-describedby="caption-attachment-343006" style="width: 1820px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="47ccae12"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/11/cad1f351b54806d444d3b09fba18d512.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-343006" class="wp-caption-text">スカイレンジャー（1900万円） ’10年頃から試験的に導入され、現在、多くの部隊で使用中。人間では偵察が困難な複雑な地形、危険な箇所を担う</figcaption></figure>
<p>ウクライナ軍のドローンが塹壕（ざんごう）を逃げ惑うロシア兵を空から追跡。ある程度、数が集まったところで爆弾を投下して一網打尽にする――こんな映像が、衝撃をもってＳＮＳを駆け巡っている。</p>
<p>パレスチナでも、ハマスの数万円のドローンが10億円を超えるイスラエル軍の戦車を破壊する場面が散見されるなど、もはや近代戦はドローンがなくては成り立たない。戦場の″ゲームチェンジャー″となったドローンの戦果と、費用対効果の高さを目の当たりにした防衛省はようやく、本格配備へ舵を切った。</p>
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<p>陸海空で最も早くドローンを導入したのが陸上自衛隊だ。’80年代に富士重工（現ＳＵＢＡＲＵ）と開発に着手し、’02年には遠隔操縦観測システムＦＦＯＳの量産化に漕ぎつけている。</p>
<p>当初は30㎞先まで飛んでいく野砲（大砲）の着弾の様子を確認するのが目的だった。これを無人偵察機として改造したのが無人偵察機システムＦＦＲＳで、’07年に配備が開始されたが、同機の飛行には機体運搬車、統制装置、レーダー装置一式と、かなりの車両や装備が必要になるというデメリットがあった。</p>
<p>そこで陸自は民生品のドローンや諸外国軍のドローンの研究に注力。ヤマハの農薬散布用農業用ドローンを無人偵察機として使用し、プロペラで飛行する民生品ドローンの発展型「スカイレンジャー」を’18年から配備した。これらは低空専用で飛行時間も数十分。継続した長時間の偵察行動を行うため、翌’19年に中空域用無人偵察機「スキャンイーグル２」の配備を始めた。</p>
<p>開発したのは米ボーイング・インシツ社。全長1.7ｍ、翼幅3.1ｍと成人男性ほどの大きさのボディにエンジン、尾部にプロペラを持つ。戦闘機は１時間飛ぶのがやっとだが、「スキャンイーグル２」は18時間連続飛行が可能。最大速度は時速約150㎞で最大高度は約6000ｍ。機首に高画質カメラを備える。</p>
<figure id="attachment_343007" aria-describedby="caption-attachment-343007" style="width: 2500px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="726deec4"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/11/95241bc22bb42f4dd10f0e19fa3ca378.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-343007" class="wp-caption-text">スキャンイーグル２（２億円） 日本全国で５部隊が運用中。カタパルトから打ち出して、主翼にあるフックにケーブルを引っかけて回収する</figcaption></figure>
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<div data-friday-nextpage-lead="偵察衛星なみの能力"></div>
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<h2>偵察衛星なみの能力</h2>
<p>今年１月23日、航空自衛隊の三沢基地（青森）に新編された「偵察航空隊」に「ＲＱ-４Ｂグローバルホーク」が配備された。米ノースロップ・グラマン社が製造している全長14.５ｍ、翼幅約40ｍの大型ドローンで、36時間連続飛行が可能。米軍が’04年から運用を始め、イラク戦争にも投入されており、その能力は偵察衛星なみと言っていい。</p>
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<p>たとえば――台湾有事が発生との一報を受けて三沢から東シナ海へ飛んだ「グローバルホーク」は、1万8000ｍの高高度から中国艦隊および爆撃機等の編隊を俯瞰（ふかん）する形でキャッチ。機首部分の巨大アンテナ、機内及び機体下面の各種レーダーやセンサー等で微弱な電波をとらえ、軍艦や爆撃機の数、速度、通信の内容までを、総理官邸および防衛省とリアルタイムで共有することができるのだ。</p>
<p>海上自衛隊も今年から偵察用ドローンを導入した。まだ試験的運用だが、５月９日から八戸基地（青森）を拠点として、「ＭＱ-９Ｂシーガーディアン」を配備している。米ＧＡ社が開発し、米空軍が運用している攻撃型無人機「ＭＱ-９リーパー」をベースとしたドローンで、翼幅24ｍとかなり長い翼を有している。胴体も約12ｍと長く、かつ細長い。</p>
<p>機首下部に搭載された可視赤外線カメラは、富士山の高さからでも地上を走る車の車種を特定することが可能だという。胴体の下にある大きなふくらみには海洋監視用レーダーが搭載されている。</p>
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<div data-friday-nextpage-lead="任務のアウトソーシング"></div>
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<p>偵察能力のみならず、「シーガーディアン」はその運用方法にも特徴がある。</p>
<p>運航は海自の指示を受けたＧＡ社が担当する。パトロールが主任務で攻撃等の行動を伴わないため、″任務のアウトソーシング″が可能になる、というわけだ。少子高齢化に伴い、各部隊の維持が難しくなっていくなかで、″任務のアウトソーシング″は防衛省が抱える重要課題だ。</p>
<p>現在、Ｐ-１及びＰ-３Ｃ哨戒機が担っている警戒監視の一部を、海自は将来的にドローンに任せる腹積もりだ。</p>
<p>自衛隊では陸海空とも、偵察用の各種ドローンがようやく揃いつつある状況だが、今後はさらに踏み込み、攻撃型ドローンの配備も進めると見られている。</p>
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<p>たとえば、陸自には機関砲やミサイルを搭載したＡＨ-１ＳやＡＨ-64Ｄといった戦闘ヘリが配備されているが、近い将来、全廃する方針であることを政府は昨年12月に閣議決定した「安保三文書」で明らかにした。戦闘ヘリの後継者として期待されているのがドローンなのだ。</p>
<p>防衛省は配備計画の詳細を明らかにしていないが、「パイロット不足、航空機不足を解決し、かつ確実にピンポイントで敵を殲滅（せんめつ）できる攻撃型ドローンにはメリットしか見当たらない」というのが現場の声だ。日本の国防はロボット――無人機に託されることとなりそうだ。</p>
<figure id="attachment_343002" aria-describedby="caption-attachment-343002" style="width: 2500px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="915c332a"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/11/16f6a63def48b15c05eeddaeb134700e.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-343002" class="wp-caption-text">RQ-4Bグローバルホーク（150億円） ’16年ごろに配備が検討され、’18年にアメリカと契約締結。３機の購入が決まり、’22年に最初の１機が引き渡された</figcaption></figure>
<figure id="attachment_343003" aria-describedby="caption-attachment-343003" style="width: 2500px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="ecd1537a"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/11/97be67f2b3b9539af42940dd73061dd5.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-343003" class="wp-caption-text">今年１月23日、三沢基地で執り行われた「偵察航空隊」編成完結記念式典での一コマ。空自初のドローン偵察部隊だ</figcaption></figure>
<figure id="attachment_343004" aria-describedby="caption-attachment-343004" style="width: 2500px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="90c143a3"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/11/308f94ddc2be2f68d9bd4b6e0626046b.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-343004" class="wp-caption-text">ＭＱ-９Ｂシーガーディアン（40億円※現在はリースで運用中） 民間企業と協力して運用し、集めたデータは海自が分析する。’24年９月までに2000時間の運行試験を行う予定だ</figcaption></figure>
<figure id="attachment_343005" aria-describedby="caption-attachment-343005" style="width: 2500px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="550cbcd9"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/11/694f46254a7f61a0db61d4ac18b35fb1.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-343005" class="wp-caption-text">地上管制ステーションGCSにあるシーガーディアン操縦席。GA社スタッフが座り、海自の指揮で遠隔操縦を行う</figcaption></figure>
<p>『FRIDAY』2023年11月24日号より</p>
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菊池雅之

防衛省はようやく、ドローンの本格配備へ舵を切った。偵察用の各種ドローンがようやく揃いつつある状況だが、今後はさらに踏み込み、攻撃型ドローンの配備も進めると見られている。

「メリットしか見当たらない」戦場の”ゲームチェンジャー” 最新「自衛隊ドローン」の性能と実力

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