<figure id="attachment_345187" aria-describedby="caption-attachment-345187" style="width: 1000px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="d0275ae1"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/11/6bfd26491a49c7efb8c688f15c1a80af.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-345187" class="wp-caption-text">2次予選最初のアウェーゲームとなったシリア戦。久保建英が先制ゴールを決めたが、このシーンがリアルタイムで日本で放送されることはなかった。</figcaption></figure>
<p>サッカー森保ジャパンが向かうところ敵なしの絶好調だ。過去５戦勝ちなしの地・サウジアラビアで行われた11月21日のW杯アジア２次予選・シリア戦も怒涛の攻撃力を見せて５−０で圧勝した。</p>
<p>この試合では放映権を盾にしてシリア協会側が１億円以上の放映権料を提示。日本サッカー協会（JFA）の田嶋幸三会長（66）は日本でのキックオフ時間が日本時間21日午後11時45分の夜中とあって「何億も出せ！と言われても出せない」と固辞。’98年、日本がW杯初出場を果たしたフランス大会のアジア予選以降、初となるテレビの生放送、国内向けの有料動画配信もない前代未聞の異常事態となった。いったい何が起きているのか。</p>
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<h3>「3000万円でも高いぐらい……」</h3>
<p>代表史上最長となる８連勝と、森保ジャパンの強さは本物だ。本来なら笑いが止まらないはずだが、田嶋会長はここのところ不機嫌の日々が続いている。シリア戦ではテレビ放送はもちろん生配信もなし。ライブ放送の全滅がその理由だ。</p>
<p>田嶋会長は<span class="strongInContent">「（W杯２次予選の）放映権で儲けようとしている。私が聞いているところではどんどん（シリア協会側が）釣り上げようとしていたのは事実。（放映権の）相場が崩れるのはいいとは思わない。適正な価格というものがある」</span>と再三、主張していた。ではシリア協会側が提示した１億円以上というのは実際はいくらぐらいなのだろうか。民放局サッカー担当ディレクターはこう明かす。</p>
<p><span class="strongInContent">「シリア側が言ってきたのは、前回（’22年６月）、ブラジル代表が日本に来て、（日本）代表と試合をしたときについた放映権料に</span><span class="strongInContent">匹敵します。これはありえない金額です。シリア側の主張の半額以下、3000万円台でも高いくらいです」</span></p>
<p>関係者の話では、ブラジル戦の放映権料は推定２億円。一方、今回のシリア戦の放映権料は、日本のテレビ局サイドは3000万円台以下と考えていた。双方の希望額の開きがあまりにも大きかった。</p>
<p>日本がW杯初出場を果たした’98年フランス大会のアジア予選以降、たとえ深夜でもサッカー代表戦のテレビ生中継は常で、日本サッカーの人気を支え続けてきた必須アイテムのひとつだった。</p>
<p>「常識外の金額の“放映権”を払う必要はない」という声もある一方、前出のディレクターはこう明かす。</p>
<p><span class="strongInContent">「昨年のW杯でドイツやスペインを倒して以降、森保ジャパンのテレビ視聴率は確実に高値で安定しています。国民の皆さんが見たいと思っている証です。現状、森保ジャパンを放送したくないテレビ局はありませんから。JFAが放映権料の交渉さえまとめてくれれば、シリア戦であってもどの局も放送したかったと思います」</span>と、放送できるスタンバイをしていたにもかかわらず、できなかった悔しさを滲み出していた。</p>
<p>シリア戦のテレビ放送がなかったことについて、選手を代表して久保建英（レアル・ソシエダード）が<span class="strongInContent">「お互いの国対国が優しさみたいなものを出してくれたら、日本の皆さんも試合を見られてハッピーだった。日本の代表戦が、当たり前に地上波でやってほしいという思いはある</span>」と代弁する異例の事態に発展した。</p>
<p>サッカーW杯の場合、放映権は通常、各国の協会がもっている。今、日本が戦っているアジア２次予選も各協会がホームの場合、放映権を持ち、その価格は各協会が自由に決められる。ただアジアは他の５大陸と違って、最終予選に進出すると、アジアサッカー連盟（AFC）が「アジアサッカーの共存共栄」という理由を訴えて一括して所有。各協会に任されるはずの放映権料をなぜかAFCが決めている。放映権で儲けようという狙いが透けて見える。</p>
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<div data-friday-nextpage-lead="試合前日会見で突然、姿を見せた「ある人物」"></div>
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<figure id="attachment_345188" aria-describedby="caption-attachment-345188" style="width: 1024px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="ff7687c5"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/11/7489a807b1e10f830d71430b3d4204fa.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-345188" class="wp-caption-text">シリア戦前日の11月20日、記者会見にのぞむ森保一監督。この公式会見の場にPRO社の最高経営責任（CEO）と名乗る人物が突然、現れて今回の放映権料問題についてシリア側の主張を訴えたという</figcaption></figure>
<p>サッカーの放映権料はどんどん巨額になっており、少しでも金銭面で潤わせたい各協会は、その「価格交渉」の力量を問われている。日本に限らず、どの協会もその交渉は契約している代理店が実質行っており、日本は電通、内戦下にあるシリアはサッカー協会が実質、機能していないため、対外的な交渉はアラブ首長国連邦（UAE）の「PRO」という代理店に依頼している。</p>
<p>シリア戦の前日の11月20日の公式会見で、このPRO社の最高経営責任（CEO）と名乗る人物（ユセフ氏）が突然、会見場に現れて、今回の放映権料問題についてこんな趣旨の発言をした。</p>
<p><span class="strongInContent">「’18年ロシア大会のアジア予選（シリア対日本）よりも30～40％ほど価格を下げた」</span></p>
<p>つまり、交渉が破談になった責任はJFA側にある、と主張した。実際に、放映権交渉をしていたのは今回も電通だ。</p>
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<p><span class="strongInContent">「’23年３月に行われた今回のスポンサーの契約更改でJFAは電通と2030年までの８年間、パートナーシップ契約を結びました。第２次森保ジャパンの国内戦も電通主導で行っています。</span></p>
<p><span class="strongInContent">これまでは大きな国際大会も電通の主導で放映権料の交渉がまとまってきましたが、今は違います。昨年のW杯カタール大会でも当初はテレビ局だけで契約しようとしていた放映権交渉が結局、値段が下がらずまとまらなかった。最後のチャンスとして電通がインターネットテレビサービスのABEMAさんに打診して、なんとかW杯の本大会を生中継することができた」（JFA担当記者）</span></p>
<p>JFAの飛躍的発展には電通の支えがあったことはまぎれもない事実。だがその一方で、電通が東京五輪の金銭スキャンダルに関わっていたことが報道されてからはその影響力は以前ほどではなくなった。昨年のW杯に続き、JFAの放映権料交渉についてはパワーを発揮できていない状況が続いているのだ。</p>
<p>W杯アジア予選はAFCが主催する。田嶋会長はAFC理事でもあり、またAFCを代表して、国際サッカー連盟（FIFA）理事も兼務している。</p>
<p>その田嶋会長は他の大陸にならう形で<span class="strongInContent">「最終予選の放映権料などは自国の協会が自由にできる権利を与えてほしい」</span>と何度も AFCの会合で主張してきたが、<span class="strongInContent">「日本だけが儲けようとしている。それは違う」</span>と返答され、田嶋会長の主張は突っぱねられ、並行線の状態が続いている。</p>
<p>今後もJFAが代理店のアシストで発展してきた手法をアジア各国が〝完全コピー〟して、敵国での試合では、高額な放映権料を要求されることが予想される。したがって、アウェーでW杯出場が決まる試合を放送できない、という可能性も十分ある。頼り切ってきた電通に以前ほどの神通力がない今、JFAは大きな転機を迎えている。</p>
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時事通信（１枚目）、共同通信（２枚目）

サッカーW杯アジア２次予選で日本代表はシリアに5-0と圧勝。代表史上最長となる８連勝を飾ってもリアルタイムで地上波や日本の会社が運営するインターネットで見られなかった。いったい、何が起きているのか。

シリア戦の放映権料は推定2億円？歴代最強・森保ジャパンが「テレビ生中継なし」史上初の屈辱の舞台裏

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