<figure id="attachment_348063" aria-describedby="caption-attachment-348063" style="width: 2500px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="eaaf45ed"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/12/5ec6fe4bb7720b7ac5577c3955c19beb.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-348063" class="wp-caption-text">本気かどうか不明だが、銃規制緩和や臓器売買の合法化にも賛成のミレイ氏。愛犬に政策を相談しているとの噂も</figcaption></figure>
「自由万歳、クソッタレ！」
11月19日に行われたアルゼンチン大統領選挙決選投票で、ボサボサの髪とワイルドなもみあげがトレードマークの″経済学者″は、国民を前にこう絶叫した。
男の名は、ハビエル・ミレイ（53）。今年８月まで世論調査で第３位だった彼が、逆転勝利でアルゼンチンの次期大統領の座を掴みとった。
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「『無政府資本主義者』を自称し、その過激な言動から『アルゼンチンのトランプ』と呼ばれる人物です。’21年に下院議員になったばかりで、自身が率いる議員グループ『自由前進』を立ち上げたのも２年前。
それにもかかわらず、アルゼンチン国内24州のうち21州で勝利を収めることができたのは、『特権を持った政治家が、庶民の富を盗んでいる』という彼の指摘に、多くの国民が共感したからでしょう。国内に根付いた『ペロン主義』に限界が来たのです」（経済評論家の朝香豊氏）
ペロン主義とは、’46年に大統領に就任したフアン・ペロン氏が掲げた弱者救済・反グローバリズム路線を踏襲する考え方のこと。アルゼンチン政府はこれまで、労働組合の保護や外国企業の国有化、貿易の国家統制、公共料金や生活必需品への補助金支給などを積極的に行い、労働者層からの支持を集めていた。
「現政府下では、国家財政の４割以上を社会保障に、１割が企業への補助金に費やされている。にもかかわらず、貧困ライン以下の生活をしている人々が40％を超えているのです。現状に不満を持った国民がミレイ氏の過激な主張に賛同するのも頷けます」（朝香氏）
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朝香氏の言うように、ミレイ氏は大統領選の間、一貫して″過激発言″を繰り返してきた。年率140％という異常なインフレ状態を解決するため、「アルゼンチン・ペソを刷り続けるからインフレが進む。ペソを廃止して国内通貨を全て米ドルにすればよい」と主張。出演したテレビ番組では「中央銀行など廃止してしまえ！」と、アルゼンチン中央銀行の模型を文字通りハンマーで破壊するパフォーマンスまで行った。その矛先は外交にも向けられている。
「現政権は左派で親中路線でしたが、ドナルド・トランプ氏（77）を信奉していると言って憚（はばか）らないミレイ氏は完全な親米路線。大統領選勝利が確定した後、真っ先に渡米。11月29日に帰国したばかりです」（現地で物流会社を営むアルゼンチン在住歴30年の田中徹也氏）
アルゼンチンの経済政策を根本からひっくり返し、「中国と仲良くするのは暗殺者と手を組むのと同じ！」と脱中国を宣言。大統領就任後はより苛烈な行動に出て、スクラップアンドビルドを実現してくれる。そう思われていたが――。
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「当選が決まって以降、かなり現実路線に移行しているんです。あれだけ毛嫌いしていた中国の習近平国家主席（70）から祝辞を受けるや、謝辞を送り、中国国民に対して『よろしく』とＳＮＳ上でコメントした。
ミレイ氏の掲げる経済政策も、大きく修正されるでしょう。そもそもアルゼンチン・ペソを廃止するには、国が全てペソを買い取ってドルと交換しなければならず、約400億ドルを用意する必要がある。そんな大金は今の政府にはありません。現実的な改革を積み上げて、影響力を強めるのではないか」（前出・朝香氏）
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１９３０年代まで世界第５位の経済大国だったアルゼンチンは、その栄華を取り戻すポテンシャルを持っている。ＥＶ用電池などで需要が拡大しているリチウムの埋蔵量は世界３位、シェールガスの埋蔵量も世界有数のエネルギー大国だ。
「現地でビジネスをやっている立場からすれば、ミレイ氏が大統領に決まってよかったと思います。『ミレイが勝たなかったら撤退する』と話していた日本企業もあるくらいです。政府や中央銀行の規制によって滞っていた外資系企業の誘致や外貨獲得を進め、国際的な競争力をつけるための投資もケチらないとミレイ氏は話している。実現できるかどうかは別ですが……」（前出・田中氏）
″アルゼンチンのトランプ″は自国を「再び偉大に」できるのか⁉
<figure id="attachment_348064" aria-describedby="caption-attachment-348064" style="width: 2500px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="822a7037"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/12/24ba28b98f11b9dab4c781bd9138e729.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-348064" class="wp-caption-text">大統領選決選投票での勝利後に公衆の面前でガールフレンドとキスしてみせた。こうしたパフォーマンスも若者人気の秘訣なのか</figcaption></figure>
<figure id="attachment_348065" aria-describedby="caption-attachment-348065" style="width: 2500px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="5067b5fb"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/12/5600bf20aaf9e9258e5209e4f064d167.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-348065" class="wp-caption-text">ペソの廃止を訴えるため、自分の顔を大きく中央に据えた100ドル札を支持者とともに作製。大勢の支持者の前で掲げて見せた</figcaption></figure>
<figure id="attachment_348066" aria-describedby="caption-attachment-348066" style="width: 2500px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="03ca0269"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/12/7ff28ef93e75c534f639d6239201144b.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-348066" class="wp-caption-text">「お前はヒトラーだ！」との批判に腹を立て、ユダヤ教の祭司と歩く姿を公開。いたく感銘を受け、カトリックからの改宗も示唆した</figcaption></figure>
『FRIDAY』2023年12月22日号より
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アフロ

11月にアルゼンチン大統領選挙が行われ、8月の世論調査で3位だったハビエル･ミレイが逆転勝利で次期大統領の座に。過激発言から"アルゼンチンのトランプ"と呼ばれた彼は、自国を再び偉大にできるのか…

「中央銀行など廃止しろ」”アルゼンチンのトランプ”ハビエル･ミレイ新大統領は自国を偉大にできるか

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