<h3><span class="strongInContent">今年の漢字「税」に相応しい？　最後は、自民党幹部の「脱税」疑惑で終わる１年に…</span></h3>
<p>京都・清水寺の森清範貫主の揮毫は、年末の風物詩だ。今年の漢字に選ばれたのは「<span class="strongInContent">税</span>」。「税」選出に貢献したのは、岸田文雄首相。増税と言ったり、減税と言ったり。最後はまさかの自民党幹部の脱税疑惑。支持率は最低となっている。</p>
<p>政府・与党の’24年度税制改正大綱には、財源確保の期限が決まっている防衛増税ですら道筋を示さなかった。</p>
<p>宮沢洋一税制調査会長は記者会見で、「残念ながら、昨今の政治状況はかなり自民党にとって厳しく、今年は決定しないことになった」と述べた。</p>
<div data-friday-ad-slot="AD_inArticle"></div>
<p>岸田首相の意向を酌んでだろうが、北朝鮮、台湾有事、サイバー戦への対応など、国防の重要性は増すばかり。評判を気にすることなく、必要なことには本気で取り組んでほしいと思うがどうだろう。</p>
<p><span class="strongInContent">個人所得課税の見直しについては、今後も検討していくとし、具体的な増税は先送りされた。が、ホッとしている場合ではない。’24年以降スタートの「ステルス増税」がいくつもある。整理しておこう。</span></p>
<figure id="attachment_350508" aria-describedby="caption-attachment-350508" style="width: 1024px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="793bf713"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/12/f0b875f7cb4d935f8ed92e0801d6b7f2.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-350508" class="wp-caption-text">今年の漢字は「税」。選出に貢献したのは、この人！（PHOTO:共同通信）</figcaption></figure>
<h3><span class="strongInContent">税制改正大綱を「増税色封印」だけど…表からは見えない・わかりにくい「ステルス増税」</span></h3>
<p>ステルス増税に定義があるわけではない。増税とは表現していないが負担増となっていたり、表からは見えないけれど増税になっていたり、話題に上らないが明らかに増税のものもある。国民として知ることが大切だ。とは言え、とてもわかりにくい。</p>
<div data-friday-ad-slot="AD_inArticle"></div>
<h3><span class="strongInContent">１＿「インボイス制度」初の確定申告</span><span class="strongInContent"> </span></h3>
<p>’23年10月１日から始まったインボイス制度が、初の確定申告期を迎える。</p>
<p>インボイス制度では、免税事業者や消費者など、インボイス発行事業者以外の者から行った課税仕入れは、原則として仕入税額控除を行うことができない。となると、取引先の個人事業主や法人に対し、インボイスへの登録圧力がかかりがち。</p>
<p>インボイス発行事業者となるためには、登録を受ける必要があり、課税事業者でなければ登録を受けることはできない。</p>
<p>これまで売上高が1000万円以下で免税事業者であった個人事業者や法人も、インボイスの登録を行うと課税事業者だ。そして、発注者側は仕入税額控除が可能となる。</p>
<p>が、新たにインボイス発行事業者となった元免税業者は、基準期間の課税売上高が1000万円以下となっても、登録の効力が失われない限り、消費税の申告が必要となる。</p>
<p>免税事業者だった者にとっては、売上に消費税分の上乗せがないと、納税する消費税分だけ、手元のお金が減る。</p>
<div data-friday-nextpage-lead="国民年金保険料の「納付期間５年延長」"></div>
<div class="expapp-yahoo-paragraph-break"></div>
<h3><span class="strongInContent">２＿「復興特別所得税」の期間延長</span></h3>
<p>前回’23年度の税制改正大綱に盛り込まれたのが、復興特別所得税の課税期間の延長だ。</p>
<p>復興特別所得税とは、所得税額に対する付加税で、’13年から’37年までの各年分の基準所得税額の2.1％を所得税と併せて申告・納付するもの。東日本大震災からの復興を全国民で支える大切な財源。</p>
<p>大綱では、復興特別所得税の税率を2.1%から1.1%に下げる一方、課税期間を延長。税率を下げた分は、当分の間、防衛力強化のための税に充当すると言う。</p>
<p><span class="strongInContent">所得税に対する上乗せは2.1%のままとなるが、期間延長の分だけ増税となる。</span></p>
<p>延長期間は、復興事業の着実な実施に影響を与えないよう、復興財源の総額を確実に確保するために必要な長さとされており、14年程度で検討される。</p>
<div data-friday-ad-slot="AD_inArticle"></div>
<h3><span class="strongInContent">３＿「森林環境税及び森林環境譲与税」</span></h3>
<p>’24年度から、国内に住所を有する個人に対して森林環境税が課される。<span class="strongInContent">個人住民税均等割と併せて一人年額1000円</span>。税収は、全額が森林環境譲与税として都道府県・市区町村へ譲与される。</p>
<h3><span class="strongInContent">４＿国民年金保険料の「納付期間５年延長」検討中</span></h3>
<p>’24年は、５年に一度の公的年金制度の財政検証の年。翌’25年の年金法改正に向けて、社会保障審議会の各部会で審議が続く。</p>
<p>国民年金の保険料納付期間を現行の40年から45年に延長する点については、賛成多数。<span class="strongInContent">60歳までの納付が65歳までになるイメージだ。</span>高齢期の就業率の上昇を考えると、さもありなん。</p>
<p>個人負担は増額。同時に、２分の１を賄う国庫負担も増額となる。課題は、財源確保だ。</p>
<p>部会では、税制である公的年金等控除を縮小して高所得者に所得税等を新たに課し、これを国庫負担増加分の財源に充てるなどの意見も出たという。</p>
<p>年金制度と税制は、総合的にバランスをとることが求められる。財政検証に注目したい。</p>
<div data-friday-ad-slot="AD_inArticle"></div>
<figure id="attachment_350509" aria-describedby="caption-attachment-350509" style="width: 640px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="938f10f3"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/12/d9ecb714cb91d323ed938246979671f9.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-350509" class="wp-caption-text">国民年金の保険料納付期間を現行の40年から45年に…’25年の年金法改正に向けて、社会保障審議会の各部会で審議が続く</figcaption></figure>
<h3><span class="strongInContent">５＿2024年１月１日より「生前贈与」の制度変更</span><span class="strongInContent"> </span></h3>
<p>贈与税の課税方法には、「暦年課税」と「相続時精算課税」の２つがあり、贈与を受けた人（受贈者）は贈与者ごとに課税方法が選択できる。両者とも’23年度に大きな税制改正があり、’24年１月１日から施行される。<span class="strongInContent">増税となるのは、暦年課税。</span></p>
<p>暦年課税では、相続税を計算する際、相続開始前の一定期間に被相続人から贈与により取得した財産を贈与時の価額で相続財産に加算する仕組みがある。この一定期間が、３年以内から７年以内に拡大されたのだ。</p>
<p>なお、延長される４年間の贈与財産の総額のうち、100万円までは加算対象外となる。一方の相続時精算課税制度は、これまでなかった基礎控除110万円が創設される。こちらは使い勝手が良くなると言える。</p>
<div data-friday-nextpage-lead="「タワマン課税」は…"></div>
<div class="expapp-yahoo-paragraph-break"></div>
<h3><span class="strongInContent">６＿相続等により取得した「マンションの評価方法の変更」</span></h3>
<p>「タワマン課税」で話題となった分譲マンションの相続評価。</p>
<p>’24年１月１日以後に相続、遺贈又は贈与により取得したマンションより、新しい評価方法となる。</p>
<p>昨年’23年度の税制改正大綱では、「マンションの相続税評価について」として、市場での売買価格と通達に基づく相続税評価額とが大きく乖離しているケースに対し、適正化を検討する旨が明記されていた。</p>
<p>国税庁が示した新たな評価方法は、相続税評価額が市場価格と乖離する要因となっている、築年数、総階数、所在階、敷地持分狭小度の４つの指数に基づいて評価額を補正していく方法だ。</p>
<p><span class="strongInContent">高層階のマンションほど影響が大きくなる想定。</span><span class="strongInContent"> </span></p>
<div data-friday-ad-slot="AD_inArticle"></div>
<figure id="attachment_350510" aria-describedby="caption-attachment-350510" style="width: 640px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="458b900d"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/12/49a6b280889406ad9838e98368e6f2cf.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-350510" class="wp-caption-text">高層階のマンションほど影響が大きくなる「タワマン課税」</figcaption></figure>
<h3><span class="strongInContent">自己防衛策の基本は「制度を知る」こと。国民として「使い道を知る」ことも大切</span></h3>
<p>我々の負担が増えそうな主な改正点を取り上げた。もちろん負担が減るものもあり、今回は偏った取り上げ方となっていることはご容赦いただきたい。</p>
<p>復興特別所得税や森林環境税のように国土や国民の豊かな暮らしに必要な負担はこの際、喜んで受け入れよう。</p>
<div data-friday-ad-slot="AD_inArticle"></div>
<p>だが、“こっちを減らして、あっちに回す”や、徴収名目と異なる使い方などは、国民にわかるような説明が必要だ。一方、決まるまではメディアの力も借りて高い関心を示すものの、１年後の施行時には、「そうだっけ？」と関心が低くなっていることは、大いに反省したい。</p>
<p>物価高で家計管理の重要性が益々高まるタイミングである。税金や社会保障について、関心を持っていきたい。</p>


NPO法人日本FP協会認定上級ファイナンシャルプランナー CFPⓇ。キャリアコンサルタント。大学卒業後、株式会社リクルートへ入社。約15年勤務の後、’01年にFP事務所を設立。老若男女を対象に身近な新聞をつかった経済教育、キャリアデザイン、資産形成などの講座や研修を大学、企業へ展開。個人向けには、客観的なファイナンシャルプランニング、ライフ・キャリアプランニングを提供している。金融リテラシーの普及活動が評価され、金融庁と日本銀行から’14年度金融知識普及功績者として評される。

大石　泉

政府・与党の’24年度「税制改正大綱」。個人所得課税の見直しについては、今後も検討していくとし、具体的な増税は先送りされた。’24年以降スタートの「ステルス増税」がいくつもある。整理しておこう。

「増税メガネ」に騙されるな！ ’24年以降待ち受けている「ステルス増税」…自己防衛策はあるのか？

あなたへのオススメ