<p>&nbsp;</p>
<figure id="attachment_350926" aria-describedby="caption-attachment-350926" style="width: 1224px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="cebbc835"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/12/c09fb3659ab5f5fd62b0811182b06005.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-350926" class="wp-caption-text">&#8217;20年の春、ギターを片手に本誌の電話インタビューに応じてくれた</figcaption></figure>
<p>ミュージシャン・鮎川誠さん（享年74）がすい臓がんのために亡くなったのは1月29日のことだった。2月4日には都内の葬儀場で「ロック葬」が営まれ、鮎川さん自身が生前に選曲したという自身のロックナンバーが大音量で流れる中、関係者やファンなど約4000人が別れを惜しんだ。</p>
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<p>鮎川さんは’70年から博多で後の「めんたいロック」の先駆けとなるバンド・『サンハウス』で活動、解散後の’78年に妻のシーナさんとともに『シーナ＆ザ・ロケッツ』を結成して活動拠点を東京に移した。その後、シングル『ユー・メイ・ドリーム』が大ヒットし、一躍全国区に。特に鮎川さんのシンプルながらもダイナミックなギターは広く評価され、『YMO』のアルバムやライブにゲスト参加したり、海外アーティストと共演することも多かった。</p>
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<p>’レジェンドでありながら、鮎川さんは常にロック界をけん引し続けてきた。’15年に妻のシーナさんを失ってからも、それは変わらなかった。コロナ禍の’20年6月の『FRIDAYデジタル』の電話インタビューでは、4月以降のツアーをすべてキャンセルして犬の散歩以外は一切外出していないことを明かしていた。だが、その一方でコロナ禍がミュージシャンから音楽まで奪っている現状について、こう語っていた。</p>
<p><span class="strongInContent">「音楽や演劇は、人に集まってもらって成立するライブ。今は音楽だけでなく、すべてがてんてこ舞い。『コロナがはよ、退散するように』ち祈るしかない。ライブハウスも閉めるところがあって、辛いよね。なんとか、持ちこたえて欲しいと願ってる。</span></p>
<p><span class="strongInContent">音楽仲間やライブハウスのスタッフ達ともやり取りする中で、『お互いに元気でおろう。READY TO ROCK』。お客さんの安全を一番に考えなきゃならんが、ライブが再開したらたとえ３分の１のお客さんでもやりたい。すぐ“ぶっ飛ばすぞ”ち思うとる」</span></p>
<p><span class="strongInContent">「大声を出さなくても、みんなの心や生活の中に音楽がある。ロックは素晴らしい。元気を出させてくれる。ぜひ日頃、時間がなくて聴けなかったロックを存分に聞いて欲しい。音楽でエネルギーをチャージして欲しい。ロックは心のワクチンやから」</span></p>
<div data-friday-nextpage-lead="余命宣告されてもステージに立ち続けた"></div>
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<p>「ぶっ飛ばすぞ」という言葉通り、鮎川さんはコロナが落ち着き始めた’21年からライブ活動を再開。本格的にコロナ明けとなった’22年はさらに多くの本数のライブを行う予定だった。しかし、5月にすい臓がんであることが発覚、余命5カ月と宣告された。だが、鮎川さんはがんであることをバンドメンバーにも言わず、ステージに立ち続けた。ハードなスケジュールを毎回こなし、沖縄にも行った。時には3時間のライブをこなすこともあったという。</p>
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<p>「ライブが生きがいだからやりたい」そんな鮎川さんの言葉を3人の娘さんたちも聞き入れるしかなかった、と長女である陽子さんは’23年3月の本誌のインタビューで語っていた。</p>
<p><span class="strongInContent">「父は病気のことは誰にも言いたくなかったんです。自分はお客さんを元気にする存在だから、お客さんには心配かけたくないって。死ぬまでロックをし続けるって言っていました。治療も抗がん剤はやらなかった。病気のことを知った時点で、半分は覚悟していたんだと思います」</span></p>
<p>鮎川さんがドクターストップでライブをキャンセルすることになったのは12月31日。その直前、19日までライブをやりきった。この年にこなした本数は43本と74歳としては驚異的な本数だった。</p>
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<p>自宅療養に入った鮎川さんだが、2月のライブまでには回復するつもりだったようだ。自宅でもギターを弾いたりパソコンで選曲をするなど、普通に過ごすことも多かったという。だが、病魔は着実に鮎川さんの体を蝕んでいた。自宅療養に入って約１ヵ月後、ついにそのときは訪れる。</p>
<p><span class="strongInContent">「父がベッドで朦朧とした状態になり、どんどん死が迫ってきているときに、『シーナ&amp;ザ・ロケッツ』のＣＤをかけていたんです。昔のライブ盤で、ちょうど母のシーナがメンバー紹介をしているシーンでした。</span></p>
<p><span class="strongInContent">父は目を瞑っていたんですが、よく見ると左手がギターのネックを持つような形になっていて、右手でかき鳴らすようにこう……それを何度も繰り返してやっていた。父は最後の瞬間までライブでギターを弾いていたんです。大勢のお客さんの前で、きっと母も近くにいて、幸せな気持ちで……」（陽子さん）</span></p>
<p>今もきっと天国でシーナさんとライブをしているのだろうか。冥福を祈りたい。</p>
<div data-friday-nextpage-lead="コロナ禍、ステイホーム中の鮎川さん"></div>
<figure id="attachment_350927" aria-describedby="caption-attachment-350927" style="width: 1773px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="0d0f39c1"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/12/8a2d062cb81716300cc291b26eee3465.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-350927" class="wp-caption-text">鮎川さんはステイホーム中には今まで観たかったYouTubeやCDやレコードを夜が明けるまで聴き、納得できるまで調べ、気が済むまでギターを弾く毎日を送っていたという</figcaption></figure>
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<figure id="attachment_350929" aria-describedby="caption-attachment-350929" style="width: 2592px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="05d12675"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/12/d6f5d1b34eb379d769fa722a986f1676.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-350929" class="wp-caption-text">「ロック葬」に訪れた関係者の中には小室哲哉（64）や柄本明（74）、浅野忠信（49）の姿も</figcaption></figure>
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足立百合（3枚目）

【追悼'23】今年1月29日になくなったミュージシャンの鮎川誠さん。ロック界のレジェンドは余命宣告を受けたあとも、74歳とは思えないエネルギッシュさでステージに立ち続けた。そして最後の瞬間も……。

【追悼’23】鮎川誠さん「死ぬまでロックをし続ける」最後の瞬間までかき鳴らし続けたギター

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