<figure id="attachment_351270" aria-describedby="caption-attachment-351270" style="width: 3984px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="b7d1089c"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/12/a4d9b0bce6c137514729bb3520a1319e.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-351270" class="wp-caption-text">11月の上尾ハーフでフィニッシュしたときの吉田。箱根駅伝の出場を視野に入れて、あえてハーフマラソン１本に絞ってきた</figcaption></figure>
<p>箱根駅伝の強豪になりつつある國學院大は、第100回大会で悲願達成に意欲を燃やす。10月の出雲駅伝は４位入賞、11月の全日本大学駅伝では３位表彰台。正月の大舞台を控え、就任14年目の前田康弘監督は自信をのぞかせている。</p>
<p><span class="strongInContent">「過去最高の戦力がそろいました。國學院史上最高の総合3位以上を目標にしつつ、初の総合優勝もにらみながら戦略を立てていきたいです」</span></p>
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<p>中心となるのは、大学トップレベルの走力を持つ主将の伊地知賢造（４年）、エースの平林清澄（３年）、山本歩夢（３年）の『３本柱』、さらには出雲路と伊勢路でいずれも区間５位以内でまとめた上原琉翔を筆頭とする２年生の４人組。駅伝で実績を残すランナーがズラリと並ぶなか、５人の１年生もエントリーメンバーに名を連ねた。全日本の１区で区間６位と好走した後村光星だけではない。指揮官は１年生たちの台頭に顔をほころばせていた。</p>
<p><span class="strongInContent">「先を見据えて１年生を選んだわけではなく、実力で判断して入れました。数年前まで國學院は４年生が力を発揮するチームでしたが、今の１年生たちはそれを軽く超えてきますから。みんな、めちゃくちゃ調子がいいんです。区間配置、出走メンバーはぎりぎりまで見極めたいと思っています」</span></p>
<p>11月までは駅伝メンバーにも入っていなかった秘密兵器の一人が１年生の吉田蔵之介だ。人気音楽グループ『ケツメイシ』のリーダー、大蔵を父に持ち、話題先行でメディアに取り上げられることが多いものの、本人は嫌な顔ひとつ見せず、あっけらかんとしている。</p>
<p><span class="strongInContent">「僕自身、（報道は）あまり気にしないで、陸上に取り組んでいます」</span></p>
<p>仲の良い同期から「蔵之介、カラオケに行くときはお父さんを連れてきてよ」とイジられても、いつも笑顔でうまくかわしている。話し好きで輪の中心にいることが多く、１年生の盛り上げ役を担っているという。</p>
<p>ただ、競技に向かう姿勢は真面目そのもの。今季前半のトラックシーズンは思うように結果を残せず、家族が応援に来ていたレースで人目をはばからず涙をこぼしたこともある。それでも、地道に長所を伸ばす練習をコツコツと積んできた。もともと１区間20kmを超える箱根路の距離は得意とするところ。夏の時点から前田監督とは話をしていた。</p>
<p><span class="strongInContent">「『ハーフマラソンで勝負したいです』って。そのときに『（短い距離の）出雲、全日本は出走できないけど、それでも大丈夫か？』と言われたのですが、『箱根一本で考えています」と伝えました」</span></p>
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<div data-friday-nextpage-lead="度胸は父親譲り"></div>
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<figure id="attachment_351304" aria-describedby="caption-attachment-351304" style="width: 811px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="eb40b47b"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/12/c861621a43bbef7a3ff78034f63ab055.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-351304" class="wp-caption-text">昨年、埼玉栄高校のアンカーとして全国高校駅伝に出場した吉田。今年の箱根駅伝でもアンカーをつとめられるか</figcaption></figure>
<p>経験を積むために出走した10月の東京レガシーハーフマラソンでは１時間03分31秒でしっかりまとめた。自身初となる21.0975kmのレースとしては及第点の出来と言っていい。そして、迎えた11月の上尾ハーフマラソン。前田監督からは２週間前に明確な基準を提示されていた。</p>
<p><span class="strongInContent">『16人のエントリーメンバー入りするには最低でも１時間２分台、10人のレギュラー組は１時間２分半を切ること』</span></p>
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<p>吉田は箱根メンバーの選考を兼ねたトライアルレースで申し分のない結果を残す。先輩に食らいついて練習してきた成果を発揮し、國學院１年生のトップタイムとなる１時間02分29秒をマーク。確かな手応えをつかみ、エントリーメンバー入りを果たす。</p>
<p><span class="strongInContent">「目標にしていた１時間２分半を切ることができました。僕の場合、長ければ、長いほど強みを出せます。一定のペースで押していけるので」</span></p>
<p>はきはきと話す口調には自信がにじむ。本番が迫るなか、箱根路を走るイメージを膨らませていた。埼玉栄高校時代の同期たちと観戦した記憶も、鮮明に脳裏に刻まれている。あふれる観客、熱を帯びた大声援。沿道で抱いた思いは、いまも忘れない。</p>
<p><span class="strongInContent">「僕もここで走ってみたい、と思いました。どの区間であっても、家族は応援にに来てくれると思いますが、かっこいい姿を見せたいなって」</span></p>
<p>エントリーされた復路の重要区間である９区は大きな責任をともなうが、2022年の全国高校駅伝でも重圧のかかるアンカーを経験済み。度胸はスポットライトが当たるステージで歌う父親譲り。大観衆の前でも萎縮することはない。「僕は歌えないけど」と苦笑しながらも、夢の舞台を心待ちにしている。100回大会に思いをはせ、役割を果たすことを誓う。</p>
<p><span class="strongInContent">「長い距離で勝負する練習はしてきました。『てっぺん』を取るには最低でも区間５位以内に入らないと、話にならないと思います。１年生らしからぬ走りで、チームの目標達成に貢献したい。区間賞を目指します」</span></p>
<p>歌うたいの父親が見守る箱根路で一生を忘れることのない『夏の思い出』ならぬ『冬の思い出』にするつもりだ。</p>
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<figure id="attachment_351307" aria-describedby="caption-attachment-351307" style="width: 781px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="f729ed33"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/12/46a85f36bb35bdc4b020f0212a4ade16.png" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-351307" class="wp-caption-text">吉田の父、ケツメイシ大蔵が今年、47歳の誕生日を迎えたときの一コマ。（ケツメイシ大蔵のインスタグラム：＠ketsume_daizo）より一部抜粋</figcaption></figure>
<figure id="attachment_351308" aria-describedby="caption-attachment-351308" style="width: 967px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="d1a9c9f7"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/12/752842973f87e49021e4f629de123ff5.png" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-351308" class="wp-caption-text">父・大蔵は’20年、1500mのレースに参加。高校時代以来、26年ぶりの参加だったというが、タイムは５分１秒。その健脚が息子に伝わったか（ケツメイシ大蔵のインスタグラム：＠ketsume_daizo）より一部抜粋。</figcaption></figure>
<figure id="attachment_351309" aria-describedby="caption-attachment-351309" style="width: 789px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="a46bc719"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/12/8fc9d4c9227f4f5b17ad84816a1c5d71.png" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-351309" class="wp-caption-text">今年８月、北海道で行われたケツメイシの夏フェス。息子・蔵之介とともに「ナンバー１」になりたい（ケツメイシ大蔵のインスタグラム：＠ketsume_daizo）より一部抜粋</figcaption></figure>


1977年生まれ。サッカー専門誌の編集兼記者、通信社の運動記者を経て、フリーランスになる。現在はサッカー、ボクシング、陸上競技を中心に多くの競技を取材している。

杉園昌之

「月刊陸上競技」（１枚目）、共同通信（2枚目）

正月の箱根駅伝は第100回の記念大会。優勝候補の國學院大は１年生の吉田蔵之介がメンバー入りした。吉田の父・大蔵は人気音楽グループ「ケツメイシ」のリーダー。１年生だが大観衆でも萎縮しない度胸は父親譲りだ

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