<figure id="attachment_357821" aria-describedby="caption-attachment-357821" style="width: 3024px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="563bfc5e"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2024/02/953e1d73f5ddff140a677850c1c2155e-rotated.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-357821" class="wp-caption-text">近著を持つ安田氏。『日本エロ本全史』（太田出版）など、アダルトメディアを研究して論じる著書が多数ある</figcaption></figure>
<p>’23年はAIに沸き、AIに翻弄された年だった。</p>
<p>それが未来への福音か、開けてはいけないパンドラの箱だったのかはまだわからないが、時代の変化とAIの進化が呼応して’24年、様々な業界に変化が起き続けている。時代の流れをいち早く反映するアダルト業界にも如実に表れている。</p>
<p>『アダルトメディア年鑑2024 AIと規制に揺れる性の大変動レポート』を監修した、アダルトメディア研究家の安田理央氏が語る。</p>
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<p><span class="strongInContent">「’23年はアダルト業界の構造が破壊された年と言えます。どういうことかというと、まず’22年にいわゆる“AV新法”が施行されたことに加え、AIがPCマニアでない一般層でも扱えるほどになるという爆発的な進化を遂げました。加えて、流通の変化により、個人が同人でアダルト動画やイラスト集、18禁漫画などを発売できるようになり、それが大きな市場になった。</span><span class="strongInContent">アダルト業界では長い間、まず会社――つまりメーカーが作るものがあって、メーカーが販売と流通を独占していた。その上で、同人の世界がありました。当然、メーカー作品のほうがクオリティが高く、流通ルートも確保しているため、商品が広く出回り、売上も市場も大きいという時代が長く続いた訳です。</span></p>
<p><span class="strongInContent">しかし“AV新法”の施行によって新たに制限がかけられた結果、表現できるものが減り、アダルトメディアを販売することへのリスクが大きくなった。リリースの速度も落ちてしまいました。</span><span class="strongInContent">一方で、同人も法律による縛りは受けるものの、個人や少人数で製作しているため、大手ほどの影響はなかった。</span><span class="strongInContent">女優もメーカー作品に出ても儲からない。儲けたければ同人に出たり、自分で作品を作って売ったほうがいい。一昔前と完全に状況が変わってしまったのです」</span></p>
<p>“AV新法”とは「AV出演被害防止・救済法案」を指す。主に問題となっているのはアダルトビデオ撮影において「契約後、１ヵ月以上の撮影禁止期間」が必要となること。撮影まで間が空くことにより、女優が出演を翻意する機会が増えると考えられているのだ。「契約の無効・取り消し・解除」の規制もメーカーにとっては大打撃。出演者の意思により、作品の配信停止、販売の差し止めなどが可能になったのだ。</p>
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<p>配信停止ならまだしも、実物が流通しているアダルトDVDを回収するとなると大打撃を受ける。DVDを販売する店舗の現場からは「これでアダルトDVDの文化は終わる」という悲鳴が上がった。</p>
<div data-friday-nextpage-lead="AIが日本のアダルトシーンを変える"></div>
<figure id="attachment_357962" aria-describedby="caption-attachment-357962" style="width: 4032px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="cad94e75"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2024/02/89e8d0a2e1b3ad60ee200ba015b725b3.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-357962" class="wp-caption-text">膨大な資料を前に取材に応じた安田氏。アダルトメディアはその時代の文化と密接なかかわりがあるので資料は多岐にわたる</figcaption></figure>
<p>そんなAV新法で激変した日本のアダルトシーンに颯爽と登場したのがAIだった。時代の変化や規制でできなくなったことをAIが可能にし、“まったく新しい違法アダルト動画”が作り出されているという。</p>
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<p><span class="strongInContent">「〝モザイク破壊〟ですね。どういうものかというと、モザイク部分をAIが解析して予測復元。リアルな性器画像を作ってモザイク部分にはめ込む、というものです。逮捕者も出ていますが、</span><span class="strongInContent">それは市販のモザイク入りアダルトDVDのモザイクを破壊して販売したからで、個人的にモザイク破壊して楽しむぶんには現行法では裁けないはず。これは</span><span class="strongInContent">大きな意味を持ちます。なぜなら、メーカーがモザイクを入れること自体に意味がなくなるからです。『モザイクを入れなければいけない』と定めている法律も、販売の形も形骸化する可能性が出てきます」</span></p>
<p>AIの進化はさらなる動きを生み出している。AIセクシー女優である。AV新法によって女優の確保が難しくなり、かつ、作品回収のリスクが発生するなら、リアル世界には存在していない女優を使えばいい――そういう発想だ。</p>
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<figure id="attachment_357964" aria-describedby="caption-attachment-357964" style="width: 4032px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="7b856f7e"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2024/02/051064ff901f454ebe6c45f7399e8e1a-1.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-357964" class="wp-caption-text">事務所で作業中の安田氏。「アダルトメディアは一つの側面だけ掘り下げても真実は見えない。様々な視点を用いて俯瞰で見ることが大切」</figcaption></figure>
<div data-friday-nextpage-lead="世界初のAIセクシー女優「木花あい」"></div>
<p>安田氏が続ける。</p>
<p><span class="strongInContent">「’23年、世界初のAIセクシー女優という謳い文句でh.m.p社から木花あいちゃんがデビューしました。今はまだ顔だけがAIで、全身を造るところまではいっていませんが、韓国系のAIが得意なメーカーが１年かけたというだけのことはあって現時点でも完成度は高い。このレベルでAIを活用するには資本力・技術力が必要ですから、同人界隈では難しく、大手が中心となって進めていくでしょう。</span></p>
<figure id="attachment_357961" aria-describedby="caption-attachment-357961" style="width: 1170px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="b86454bf"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2024/02/2aac172410584e1204c462f78d66f8d1.png" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-357961" class="wp-caption-text">世界初のAIセクシー女優、木花あい（h.m.p公式ウエブサイトより）。彼女のSNSにはすでに数万人のフォロワーが……</figcaption></figure>
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<p><span class="strongInContent">いまはまだ2D系が好きな人や、VRにいち早く関心をもったアーリーアダプタ的な人に注目されている段階ですが、この先どこまで広がるか、進化するのか想像もつきません。年内は難しいと思いますが、来年、リアルセクシー女優をAIセクシー女優が凌駕していても不思議ではありません。’17年、AV出演を強要された女優の告発が問題になり、『適正AV』と認められなければ正規ルートで販売できないという枠組みが作られました。その際も『これでAV業界は終わりだ』という悲鳴が上がりました。それでもAV業界は乗り越えてきた。拙著では、様々な専門家による、現在のアダルトメディアについての話が語られています。ご興味がありましたらぜひ」</span></p>
<p>かつて、アダルトビデオがビデオデッキの普及に一役買った。アダルト業界で生みだされるアダルトメディアは「時代を映す鏡」と言われる。その時代に求められている欲求が、そのまま形にされるからだろう。アダルト業界で何が起きているかを知れば、人より一歩速く未来を知ることができるかもしれない。</p>
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<p>安田氏の著書はこちら→<a href="https://www.amazon.co.jp/%E3%82%A2%E3%83%80%E3%83%AB%E3%83%88%E3%83%A1%E3%83%87%E3%82%A3%E3%82%A2%E5%B9%B4%E9%91%912024-AI%E3%81%A8%E8%A6%8F%E5%88%B6%E3%81%AB%E6%8F%BA%E3%82%8C%E3%82%8B%E6%80%A7%E3%81%AE%E5%A4%A7%E5%A4%89%E5%8B%95%E3%83%AC%E3%83%9D%E3%83%BC%E3%83%88-%E5%AE%89%E7%94%B0-%E7%90%86%E5%A4%AE/dp/478162264X">『アダルトメディア年鑑2024 AIと規制に揺れる性の大変動レポート』（イースト・プレス）</a></p>
<p><a href="#" data-ident_hash="142c7a32"><img src="https://m.media-amazon.com/images/W/MEDIAX_849526-T1/images/I/614bFYWYwvL._SY466_.jpg" alt="アダルトメディア年鑑2024　AIと規制に揺れる性の大変動レポート"></a></p>
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くるす・みゆう　フリーライター。人文、社会問題、サブカルチャーなどを主な守備範囲とし、雑誌・新聞・ネット等、メディアを問わず、記事の取材・執筆を中心に活躍。著書多数。

来栖美憂

いわゆる”AV新法”によって、がんじがらめにされている日本のアダルト業界。セクシー女優の確保もアダルト動画の配信も大幅な制限を受けるピンチを救うべく立ち上がったのは「AI」だった。

「一昔前と状況が変わってしまった」窮地に陥った日本のアダルト業界を救う“AIセクシー女優”の存在

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