<h3><span class="strongInContent">国の基準を満たす投資信託は、【つみたて投資枠】約300本、【成長投資枠】約2000本…「国が認めたからOK？」</span></h3>
<p>新NISAは、投資から得られる利益（売却益・配当金・分配金）にかかる約20%の税金が一生涯かからない制度です。１人あたり1800万円まで投資ができます。</p>
<p><span class="strongInContent">つみたて投資枠では、国が定めた基準を満たす、約300本の投資信託・ETFに対して積立投資ができます。成長投資枠では、個別株、REIT、ETF、投資信託と幅広い商品に、一括投資または積立投資ができます。成長投資枠で選べる投資信託は約2000本あります。</span></p>
<p>両投資枠は併用可能なので、さまざまな使い方ができます。</p>
<p><span class="strongInContent">しかし、新NISAだからといって、どんな商品を買ってもいい、というわけではありません。新NISAの対象商品の中には、買ってはいけない「投資信託」もあります。</span><span class="strongInContent"> </span></p>
<figure id="attachment_362518" aria-describedby="caption-attachment-362518" style="width: 432px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="c53ce1b4"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2024/03/e8681700e55d789de3f3f6b590d12567.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-362518" class="wp-caption-text">手数料が多少高くても儲かるならいい？</figcaption></figure>
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<h3><span class="strongInContent">新NISAで買ってはいけない投資信託①：信託報酬の高い「インデックス型」投資信託</span></h3>
<p>つみたて投資枠で投資ができる商品は、国が定めた条件をクリアした投資信託・ETFですが、具体的には次のような条件です。</p>
<figure id="attachment_362519" aria-describedby="caption-attachment-362519" style="width: 882px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="05617855"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2024/03/853898021a97e960982cdfd6ced106cb.png" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-362519" class="wp-caption-text">《つみたて投資枠で購入できる商品の条件》著書「はじめての新NISA&amp;iDeCo」（成美堂出版）より</figcaption></figure>
<p>細かい条件はいろいろあるのですが、<span class="strongInContent">注目すべきは信託報酬</span>です。</p>
<p>たとえば、インデックス型投資信託の場合、国内資産に投資するものならば年0.50％以下、海外資産に投資するものならば年0.75％以下が条件となっています。</p>
<p>この信託報酬の条件により、’24年２月29日現在、指定インデックス型投資信託が227本に絞られているので、<span class="strongInContent">「厳しい条件」に思えますが、実はそうでもありません。</span>というのも、信託報酬が年0.50％以下、年0.75％以下において、高いもの低いものが混在しているからです。</p>
<p>全世界の株式市場に１本だけで手軽に分散投資ができる【全世界株インデックスファンド】で一番人気のあるファンドは三菱UFJアセットマネジメントが運用する『eMAXIS Slim全世界株式（オール・カントリー）』です。「オルカン」の愛称で投資家に知られる投資信託であり、’24年３月１日時点の純資産総額は２兆6358億円となっています。</p>
<p><span class="strongInContent">オルカンの信託報酬は、年0.05775%です。</span></p>
<p>しかし、【全世界株インデックスファンド】は『eMAXIS Slim全世界株式（オール・カントリー）』の他にもたくさんあります。そして、商品ごとに信託報酬はバラバラです。</p>
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<figure id="attachment_362523" aria-describedby="caption-attachment-362523" style="width: 612px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="d4a6125e"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2024/03/f78e602e443369de2954daa48b418c84.png" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-362523" class="wp-caption-text">「全世界株インデックスファンド」は『eMAXIS Slim全世界株式（オール・カントリー）』の他にもたくさんある／(株)Money&amp;You作成</figcaption></figure>
<p>たとえば、『全世界株式インデックス・ファンド』（運用会社：ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ）というものがありますが、信託報酬は年0.528%です。また、『eMAXIS全世界株式』（運用会社：三菱UFJアセットマネジメント）は運用会社がオルカンと同じで、限りなく商品名も似ていますが、信託報酬は年0.66%です。</p>
<p>つまり、全世界株がいいからと、適当に商品を選んでしまうと、信託報酬の高いものを買って大損するというわけです。</p>
<div data-friday-nextpage-lead="信託報酬の他にも…"></div>
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<p><span class="strongInContent">【全世界株インデックスファンド】は、同じ指数に連動する商品ならどの商品を選んでも運用成績に差はありません。</span>世界株価指数には「FTSE Global All Cap Index（FTSE GACI）」と「MSCI All Country World Index（MSCI ACWI）」の２種類あり、細かい部分で違いはありますが、運用成績はほぼ同じです。</p>
<p><span class="strongInContent">つまり商品ごとの運用成績に差がつかないのであれば、手元に残る資産残高の差は必然と信託報酬の差になってきます。</span></p>
<p>新NISAで『オルカン』と『eMAXIS全世界株式』にそれぞれ月５万円ずつ投資したとします。運用利率はどちらも年５%だった場合の30年後の資産額の差は次のようになります。新NISAで投資した場合、30年で生涯投資枠1800万円を使い切りますので、30年までを表示しています。</p>
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<figure id="attachment_362520" aria-describedby="caption-attachment-362520" style="width: 2878px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="7d1fb287"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2024/03/47acf1a6ee855b380646adfc0df5eed5.png" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-362520" class="wp-caption-text">《信託報酬による資産額の違い》資産額は、20年後は約136万円の差、30年後は約430万円の差に／(株)Money&amp;You作成</figcaption></figure>
<p>信託報酬は『オルカン』が年0.05775%、『eMAXIS全世界株式』が年0.66%ですので、約0.6%の差があります。0.6％というとわずかな差のように見えますが、運用期間が長くなればなるほど、グラフのとおり大きな差になります。<span class="strongInContent">資産額は、20年後は約136万円の差、30年後は約430万円の差</span><span class="strongInContent">となっています。</span></p>
<p>また、成長投資枠で買える世界株ファンドには、例えば『キャピタル世界株式ファンド』（運用会社：キャピタル・インターナショナル）というものがあります。純資産総額が6086億円もあり人気ファンドの一つですが、インデックス型ではなく、信託報酬は年1.701%となっています。</p>
<p>’24年３月１時点で運用成績を『オルカン』と比較すると、期間５年の年率は17.37%に対し、『キャピタル世界株式ファンド』は17.68%と僅差で上回っています。しかし信託報酬を控除すると、『オルカン』は年17.31%、『キャピタル世界株式ファンド』は年15.98%となり、年１%の差が生じます。「世界株ファンド」と名前だけで飛びつくのは危険であることが分かりますね。</p>
<p>なお、信託報酬だけでなく<span class="strongInContent">「実質コスト」</span>も比較してから判断すべきという声もあります。</p>
<p>投資家が負担する費用には、信託報酬以外に「監査法人に支払われるファンドの監査費用」「有価証券等の売買時に取引した証券会社等に支払われる手数料」「有価証券等を海外で保管する場合、海外の保管機関に支払われる費用」「外国株式インデックスマザーファンドおよび新興国株式インデックスマザーファンドの換金に伴う信託財産留保額」「その他信託事務の処理にかかる諸費用」などがあります。</p>
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<p>オルカンの場合、運用報告書には’22年４月26日から’23年４月25日の１年間で、</p>
<ul>
<li>（a）信託報酬 19円 0.113％</li>
<li>（b）売買委託手数料 １円 0.006％</li>
<li>（c）有価証券取引税３円 0.015％</li>
<li>（d）その他費用 ５円 0.032％</li>
<li>合計：28円　0.166％</li>
</ul>
<p>と記載されています。</p>
<p>投資家が実際に負担するのは、信託報酬年0.113%だけではなく、年0.166%ということです。この実質コストを比べないと正しく判断できないという意見です。</p>
<div data-friday-nextpage-lead="「ターゲットイヤー型」の投資信託"></div>
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<p>指摘はもっともですが、<span class="strongInContent">１年待たないと結果が分かりません</span>。さらにファンド間で実質コストに差が出たとしても、0.1%程度の軽微な差である可能性は高いと考えられます。</p>
<p>よって、あまり気にする必要はないとは個人的に思いますが、実質コストの差が毎年0.1%を超える水準であるならば、実質コストを踏まえて商品選択をされるとよいでしょう。</p>
<p>とはいえ、実質コストの大部分を占めるのは信託報酬という事実は変わりません。</p>
<p>新NISAでは信託報酬ができる限り安い商品を選ぶようにすれば、全く問題ないかと思います。</p>
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<h3><span class="strongInContent">新NISAで買ってはいけない投資信託②：「ターゲットイヤー型」の投資信託</span></h3>
<p>「ターゲットイヤー型」は、時間経過につれて、自動的にリスク資産の比率を少なくしていく商品です。リスク許容度（いくらまで損に耐えられるかの度合い）は、一般的に年齢が上がるにつれて低くなります。</p>
<p>ターゲットイヤー型は、投資信託を保有する人が若いうちは株式の比率を高めて高いリターンを狙い、年齢が上がるにつれて徐々に債券の比率を高めてリスクを減らして堅実にリターンを狙うという風に、資産配分を自動的に変更する運用を行います。</p>
<p><span class="strongInContent">一見、年齢によるリスク許容度の変化に合わせて資産配分を変える便利な商品といえますが、信託報酬が通常の「バランス型（配分比固定型）」より高いのが難点です。</span></p>
<p>’24年２月29日現在、新NISAのつみたて投資枠では20本ラインアップされています。成長投資枠も合わせると31本です。</p>
<figure id="attachment_362521" aria-describedby="caption-attachment-362521" style="width: 612px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="919cb1c5"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2024/03/64982a4265e8e7f9a83877dcf1a60d71.png" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-362521" class="wp-caption-text">「ターゲットイヤー型」の投資信託は、新NISAのつみたて投資枠では20本ラインアップされている。成長投資枠も合わせると31本／(株)Money&amp;You作成</figcaption></figure>
<p>つみたて投資枠対象には、例えば『野村資産設計ファンド（DC・つみたてNISA）2060』がありますが、信託報酬は年0.462%です。成長投資枠には信託報酬がもっと高い商品があります。『アライアンス・バーンスタイン・財産設計2050』は年1.59%です。</p>
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<p>まず、株などのリスク資産の比率を下げて、リスクの低い債券に配分変更するのになぜそんなに高い手数料を支払う必要があるのかと不思議に感じます。</p>
<p><span class="strongInContent">新NISAでは自由に資産を売却して引き出すことができますし、売却枠も翌年に復活します。年齢によって資産配分を変えたいのであれば、自分で資産を売却したり、入れ替えたりして調整すればいいだけのことです。</span></p>
<p>また、「年齢によるリスク許容度の変化」は必ずしも万人に当てはまるものではないですよね。人生100年時代といわれ長生きする人が増えている今、50代・60代はまだまだ資産を増やす資産形成期です。年齢だけを理由にしてリスクを減らし、増やせる機会を逃すのは勿体ないです。</p>
<div data-friday-nextpage-lead="「テーマ型」の投資信託"></div>
<div class="expapp-yahoo-paragraph-break"></div>
<p>さらに、<span class="strongInContent">ターゲットイヤー型は、株式などのリスクの高い資産に投資しているときに大きな損失を被ってしまうと、債券などのリスクの低い資産に切り替わったあとで損失を挽回することはできなくなります。</span></p>
<p><span class="strongInContent">リスクを抑えるために株や債券などに分散として投資を行うならば、低コストの「バランス型（配分比固定型）」を買っておけば十分</span>です。人気のあるバランス型（配分比固定型）に『eMAXIS Slimバランス（８資産均等型）』がありますが、信託報酬は年0.143%です。</p>
<p><span class="strongInContent">20年・30年と運用期間が長いことを考えると、信託報酬で年0.3%以上差がつく影響はかなり大きいです。</span></p>
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<h3><span class="strongInContent">新NISAで買ってはいけない投資信託③：「テーマ型」の投資信託</span></h3>
<p>「テーマ型」は、世の中の流行や関心に合わせて、特定の企業や業界に投資する商品です。IT、バイオ、シェールガス、SNS、AI（人工知能）、ESG（環境・社会・企業統治）、SDGs（持続可能な開発目標）、仮想通貨（暗号資産）、ロボット、VR（仮想現実）、メタバースなど、投資対象となるテーマはたくさんあります。</p>
<p>新NISAの成長投資枠の商品のうち、約300本がテーマ型となっています。</p>
<p>テーマ型は一見良さそうに見えるのですが、投資信託が作られる時期に問題があります。すでにそのテーマがある程度認知されて、株価が上がりきっているところで作られるため、買った瞬間がピークになっていることが多々あるからです。<span class="strongInContent">ピークを過ぎてしまえば、その後の値上がりは期待できません。徐々に資金が流出し、純資産総額も小さくなり、やがて繰り上げ償還されてしまいます。</span></p>
<p>特にテーマ型は手数料が高いのがネックです。<span class="strongInContent">信託報酬は年1.5〜2.5%と高くなっています。</span></p>
<p>とはいえ、魅力的なテーマに投資したい気持ちは理解できます。近年なら「AI」「半導体」関連企業が注目されています。</p>
<p><span class="strongInContent">しかし、そうしたテーマを扱う会社に投資したいのであれば、個別株への投資がおすすめです。今は１株から日本株に投資ができる時代です。米国株は元々１株から投資ができます。</span></p>
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<p>それでも、投資信託がどうしても良いという方は、例えば半導体のテーマに投資したいなら、SOX指数（フィラデルディア半導体株指数）に連動を目指す、コストの安いインデックス型投資信託に投資をするという方法があります。無駄な手数料を支払う必要は全くありません。</p>
<p><span class="strongInContent">新NISAの基本戦略は、低コストの「インデックスファンド」または「バランスファンド」に投資すること。余計なコストを支払わず、手元に残るお金を最大化するという視点が重要です。</span></p>


経済評論家／マネーコンサルタント　(株)Money＆You代表取締役。中央大学商学部客員講師。慶應義塾大学経済学部卒業後、外資系生命保険会社にて資産運用リスク管理業務に従事。2015年に起業。ニュースメディア「Mocha（モカ）」、YouTube「Money&YouTV」、Podcast「マネラジ。」、Voicy「1日5分でお金持ちラジオ」、書籍、講演などを通じて鮮度の高いお金の情報を日々発信している。『はじめての新NISA＆iDeCo』(成美堂出版)、『定年後ずっと困らないお金の話』(大和書房)、『マンガと図解 はじめての資産運用』(宝島社)など書籍90冊、累計150万部超。日本証券アナリスト協会検定会員。宅地建物取引士。ファイナンシャルプランナー(AFP)。日本アクチュアリー会研究会員。X（旧Twitter）→@yorifujitaiki

頼藤 太希（よりふじ・たいき）

新NISAの対象商品の中には、買ってはいけない「投資信託」があるという。たとえば、「オルカン」でお馴染みの【全世界株インデックスファンド】でも、0.6％の「信託報酬」の差が30年後は約430万円の差に

「全世界株インデックス」でも30年で430万円の差が…投資のプロが明かす買ってはいけない投資信託

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