<figure id="attachment_365230" aria-describedby="caption-attachment-365230" style="width: 2820px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="1fd7f7d0"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2024/03/8c457191b5046297455edd05f89e99b2.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-365230" class="wp-caption-text">五輪出場を決め、表情は晴れやかだった。レース直後には天を仰ぎ、「良かった〜」と笑顔で口にする場面も</figcaption></figure>
<p>５年間の苦悩が土壇場でその双肩に宿り、0.01秒の奇跡を生んだ。</p>
<p>３月18日に行われた競泳のパリ五輪代表選手選考会女子100ｍバタフライ決勝で池江璃花子（23）は57秒30で２位につけ、57秒31で３位に入った松本信歩（21）を指先の差で抑えて個人としては２大会ぶりとなる五輪への切符を掴んだ。</p>
<p><span class="strongInContent">〈パリ行くよ!!　行けるよ!!〉</span></p>
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<p>試合後に更新した自身のＸには、万感の思いが込められていた。</p>
<p>池江が初めて五輪に出場したのは、今から８年前、’16年のリオデジャネイロオリンピックだった。当時まだ16歳の池江は、日本水泳界期待の新星として７種目に出場し、100ｍバタフライで５位入賞という偉業を達成した。次の東京五輪では表彰台へ――そんな目標を持って一人、オーストラリアの地でトレーニングに励んでいた’19年２月、池江を突然の病魔が襲った。白血病だった。約１年の闘病生活で、体重は15㎏も落ちた。狙えたはずの母国開催大会での個人メダル獲得は、諦めるしかなかった。それでも池江は前を向いた。絶対にパリへ――そんな思いで再び泳ぎ込み、食事管理を徹底し、筋トレで追い込んで肉体を作り上げた。</p>
<p><span class="strongInContent">「池江はもともと、171㎝の長身と恵まれたリーチ、そして日本人離れした背筋力が武器でした。ところが、団体種目のみの出場にとどまった’21年の東京五輪では、療養前と比較してマイナス８㎏と、かなり上半身が薄くなってしまっていた。現在は療養前と比較してマイナス２〜３㎏まで体重を戻し、泳ぎに力強さが戻ってきました。課題だったスタートから浮上するまでの15ｍのスピードが戻ってきているのも、筋力がついてきた証拠です」（スポーツライターの折山淑美氏）</span></p>
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<div data-friday-nextpage-lead="必要なのは&quot;筋肉の持久力&quot;"></div>
<p>池江の100ｍバタフライの復帰後最高タイムは、17日の五輪選考会準決勝で記録した57秒03。池江がリオ五輪で記録したものに近似している。再び自身の持つ日本記録56秒08に近づき、そしてそれを塗り替えるには何が必要か。ミュンヘン五輪金メダリストの田口信教氏が話す。</p>
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<p><span class="strongInContent">「&#8221;筋肉の持久力&#8221;にまだ改善の余地がある。バテないための筋肉をつけるには、低酸素トレーニングが効果的。池江がオーストラリアで取り組んできたハードな泳ぎ込みに、科学的なトレーニングが加われば、タイムはまだまだ伸びます」</span></p>
<p>世界の壁は厚い。パリで悲願の表彰台に上がるためには、全盛期でも到達したことのない55秒台が必須条件となる。</p>
<p><span class="strongInContent">「池江は白血病を克服した強靭な精神力と、不屈の肉体を持っており、これから全盛期を迎えるはず。30代でも活躍する選手が多い中で、23歳の彼女はまだ成長する。五輪本番までの４ヵ月間で大きくタイムを伸ばすことだってあり得ます」（前出・折山氏）</span></p>
<p>どん底から這い上がった&#8221;水の申し子&#8221;が、パリの舞台で飛翔する。</p>
<figure id="attachment_365232" aria-describedby="caption-attachment-365232" style="width: 2500px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="22d0a8aa"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2024/03/2e4491bb808188c6b8dad5503bfa587a.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-365232" class="wp-caption-text">長いリーチと背筋力、そして肩甲骨の柔らかさ。池江のスピードを生み出す武器がパリ五輪を前に揃いつつある</figcaption></figure>
<figure id="attachment_365231" aria-describedby="caption-attachment-365231" style="width: 2610px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="fda8af95"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2024/03/cceefd9b1d8272b2a7f70f1f6309d52f.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-365231" class="wp-caption-text">復帰直後の’20年７月の写真。現在の彼女と比べるとかなり腕がほっそりとしており、闘病の壮絶さがうかがえる</figcaption></figure>
<p>『FRIDAY』2024年4月5・12日号より</p>
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Getty Images（1枚目）　共同通信社（2枚目）　AFLO

競泳のパリ五輪代表選手選考会女子100ｍバタフライ決勝で池江璃花子が2大会ぶり、五輪への切符を掴んだ！１年の闘病生活で、体重は激減……どん底から這い上がった"水の申し子"が、パリの舞台で飛翔する。

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