<h3>トラブル多発の「不用品回収」…高齢者を狙ったケースも</h3>
引越しシーズンで不用品回収業者への依頼を検討する人も多いだろう。
そんな中、引越しまで時間がなく、ネット検索で見つけた業者に依頼したところ、法外な金額を要求されたといったトラブルは多数ある。そもそも不用品回収業者自体がグレーゾーンだという指摘もある。
私事だが、先日、実家で不用品回収業者に自転車と夏用タイヤを勝手に持って行かれてしまうというトラブルがあった。
同居の家族が仕事で不在の間、業者が突然やって来て、一人在宅だった90代の父に自転車に乗っているか、車に乗っているかと尋ねた。それに対し、父が乗っていないと返答すると、あげるとは一言も言っていないのに、持っていってしまったそうだ。
しかし、警察に相談しても「使っていない」というやりとりで、要らないと業者が判断したのだろうから、窃盗にはならないと言われるばかり。
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<figure id="attachment_365959" aria-describedby="caption-attachment-365959" style="width: 406px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="dbe0c927"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2024/03/9ff0a8c9058b0db96144c0dbc94964b9.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-365959" class="wp-caption-text">なにかとトラブルが多い不用品回収…</figcaption></figure>
被害届も「出したかったら出してもいいが、結果は変わらない」、「犯人がわかればの話だが、そこは警察ではなく、弁護士などに相談する話」と言われ、「預かり」扱いになっただけだという。
となると、もはや泣き寝入りするしかないのか。弁護士経験20年以上、多種多様な問題を解決してきた近藤公人弁護士に聞いた。
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<h3>実際に「取り戻すこと」はほとんど無理</h3>
「こうした不用品回収業者のトラブルは多数ありますが、実際に取り戻すことはほとんど無理なので、相談では断っています。最低でも10万円くらいは費用がかかってしまうので、それだけの価値があるのか、費用対効果を考えたらやめておいた方がいいとお伝えし、消費者センターに相談をお勧めしていますね」
とはいえ、１つ問題があると近藤氏は指摘する。
「タイヤの持ち主がお父さんだったら、業者とのやりとりで不要と判断されたとしても仕方ないかもしれないですが、タイヤは同居の娘さんのものですよね？　
その場合、お父さんに処分権限はないので、同居のご家族が被害届を出すべき。おそらく業者はお父さんのものだと思って、錯誤がありましたという言い分でしょうが、タイヤの持ち主であるご家族が被害届を出したら警察も対応しないといけないですよ」
高齢者を狙った不用品回収業者のトラブルも多いようだが、例えば認知症の有無で警察の対応は変わるのかという点については
「一応変わると思いますが、認知症は第三者にはすぐ判断できないため『判断能力があると思った』で逃げてしまうと思います。それを防ぐためには、後見人制度を使い、売買は基本的に無効にするという方法がありますが、手続きなどがいろいろ大変です」
ちなみに、今回の場合、業者は何の書類も名刺も渡さずに回収していったため、基本的に「窃盗」と言えるそうだが、「その場の会話内容の録音などがないと刑事事件にできない」ということだった。
<div data-friday-nextpage-lead="「口頭」でも契約は成立！？"></div>
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<h3>「口頭」でも契約は成立</h3>
また、契約書がないことについて、近藤氏はこう付け加える。
「不用品に価値があれば、売買とか贈与になりますが、民法上価値のないものの贈与契約は自由に処分していいよという話で、口頭でも契約は成立します。昔から商店街でのやりとりなどは全部口頭でしたよね。ただし、パソコンなどリサイクル法などで適正な処理が法律上定められたものは別で、手紙が必要になります」
ちなみに、防犯カメラを設置しておいても「会話の内容がわからないとダメだし、防犯カメラでどこまで映していいかという問題がある」、音声を録音できる防犯カメラでも「相手方が誰かはなかなか特定できない」と、八方塞がりだ。
やはり泣き寝入りするしかないのか……。
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<figure id="attachment_365961" aria-describedby="caption-attachment-365961" style="width: 640px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="deef088f"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2024/03/0e06e6973d9b51442dc3d85cdf9e0dcf.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-365961" class="wp-caption-text">そもそも不用品回収業者自体がグレーゾーンだという指摘も</figcaption></figure>
<h3>悪徳業者の見分け方とは…「見積もり」は必須</h3>
では、不用品回収を依頼するときの業者の見分け方とは。
「まずは、数社見積もりをしましょう。極端に低いところは、問題があるかもしれません。また、ネット上の評価も参考にした方がよいでしょう。安全なのは、少々高くなるかもしれませんが、引越業者・不動産業者や知人が紹介する処分業者に依頼することですね」
見積もり後に不用品回収を依頼すれば、原則として、見積額が契約金額なので、それ以上の支払いは拒否できると言う。
「問題は、最低金額のみ表示されていて、法外な金額を請求される場合。上限は確認しておきましょう。 
また、注意が必要なのは、見積書において、『〇〇は別途料金』と記載されている場合です。 〇〇に該当すれば、〇〇の処分料金を別途支払う必要があり、その処分代金が適切な金額か否かの問題となります。 
口頭でも別途料金の可能性があると説明があり、その上で処分を依頼したら、法的には支払う必要があります。 
そのため、基本料金以外に別途料金が記載されている見積もりの場合には、その業者に依頼しない方がよいかもしれません。 
過大な請求が来た場合には、その金額を支払わずに、一度、消費者センター等に問い合わせをするのが一番です」 
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<h3>買い取りを依頼する場合は「古物商」登録をチェック </h3>
次に、処分する家具や物などの範囲を明確にしておくことが重要だという。
「事前に、処分したくない家具や物を特定し、これを処分業者に明確に伝え確認しましょう。 
家具や物の処分を依頼した場合には、家具や物の中に貴重な物があったとしても、業者が『不用品』と判断したなら、業者としては契約通りに処分をします。 
例えば、タンスの中に大切な洋服を入れたまま、タンスの処分をしても、大切な洋服か否かは、業者にはわかりません。むしろ、業者は処分してほしい洋服と思うでしょう。そのため、業者に対し、損害賠償請求することは、一般的に困難となるでしょう。 
刑事的には、器物損壊罪にも、窃盗罪にも該当しません。但し、タンスの中に、お金、または金棒がある場合には、これは明らかに依頼者が忘れた物と認識できるので、業者がこれを取得した場合には、犯罪になります」 
処分を依頼する前には要不要をよく確認し、残しておくものは別の場所に置くか、「処分不要」と明示しておくことを心掛けたい。
また、優良な業者の見分け方として近藤氏がお勧めするのは「古物商」登録のある業者を選ぶことだ。
「不用品を回収するだけでなく、買い取りもする業者の場合、古物の扱いになるため、警察に古物商の登録が必要になります。 
古物商の登録はHPなどでも確認できるところがあるはずですし、警察の届け出をしている業者なら、一つの安心材料にはなりますよね。 
例えば、引越しのときに冷蔵庫や洗濯機、家具なども買い取る古物商なら、たとえ二束三文だとしても、買い取ってくれる可能性がありますので、まずは買い取りをしている業者に買い取りの依頼をし、ついでに不用品の処分もお願いするといいと思います」
それでも何かトラブルがあったときには？
「まずは消費生活センターなどに相談するのが１つ。また、地方自治体で行っている30分などの無料法律相談や法テラスの無料相談を利用し、回収見込みがアリとなったら、弁護士などに相談するのもいいと思います」
近藤 公人　弁護士。滋賀第一法律事務所所属。1964年生まれ。著書に『不倫したい男、離婚したい女が読む本』（共著／プレジデント社）、「弁護士ドットコムニュース」にも多数寄稿。

田幸和歌子

引越しまで時間がなく、ネット検索で見つけた業者に依頼したところ、法外な金額を要求されたといったトラブルは多数ある。そもそも不用品回収業者自体がグレーゾーンだという指摘もある。防止策を弁護士に聞いた。

「不用品とは一言も言っていないのに…」引越しシーズンで注意したい「不用品回収詐欺」の手口と防止策

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