<h3><span class="strongInContent">変わらないことが愛される理由？</span></h3>
<p>気づけばいつだってそこにいてくれたーー多くの人にとって、そんな存在の食品かもしれない。それが、東洋水産の「マルちゃん焼そば ３人前」だ。</p>
<p>商品名以上にそのパッケージのルックスにピンとくる人も多いかもしれない。</p>
<p>透明な横長パッケージに３食入り。マルちゃんマークと赤い雷紋、そして黒字でドンと商品名。スーパーの生麺売り場にいけば、いつもそこにいる、いつもそこにある。そんな存在だ。</p>
<p>販売開始は1975年11月。50周年を目前に控えたロングセラー。おそらく誰もが一度は食べたことがあるのではないだろうか。</p>
<figure id="attachment_381366" aria-describedby="caption-attachment-381366" style="width: 900px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="9b37b187"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2024/07/277fdd2eac4ee342a60883f139a42d7c.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-381366" class="wp-caption-text">誰しも一度は見たことがあるであろう、このシンプルなパッケージの安心感！</figcaption></figure>
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<h3><span class="strongInContent">３人前、粉末ソース、「マルちゃん焼そば」の秘密</span></h3>
<p><span class="strongInContent">「焼きそばってどういうところで食べるイメージがありますか？」</span></p>
<p>東洋水産で商品開発などを担当する低温食品部チルド企画課の澤田舞夕さんが言う。まず思い浮かんだのは、お祭りや縁日の屋台、または海の家などだ。</p>
<p><span class="strongInContent">「まさしくそうだと思うんです。バーベキューなどもそうですが、外で食べるイメージが昔からある焼そばをご家庭でも気軽に食べていただきたい、そこが始まりです」</span></p>
<p>「マルちゃん焼そば」は50年近くの間、基本的な味や製法は全く変わっていないという。しかし、身近な存在なのに、いや、身近すぎる存在ゆえにか、気にしたこともない知らないこともたくさんありそうだ。どこか家族や親友との距離感の話のようだが、50周年直前のいまこそ知りたい「マルちゃん焼そば」の気になるあれこれを、教えてもらった。</p>
<figure id="attachment_381196" aria-describedby="caption-attachment-381196" style="width: 700px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="ae68500a"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2024/07/6a349726f8c28bf1750d5674db71aa9b.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-381196" class="wp-caption-text">東洋水産（株） 低温食品部 チルド企画課 澤田舞夕さん</figcaption></figure>
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<h4><span class="strongInContent">１）どうして「３人前」？</span><span class="strongInContent"> </span></h4>
<p>「マルちゃん焼そば」は、発売当初からひとつの袋に麺３食とソース３つ入り、「３人前」の商品として販売されている（ソース味は「１人前」も販売）。</p>
<p>その大きな理由は下記の２つだ。</p>
<ul>
<li>★発売当時の一世帯あたりの家族の平均人数が約３人（3.28人）だったこと（※1975年国勢調査）</li>
<li>★標準的な大きさのフライパンで一度に作れる量（４玉では大きさや重さ的にきびしくなる）</li>
</ul>
<p>加えて、</p>
<p><span class="strongInContent">「２人前でなく、３人前でこの価格といったふうに、経済的に感じていただけるという一面もあります。世帯の平均人数が２人を切る時代ですが、『うちは２人だけど、お得だし３食ぶん買っちゃおうかな』とお買い求めいただけたりもするようです」</span><span class="strongInContent"> </span></p>
<div data-friday-nextpage-lead="粉末ソースのひみつ"></div>
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<h4><span class="strongInContent">２）粉末ソースのひみつ</span><span class="strongInContent"> </span></h4>
<p>「３人前」であることと並ぶ「マルちゃん焼そば」の大きな特徴でありこだわりのひとつが、ソースが粉末であるということ。これも発売当初から変わらぬスタイルだ。</p>
<p>粉末ソースの利点を、澤田さんが解説する。</p>
<p><span class="strongInContent">「具材の野菜を炒める際に、野菜から水分が出ます。この水分を粉末ソースがしっかり吸収してくれることで、麺がべちゃっとなりにくく、ソースと絡みやすくなるんです」</span></p>
<p>「マルちゃん焼そば」の粉末ソースは、コショウやクローブ、シナモンなど、さまざまなスパイスや調味料が配合されたもので、味はずっと発売当初から変わっていないという。約50年、イタリアンやエスニック、激辛、映えなど、さまざまなグルメの流行はあれど同じスタイルを貫き続けてきた。しかし、この粉末ソース、その配合レシピを知る者は社内にわずか数名しか存在しないという。まさに「秘中の秘」なのだ。</p>
<p>スパイス強めの配合であるため、粉末のほうが、より香りが立ちやすいという理由もあるそうだ。ちなみに「マルちゃん焼そば　お好みソース」は、甘めの味付けで太麺という性質から液体ソースが採用されている。</p>
<figure id="attachment_381197" aria-describedby="caption-attachment-381197" style="width: 3359px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="b3a93cb2"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2024/07/799bad5a3b514f096e69bbc4a7896cd9.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-381197" class="wp-caption-text">花かつお、青のり、紅しょうが、あげ玉、マヨネーズ……さまざまなトッピングがよく合う（PHOTO：東洋水産提供）</figcaption></figure>
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<h4><span class="strongInContent">３）おいしく作るポイントは？</span></h4>
<p>「マルちゃん焼そば」をよりおいしく作るには、ブチブチ切れたりしないように麺をはしから丁寧にほぐすことが大きなポイントだ。</p>
<p>パッケージ裏面にも記載されているが、内袋のまま電子レンジで軽く加熱することで麺はかなりほぐれやすくなる。そして麺を炒める際には水を一緒に入れ、しばらくの間は動かさず、まずは「蒸らす」ことをこころがけるようにすると、よりほぐれやすくなることを覚えておきたい。</p>
<h3><span class="strongInContent">アレンジ無限大？　シンプルゆえの可能性</span></h3>
<p>「マルちゃん焼そば」のもうひとつすごいところ、それはシンプルであるがゆえに、具材の組み合わせによって、無限の可能性を秘めた食材となりうるところだ。</p>
<p>現在の「マルちゃん焼そば」シリーズ、基本のラインナップは、原点の「ソース味」と「塩」「お好みソース味」「たらこ味」の４種。そこに季節の旬の野菜をよりおいしく食べられるような味の限定商品などが加わり、幅広く展開されている。現在は夏限定の「揚げ鶏しょうが醤油味」「にんにく塩カルビ味」が販売中。</p>
<p>東洋水産では「さっぱりトマトとツナの焼そば」「ガパオ風焼そば」「挽き肉とレンコンの旨辛焼そば」などさまざまなバリエーションのレシピを考案、提案もする。「こまった日のとっておき」とその汎用性の高さを打ち出すが、シンプルにして許容量の広い味付けであるがゆえの楽しみ方だ。</p>
<p><span class="strongInContent">「基本的にどんな具材にも合わせやすい味になっていますので、春は春、夏は夏の旬の野菜を組み合わせて楽しんでいただくということもおすすめです」</span></p>
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<figure id="attachment_381199" aria-describedby="caption-attachment-381199" style="width: 700px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="12b7ace0"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2024/07/0cd42062d3dca592708149fe50aff7db.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-381199" class="wp-caption-text">東洋水産では「レシピBook」を配布するなど焼そばの可能性を広げるさまざまなレシピを提案する</figcaption></figure>
<div data-friday-nextpage-lead="「焼きそば」じゃなくて「焼そば」"></div>
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<h4><span class="strongInContent">４）「焼きそば」じゃなくて「焼そば」</span></h4>
<p>よくよくパッケージをみると、「マルちゃん焼そば」は、「焼きそば」ではなく「焼そば」という表記が採用されている。理由はさだかではないが、これも販売当初からの変わらないこだわりのひとつだという。</p>
<h4><span class="strongInContent">５）テレビCMがない</span></h4>
<p>この「マルちゃん焼そば」シリーズのテレビCMは存在しない。「赤いきつねうどん」や「麺づくり」「マルちゃん正麺」といった同じ東洋水産の即席麺（カップ麺、袋麺）はそれぞれ印象深いCMが流れているのに、そういえば生麺のテレビCMは流れない。</p>
<p><span class="strongInContent">「『マルちゃん焼そば』をはじめ、『冷し生ラーメン』などの生麺ではテレビCMを打たないという方針です」</span></p>
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<h4><span class="strongInContent">６）売れる時期は？</span></h4>
<p><span class="strongInContent">「実は３月が一番売れます。そして『８』は『〇：マル』を重ねた形に似ていることから</span>『<span class="strongInContent">８月８日』を『マルちゃん　焼そばの日』としているのですが、８月も多いです。つまりお子さんの春休みと夏休みで家にいる時間が長い期間の需要が高いということなんです」</span></p>
<p>この傾向からも、家庭団らん、あたたかな家族の象徴のような商品であることがよくわかる。</p>
<p><span class="strongInContent">「ホットプレートで作ってみんなで食べることだってできます。人が集まってみんなで笑顔で楽しく食べるメニューであることがいちばんです」</span><span class="strongInContent"> </span></p>
<p>家族や仲間と食べないと味気ない商品かというと決してそうではない。前半の量の話に戻るが、一人ぐらしで「３人前」を買えば３回ぶん楽しむことができる。大盛り感覚で一気に２玉、３玉食べてもいい。基本のレシピはもちろん、先にあげたバリエーションを工夫して楽しんだりすることもできる心強い存在だ。</p>
<p>現行のパッケージには、＜焼そばはマルちゃん＞というキャッチフレーズが印刷されている。</p>
<p><span class="strongInContent">「やっぱり焼そばといったらマルちゃんだよね、と思ってもらえるように、昨年から大々的に打ち出して、より認知をはかっています」</span></p>
<p>お祭りやレジャー、焼そばが楽しい季節が近づいてくる。</p>
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<figure id="attachment_381200" aria-describedby="caption-attachment-381200" style="width: 700px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="ddb1f34d"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2024/07/59bd90ad2e07c542e7e4e8a8ee9b73c6.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-381200" class="wp-caption-text">「マルちゃん焼そば」の味わいそのままに、キャベツをたっぷり食べられる「パリパリ無限キャベツのもと」という派生商品（期間限定商品）も</figcaption></figure>


太田サトル

我妻慶一

販売開始は’75年11月。50周年を目前に控えたロングセラー「マルちゃん焼そば」。身近な存在なのに、いや、身近すぎる存在ゆえにか、気にしたこともない知らないこともたくさんありそうだ。

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