崖っぷち金正恩が目論む4・25「ミサイル再発射」の恐怖
米朝会談失敗で八方塞がりに……
4月8日、平壌(ピョンヤン)の高級デパート「大聖(テソン)百貨店」を視察した朝鮮労働党委員長の金正恩(キムジョンウン)氏は、いつもと明らかに様子が違っていた。普段はしっかりと固められた髪の毛が乱れ、無造作に垂れ下がった前髪はボサボサ。目もどこか虚(うつ)ろなのだ。
「北朝鮮の実情を考えるとムリもありません」と話すのは、『コリア・レポート』編集長の辺真一(ピョンジンイル)氏である。
「正恩氏は、崖っぷちに立たされています。2月に行われた米朝首脳会談は失敗に終わり、国連による制裁は解除されずじまい。国内経済はどん底にあるんです。制裁前の貿易輸出額は30億㌦ほどありましたが、現在では10億㌦もありません。外国から資材や燃料を調達できず、今年10月の党創建記念日までに完成させる予定だったリゾート施設やダムの建設が、軒並み延期になっています。正恩氏は百貨店を訪問した際『人民の生活向上のために便宜を図れ』と、同行した党員たちに指示したそうですが、狙いは違う。人民の月給は400円ほどしかなく、百貨店に並ぶ1万円以上の高級品が買えるワケがありません。魅力的な製品が多くあると報じることで外国人を呼び、少しでも外貨を獲得したいんです」
4月7日には平壌で国際マラソン大会を開催。約40ヵ国から1000人ほどの外国人ランナーが参加したと報じられた。
「半分は、外国の大使館や国際機関の職員でした。開かれた北朝鮮をアピールし、なんとか外国人観光客を呼び込もうとしているんです」(韓国在住ライター)
米朝首脳会談は決裂し、国連の決議により中国からの支援も望めない。八方塞がりの状態で、再び正恩氏が暴走する可能性もあるのだ。前出の辺氏が話す。
「ミサイルや核実験を1年以上自制しているのに、事態は悪化するばかり。正恩氏が軍事力を示す瀬戸際外交に戻し、外国の譲歩を得ようと考えてもおかしくありません。ミサイル実験を再開するとすれば、4月25日の朝鮮人民革命軍創建日が有力でしょう。実施されればトランプ大統領も黙っていない。再び、米朝衝突の危険性が高まることになります」
金正恩氏の指が、またもや核ミサイルの発射ボタンにかかろうとしている。

『FRIDAY』2019年4月26日号より
写真:時事通信社