ジャニーズも進出したネットメディアのビジネスモデル
連載 スタッフは見た!週刊「テレビのウラ側」Inside story of Television 第17回
3月21日、動画サイト『YouTube』内に『ジャニーズJr.チャンネル』が開設された。長年、所属タレントの写真のネットでの掲載をNGにしてきたジャニーズだが、今年に入ってついに解禁した。その背景には香取慎吾(41)ら、元『SMAP』退所組のネット展開の成功があると、テレビ業界は見ている。芸能事務所にとってネットメディアは無視できない存在になっているのだ。グラビア系芸能事務所のマネジャーが言う。
「事務所もすべてのタレントにお金と時間をかけられない。だから新人にはSNSのアカウントを作らせ、仕事につながるよう趣味などをアピールさせています」
ただ、ツイッターの発言で炎上した真木よう子(35)のように、一歩間違えれば活動休止に追い込まれるケースもあるだけに、事務所のフォローは不可欠だ。
「吉本興業は年に1回行うコンプライアンス説明会でSNSの対処法も指導しています。さらに炎上した場合に備えて、弁護士が相談に乗ってくれる窓口も設けています。若いアイドルを抱える事務所の場合、スタッフが目を通して、許可が出たものだけSNSに掲載するなど対策を行っています」(キー局社員)
AbemaTVなど様々なネットメディアが誕生したが、「ギャラはまだ安い」とAbemaの関係者は言う。
「元SMAPの番組など、目玉となる番組には高額を払っているようですが、新人タレントが出られるような番組なら1万円にも満たないことも。ただ、キー局と違って、出演するハードルが低いので売り込みはしやすい。またスキャンダルを起こして干されているタレントにも寛容なので、再出発の場としてネット番組を選ぶ事務所が増えていますね」
視聴者が有料でタレントやモデルらにアイテムをプレゼントできる生配信アプリ、『SHOWROOM』といった新たなビジネスモデルも誕生。月に100万円以上稼ぐ猛者もあらわれたことで、アイドルたちが続々と参入している。
「ギャラは有料アイテムの収益のみ。配信する会社側に約50%取られるうえ、視聴者数が多くても有料アイテムを貰えないと1円にもならないのがネック。『有料アイテム獲得数が1位になったら番組に出られる』といった公開オーディションも増えていますが、ファンに多額の課金をお願いすることが負担になって、心のバランスを崩してしまうアイドルが出てきている」(前出・マネジャー)
吉本はネットビジネスに積極的だが、タレントからは不満の声も多い。
「’13年にオンラインタレントの育成を始めるにあたり、それ以前から個人で『YouTube』を始めていた芸人に事務所を通すよう指示。収益の7割をマージンとして取る契約になったため、揉めて辞めた芸人もいます。吉本からすれば、芸人が自発的にアップした動画や配信で金が勝手に入ってくるワケですから、美味しいですよね」(放送作家)
発展途上のネットメディア。一攫千金も夢ではないが、トラブルも増えそうだ。